九州新幹線西九州ルート整備促進議員連盟勉強会が開催され、講師に佐賀大学芸術地域デザイン学部 有馬隆文教授をお招きした。
テーマは
「都市計画研究者が考える九州新幹線西九州ルート」
もともと有馬教授は新幹線設置は反対のお立場だそうだが、ここまで議論が行われている新幹線について、もし設置するのであれば佐賀駅ルートが佐賀県の発展に繋がる、というご意見でした。
コンパクトシティのありかた、これからの移動の質の問題など、様々な示唆をいただいた。
以下、メモです。
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土木ではなく、都市の専門。都市の専門家からみた九州新幹線という視点。
「都市計画の研究者」として、基本的には西九州新幹線整備には反対だが、ここまで整備が進行している以上、止めることは難しい。
止めることができない以上、3つのルート案の中から、今後の街の発展に寄与する案を押したい。
速さではなく、旅行の質が求められる時代。
止まらない駅も出て来るが、速さばかり求めて通過している、というのほどうなのか?
ただ、国家プロジェクトとして止められないので、今ある案の中から最善を考えたいという思い。
3つのルート案から、鳥栖・佐賀市の市街地を経由する案を最善と考える。
1中心市街地活性化の観点
交通計画と都市計画は一体的に考えるべき。
新幹線駅は、中心市街地を活性化する材料であるべき。
大分の話し。
・都市の針治療。
都市のどこを刺激したら周辺が良くなるか、という視点で都市再生を考える。
佐賀市は.佐賀駅を中核とした各拠点エリアを有機的につなぐ街の「南北軸」の強化
・都市触媒
対象地域に触媒となる要素を挿入することにより.触媒が変化を起こし対象地域を再生する方法論。
何を投入するのか?
例)ロンドン、高級住宅
アメリカは荒れた地域に野球スタジアム、
→質が違うものを投入
新幹線駅をつくるのであれば、既存の街に対して良い効果を及ぼすものを投入すべき。
以前は、新しい街をつくる。今は、成長させていかないといけない。街育ての時代。
佐賀市は人口減っているが、駅周辺は増えている。駅を都市触媒として考えるべきと思っている。
2地域拠点強化の必要性
2014あたりに、「消滅可能性都市」という言葉が出た。
佐賀市は消滅可能性都市のリスト外だが、現状を深刻に受け止めるべき。
1979年と2010年の小売業年間販売額のデータ。
中心市街地の求心力が失われてきている
都市構造可視化計画サイトより。
地域の拠点を失うと、合併の可能性など。
地域の核を守らないと合併の対象になる可能性。佐賀を維持するには、佐賀の拠点を大事にしないといけない。県も統廃合の可能性も。
人口減少時代だからこそ、地域拠点を強化すべき。
3)時代のトレンドを考慮すべき
国交省 コンパクトプラスネットワーク。
国はコンパクトな市街地形成という方針。
都市拡大・スプロールがもたらす様々な課題
コンパクトシティは国際的潮流。
ロンドン グリーンベルト地帯。人口増えたら、周辺に計画的に街を作る計画。
フランス パリ 15分都市。歩いて15分、自転車で5分。メルボルンは20分都市圏という計画。
4)拡大志向型まちづくりから、ストック重視型のまちづくりへ転換
昭和は拡大で良かったが、これからはストックを成長させていくまちづくり
集積には相乗効果がある。逆に言うと、集積をあきらめると、いろんな人、モノが離れていく。
◯質疑応答
・集約には賛成だが、規制緩和でまちが拡大された。産業政策そのものを変えないと、大規模店には負けてしまう。
a例えば、海外イギリスは中心市街地の活性化で、まちなかにショッピングセンターを誘致していた。ショッピングセンターと商店街が共存している。
大型店が街中に人を引き込んでいる。住宅も同時に。歩行者天国も増えている。人が歩かないとまちが元気にならない。
電動車椅子の貸し出しサービス。
駐車場のそばにすぐ電動車椅子借りて街中を巡る。歩行者空間だからこそ、それができる。
・佐賀駅周辺はマンションで人口増。福岡の通勤圏。新幹線通ると特急減ると利便性落ちるのではないか。
a人口増は福岡までの通勤圏というメリットと認識する。ただ、ソフト的な対策ができないかと。JRとの折衝の中で折り合いつけないといけないのかなと。
在来線と新幹線の接続。交通網は、次のモードに繋ぐ。空港と線を繋ぐよりは、
交通の路線は次のものと繋ぐのが基本。飛行機と繋ぐのはあんまりメリットないのではないか。
・新幹線整備反対の理由は?
海外で暮らしていて、速さではなく、旅行の質が主眼であって、速さを求めて新幹線整備というのは疑問。今の旅行の質を上げることの方が必要ではないか。