佐賀県議会 新型コロナウイルス感染症対策勉強会が開催されました。
国立国際医療研究センター病院
国際感染症センター
センター長 大曲貴夫先生
以前の視察に引き続き、今回は県議会の勉強会として大曲先生を講師にお迎えして議会全体と、健康福祉部の部長はじめ担当職員の方々を含めた勉強会でした。
以下、メモです。
・国立国際医療研究センター
日本の6つのナショナルセンターの一つ。
1868年の始まり。傷病兵の病院だった。
病院だけでなく、研究所、病院、国際医療協力局、看護学校、感染症センター、HIVなども。
その中に、国際感染症センターが2004から。その時SARS。
新興感染症があった時に対応するために開設された。
コロナ対応する中で、感染症対応は社会を守るために重要。
臨床、研究、人材育成の大切さ。
一番大事なのは臨床。
特定感染症指定医療4床。
トラベルクリニック。
これから重要になってくるのは、予防接種関連。
特定感染症指定医療機関 4施設。
海外から入ってくる重大な感染症。空港の近く。合計10床。
第一種感染症法指定医療機関 54医療機関。
2014.15のエボラで、国の対策を整えるため、全ての都道府県で最前線で対応するため、設置が進んだ。
2014のエボラウイルスの疑いでセンターに搬送。メディアに囲まれる。患者さんの人権、個人情報をどう守るかも今はだいぶ進んだ。
◯新感染症病棟4床。
これまでは封じ込めだった。
隔離は当たり前、広げないのは当たり前。ただし患者を助ける。
ただ、エクモが出来ない。収容しても治療が出来ない。
今までの部屋の倍の面積が必要。電源等。平成28年あたりにようやく完成。2020年のコロナに間に合った。
やっぱり感染症は来る。今もできていないことの洗い出しをやっている。
◯厚労省受けて
情報収集。果たして集約されているのか?は更に行うべきところ。収集、共有、活用。
例えばダイアモンドプリンセス。専門家を集めて対応することが大変だった。災害だとDMATがあるが、感染症は国の仕組みとして集める仕組みがない。関係者で任意でなんとか対応した。
しかし、送り出す病院からすると、スティグマとなる。
危機管理ができる人材をネットワーク化する活動。
◯WHO協力センター
世界単位で情報を共有すること。
◯サル痘
天然痘に非常に似ている。1970以降散発。2022になって、アフリカかれ欧州、米州などで急増。
日本でもじわっと広がっているのではないかと見立てているが、ほとんど軽症なので目立たないが注意が必要。
◯
実は2020年1月でコロナの患者は既に出ていた。
中国旅行者の添乗員など。
1月末に武漢閉鎖という話し。日本人を連れて帰るという厚労省の話し。感染対策を考えてくれということ。初めての対応。数100人規模で旅客機。
体調良い悪いて席を分け、マスク対応。5.6回飛ばして800人以上。
全員健康診断とPCRした。健康な人へのPCR。無症状の陽性者が確認されたのは良かった。
ダイアモンドプリンセス号。武漢から帰ってきた人は重傷者はゼロだったが、重症例が多かった。高齢者や事情ある人。
中部関西東北でも受け入れた。
搬送用の車が見つからない。災害そのものだった。
初めての患者を新感染症病棟に受け入れてエクモ。
アメリカ保健省。国外にチームを派遣する。ダイアモンドプリンセスのアメリカ人を帰宅させるという任務も。帰れない米国人も多い。彼らを全て見つけて回復支援、連れ帰るというチーム。国外でバリバリ活動するチームの存在への驚き。
レムデシビル投与。
データ集めて治験に繋がった。
国際協働治験。
日本の体制が見劣りした事実。
◯コロナ
オミクロンになって、重症化、死亡は減っている。
今年の1月で様変わり。99%は無症状。
最初20%→0.2%
今は酸素必要な人は0.02%
ただし、オミクロンだからと言って全員が軽症ではない。ワクチン打たない丸腰の人は、まだ重症化リスクは高い。ワクチンの影響は高い、ブースターの影響は高いというデータ。
オミクロン。
子供の問題。子供の入院患者
今子供の入院患者は重症が多い。
発熱の比率が高まっている。
喉の痛み、痙攣の比率も高まっている。
子供の陽性者が増えると、比較的重篤になる人が増える。ワクチンの努力義務をどう進めるかは課題。
高齢の人。7波でも死亡者増えている。持病が悪化して亡くなる人が増えている。
超過死亡。循環器が原因では?
◯今後は
三菱総研のデータ。
読み違えていた。患者の数。
封じ込めの可能性の希望をかつては
持っていた。
受け入れざるを得ない。亡くなる方の数が落ち着いて普段の医療で受け入れらるようになったら収束だろうと。
東京アンケート。熱が出たら診察・入院・治療ができるのか?という不安。こういう不安がなくなれば収束に繋がるかなと。
マスクをいつ外して良いのか?は自己責任ではできないことを痛感している。
◯質疑応答
・海外ではマスクしてないが?
地域差があると感じている。北米欧州はしてない。アジアは着用している国が多いようだ。人権侵害などの観点の違いがあるだろう。国の方針も。
ただ、亡くなる方、重症者の数の認識が国によって違うと感じている。アメリカは人口の死亡者割合は日本とは桁違いだが。日本は徹底的に重症化を減らすという考え方。意識の差がだいぶあると感じている。
日本で2200万人くらい罹患した。他国は半数などで、重症化のリスクは減っているだろうとは想像するが、日本はまだ少ないので、タガを外すと重傷者がでることは起こりうる話し。イギリスのように一気に緩和するのは危険だと思う。ただ中国のように閉めるのも厳しい。一気に外すのは痛みが大きいのではないか。
・フィンランド、人口550万人くらい。一日7000人くらいの感染者だったがマスクしてなかった。
ワクチン、治療薬などの見込みについて。
ワクチンの方が普及が早いと思われる。先進国ではワクチン疲れ。途上国若い人多い国、治療薬入れてどうなるのか?という話し。
人口構成で高齢者多い国では早く治療して重症化させないこと大事で日本はその代表的な国。しかし、治療薬はすごい高価。
・インフルとコロナワクチンは一緒に打って良いのか?
・地域の医者は3回打ってたらもう打たなくて良いという医者なども。
・鳥インフル、豚コレラに脅威。この研究ほどう進められているのか?
インフルとコロワクは同時に打っても大丈夫。
ブースター打つことでオミクロンに免疫つくのは間違いない。2価型でさらに高まるのは間違いない。長期に効くようだ。3回で打ち止めにはならないかなと思うが、8波を小さくする。
高齢者は少なめにして良いという話はあるだろうが、治験では同量でやっているので少なくしての効果がわからないので今後の話かなと。
豚コレラ、鳥インフルも対策していくと。
・集団免疫について
7波。
毎年来るだろう。リスクが低い人には緩和していくべきと考える。漠然といえば特別扱い。コロナは診れないとか。東京都民の不安は一番がこれ。こうなると不安が高まり特別感が高まる。気持ちの準備としての医療の受け皿が必要。
・未知の感染症への対応
瞬発力ある対応が作れているかといえば作れていない。患者からとったウイルスがまず必要だが、それが出来てない。ちゃんと調べるまではできているが、研究に回すことができていない。研究のスピード感。
日本は従来のワクチンをつくった。新規のものを作っているがまだ間に合っていない。
海外はmRNAを一気につくった。これは事前の準備。こういう微生物が入るだろうという事前準備。緊急の薬事承認。EUAとか。これはの準備の差が大きかった。
日本の製薬企業がファイザーのような治験ができたかというと、難しい。世界でやらないといけないが、日本にはそのような経験はない。少しずつ行われてはいるが、間に合っていない。
・
人の暮らしが変わった。感染症のでる頻度も変わった。ほとんど局地的だが。社会を揺るがさない準備が必要。
感染症対策をしながら、社会は動かさないといけない。ここを社会のダメージを少なくしながら合意形成するか。
2020年2.三月くらいはバランスとりながらやろうという話が日本にはあったが、中国がロックダウン。これで一気に極端に振れた。自分が経験したことない感染症への不安に対して、我々が大丈夫と言っても、理屈じゃなくて感情では納得しない。簡単ではない。次にもう少し上手なやり方を検討していくべきと思う。