答弁は後日掲載します。


「共同親権」について

離婚後の共同親権導入を趣旨とする民法等の一部を改正する法律今年5月に成立・公布され、公布から2年以内に施行されることとなりました

1947年から続いてきた離婚後の「単独親権」制度が見直され、父母双方の合意によって離婚後の「共同親権」が選択できるようになることは大きな前進であり、子どもの利益ために、離婚後も父母双方がお互いに協力して子どもを養育していくことは大変重要なことであると考えます

この法改正の背景には、近年、離婚件数が結婚件数の3割を超える現代社会において、いかなる離婚理由であっても、一方の親の親権を喪失させる、離婚後単独親権制度によって、親の離婚を経験する子の人数は2019年で20万人を超えており、親子交流が実施されていない割合が7割と言われています。また、月に2度以上親子交流が行われる割合は5%未満とのことでしたが、このことは参議院法務委員会で議論され、こども家庭庁の答弁で、親子交流が月に一回が相場ということに何の根拠もないということが示されております。

このことも原因の一つとして、日本の、こどもの精神的幸福度は、OECD加盟国38ヶ国中、37位。ちなみに上位の国は全て離婚後共同親権で親子交流が密に行われております。またひとり親世帯の子は、不登校や飛行の割合が多いというデータが「子育て世帯全国調査」によって示されております。

以上のような背景から、婚姻の有無に関わらず父母は子供の利益のために互いの人格を尊重し、協力しなければならない義務と責務が新民法に明記され、交付日から経過措置に入っております。

 

離婚は子どもにとって大きな出来事です。子どもがこれを乗り越え、健やかに成長していくため、父母が離婚後の養育費の支払や親子交流の方法などを、「共同養育計画書」などとしてあらかじめ取り決めておくことも、大変重要なことであると考えます。ちなみに現状では、離婚届を提出する際に、「共同養育計画書」についての書類を配布すると聞いておりますが、計画書の作成は義務ではなく、父母が強い葛藤を抱えている場面でもあることから、明記されずに曖昧になっている現状が多いようです。

また、これまで、離婚後の親子交流は「面会交流」と呼ばれております。親子が交流するだけなのに「面会」という言葉は相応しくなく余計な心理的ハードルができてしまうといった声があり、今回の法改正や国のガイドラインでも「交流」と統一されておりますしかし、まだ地方には浸透していないようで、これを機に、この「親子交流」という言葉が佐賀県でも定着し、子供の利益の観点から、子供の健全な成長のために行われる「親子交流」が自然なものになっていってほしいと切に願っています。

 

一方、制度は整ったとしても、離婚前後又は別居父母にとって、相手に対する複雑な感情や強い葛藤を抱えている場合あり、離婚後の子どもの監護、養育費、親子交流について、当事者の力だけでは冷静話し合いや合意をすること困難な場合もあるという声も聞きます。

また、父母双方合意に至った場合でも、父母同士が複雑な感情や葛藤を抱える中で、正当な理由がないままに、子どもの行事への参加、親子交流円滑に進まないという声も聞いております。

これらの点については、今回の法改正に前倒して、地方自治体でも、「親教育講座」や「共同養育計画書」の策定を推進する動きや、「学校行事における父母平等な参加」を推進する決定をしている自治体もあり、「子どもの権利条約第9条「親と引き離されない権利」、第18条「子どもの養育はまず親に責任」にある通り、「離婚後も子が父母双方から平等に養育を受ける権利」を守ろうとする動きが高まって来ております。

また、衆議院の参考人質疑や最高裁判所による、令和5年度家事研究会では、1970年から運用が開始されているアメリカの共同親権の事例から「頻繁かつ継続的に親子交流が行われている子は、心身の健全な発達を遂げている」という趣旨の発表があり、今回の法改正の趣旨にも紐付けられています。

 

また、このような共同親権導入に伴う様々な自治体の取り組みや、葛藤の声もある中で、県と市町がしっかりと連携し、離婚後の子どもの養育をサポートしていくとともに、親子交流を支援する民間支援団体とも連携し、子どもの利益を確保していくこと有効考えます

この、民間支援団体は、法務省のHPに掲示されている団体は全国59団体で、佐賀県にも1箇所あります。このような、親子交流支援をサポートする機関の活用することは、親子交流を促進するためには、効果的であると考えられます。しかし、金額に差はありますが、このような支援団体を活用するためには、利用料として~4万円ほど経費が必要とのことで、利用しづらい状況があるという当事者からの声も聞いており、ぜひ、行政には、積極的に連携を深めていただきたいと考えております。

 

今後、をはじめ離婚届の提出先である町に対しても離婚後の子どもの養育について、県民から様々な悩みや相談が寄せられると思います子育てし大県掲げる佐賀県として、全ての子どもたちが骨太で健やかに成長できる社会を実現していくため、町、関係機関、CSOと連携を図り、親子の想いに寄り添いながらしっかりと家族をサポートしていただくことを大いに期待しているところで

 

最後に、この法改正が施行されるにあたり、DVや虐待への配慮について懸念する声もあり、その点は慎重に対応する必要があるのは言う迄もありません。一方で、世界的には、親子を引き離す行為もDVや心理的虐待と認められており、日本は「子どもの権利条約」に批准しているにも関わらず、離婚別居で親子が簡単に切り離される社会ということで、EU議会、フランス、オーストラリア、イタリア、アメリカなどの諸外国から勧告を受け、国際的な問題になっており、オーストラリアでは「日本の実誘拐」というテーマで、日曜日のゴールデンタイムに報道がなされているという現状もあります。

つまり、その実態が子どもの利益を害することが明らかでない場合には、同居中同様、子供は父母双方から愛情や養育を受けることが望ましいと考えると共に、今回の法改正によって、「子どもの権利条約」の内容に一歩前進し、子供の利益が更に守られる取り組みになることを願うばかりです。

そこで、以上の点を踏まえて、今回の法改正に伴う、佐賀県認識と考え方、これからの役割について2点お尋ねします。

 

(1)離婚後の子どもの養育について(男女参画・こども局長)

今回の法改正に伴い、離婚後「共同親権」制度が導入されることで、県として離婚後の子どもの養育がどうなっていく認識しているか。

 

(2)県としての支援について  (男女参画・こども局長)

離婚後の共同親権による子どもの養育に関し、今後県民から相談が寄せられることが想定されますが、県としてどのように支援していくのか。