本日佐賀県議会で開催された、「新型コロナウイルス感染症対策特別委員会」の速記録です。

佐賀県の新型コロナウイルス対策の現場の指揮を取っていただいている、青木先生から直接話しを聞かせていただくことが出来ました。



新型コロナウィルス感染症対策特別委員会
講師
国立大学附属病院感染症対策協議会 会長
佐賀大学医学部副医学部長
国際医療学講座臨床感染症分野 教授
附属病院感染制御部 部長
 
青木洋介氏
 
「新型コロナウイルス感染症 COVID19 現状・対策と今後の課題」
 
●今回の新型コロナウイルス感染症について
・コロナは何千年も前からある。大きさは1/10000mmであり、見えるはずはない。
・どういった形で飛散するかを知っておくべき。
・コロナウイルスは18000人の患者。致死率は今日で5.2%
・インフルエンザは、200万人で世界で致死率0.1%(日本はこんなに高くない)
・日本のようにすぐ治療できる国はほとんどない。
・世界は救急車呼んだら10万円取る。日本はそういうことはない
 
・佐賀でコロナウイルス感染者はのべ47人で18000人に1人。
・毎日報道でコロナと言うので、多くの方が恐怖感を抱いていらっしゃる。
 
・ウイルスには、動物の種の壁があるが、時々超えることがある。種を跨ぐと重症化する。
・哺乳類間、鳥類。人間だけではない。
 
・今回は、こうもり。人獣。人畜共通感染症。
・ほとんどの風邪は4種類のウイルスであり、時々、重症化する。
 
 
●感染拡大と拡散防止のための行動自粛
 
1918スペイン風邪。30005000万人が亡くなった。その時以来の感染症。
 
・今回のコロナは、
80%は軽症のまま治癒。かぜ症状
20%は入院。
5%が集中治療室
 
 
●不安が増幅されたコロナウイルス感染
・佐賀の生活圏内であれば、生活圏の拡大がない人は、コロナに罹患する確率はほぼない(絶対ない)
・しかし、人間の心の中で、不安が増幅。
・学校休校、会社休業などでウイルス以上の不安の拡大。
・濃厚接触者。流行拡大地域への移動、滞在には疑い。それ以外は感染することはない。
・ステイホーム。家の外にいるとウイルスがいる?という考え。空気中にウイルスはいない。
・ウイルスは、感染者か感染者の飛沫。
・散歩、外出にマスクはいらない。
・マスクしない人を糾弾するのはやりすぎ。
・外出やマスクなどの人目が気になるが、ウイルスとは関係ないこと。
・佐賀にずっといる人が、感染することはない。
・東京、福岡で起こると、警戒準備しようか、というのを疫学的に見ることが大事。
・第二波はないとは言わないが、風邪はくる。
 
 
●サーズと新型コロナウイルスの違い
・サーズと新型コロナウイルスの違い。重症化率の違いなど
・サーズは感染者はほぼ全員重症化。
・新型コロナウイルスは軽症、無症候が多く、大部分が検出できない。
・交流の封鎖、制限の考え方について
・流行ピークの時は人と交わらないように。
・感染症ピークになると、他の医療が出来なくなる。ピークをつくらない。
・人を動きを止めないと別の医療が必要な人が治療できなくなる。
 
 
●感染収束への考え方
終息させる3本柱。
1クラスター早期発見・対応
2患者の早期診断、重傷者への集中治療の充実
3市民の行動変容
 
・パレートの法則。10%の感染者が新たな感染者の80%になる。
 
・保健所の尽力がなければこんなに抑えきれてない。病院もだが、保健所も。
 
・ステイホーム。家にいるというよりは、どこにいるかわからない感染者への対策。
・子供が感染するのは、親から。
・学校は広い閉鎖空間。小学校は思われているより安全。高校はある程度社会的リスクは増えるが。親が感染しない状況であれば、基本的に問題ない。
 
・医療従事者は罹っていないという錯覚。全ての医療機関で考える必要性。
・佐賀は終息域に入っている。
・保健所の多大なる対応。
 
●佐賀県の取り組み。
・プロジェクトM。佐賀独自で素晴らしい取り組み。患者にも安心した取り組み。トリアージ。医療・介護施設。
佐賀県は1例目から前広に「念のため検査」。その他周辺者が0%
・クラスターも起こったが。マスク手洗い、一般の県民の皆様のがんばり。
・インフルエンザも減った。
 
・抗体検査すべきという声。しかし、制度が定まっていないので、余計に混乱する。
・例えば、高血圧の人が血圧の薬を飲めば低くなる。
・まだ特効薬がない。ワクチンは安全性の確認が始まっている。
・抗体ができるか?またウイルスを中和できるかの試験。
 
・今はアビガン。投与7日目。
・薬が効いたのか、何もなくて改善したのか、まだわからない。
・インフルエンザの治療薬よりも、治療効果がまだ確認できていない。
 
・東京2500,福岡県6200.佐賀県18500人に一人。
・ほとんどの全ての国民が感染しない。重症化率の高い感染症。
・その辺にウイルスがあるわけではない。
 
●外国との違い。
・磯田先生の記事。文藝春秋。日本は感染がすくない文明。
・歴史的背景があるので、日本では感染が少ないのではないか。
・毎日風呂に入り髪を洗う
・毎日清潔な服を着る
・キスやハグではなくお辞儀
・外と中のゾーニング
・上水場の管理・保全
 
 
●第二波の可能性。
・今年、1011月以降など、万が一新たに感染拡大したときの準備を。
・インフルエンザは、毎年飲み会などの接触で広がる傾向強い。
・飛沫。マイク。コップの共有などから感染。
 
・これから、これだけ暑い時期に、佐賀県でどこまで国が提唱する感染症対策をやるのかを考える。
・密集回避、密閉回避、密接回避、外出控え、換気、咳エチケット、手洗い。
・咳エチケットと手洗いは、今回契機に根付かせるべき。
 
●今後の課題。
・医療体制。より大きな被害を想定
・県民の行動変容。
・社会性。正しい情報の共有。単に「密集を避けましょう」ではなく、コミュニケーションに支障をきたすような、不確かな中でも最大公約数で共有できること。
・判断と意思決定
 
 
【質疑応答】
Q:検査のあり方について。
A:一般の人からすると、PCR検査したらすぐわかるだろ?という感覚がる。しかし、保健所の人は寝ないで業務に当たっていることを認識すべき。ベッド増やせばよいだろ?というが病院の病床も限られており、限界がある。
そこで、佐賀県も基幹病院中心に、PCR検査とランプ法で検査体制を拡充する方針。
疑陰性というものもあるが明日陽性になる確率もある。お金をかけてどれくらいやる必要があるのか。一般の方の不安解消のために体制を整える必要はあると考える。県と医療機関で検査体制を増やす方向でやっている。
 
 
Q:医療現場への支援のあり方。
A:感染予防への物品不足。検査体制整っていない病院も多い。検査機器など、普段は必要ないので置いていないため、今回の有事に混乱することとなった。しかし、何年に一回は感染症がくる可能性はある。インフラ、機器整備は十分な手当がなされる方が望ましい。
誹謗中傷は、お伝えして理解を求めるしかない。一般の人の不安がどんどん先行する。理不尽がおこる。そこを検証することは大切だ。そこは社会で考えないと。
 
 
Q:マスコミの報道。情報の取り扱いについて。
A:メディアは、起きたことだけ報道する。県民が何人いて、何人罹患した。分母にも光をあてて伝えないと、不安ばかりが煽られて、過度の影響がでる。疫学。罹患率、感染率も一緒に。
 
 
Q:ウィズコロナ、アフターコロナとの共生社会について。暮らしの変化について。
A:新しい生活様式。あれを今後も続けるのは負担。
標準予防策というのがあるがなかなか伝わりづらかった。咳エチケット、手洗いなどを伝えるのはよいこと。
佐賀県では患者がいないのに、集会やってはいけない、とか、面会禁止などの対策は。あっという間に決まるが、どう解除するかを考えるべき。
今回のコロナで何を取り入れていくかというのが、例えば咳エチケットや手洗いなど、いくつかは残るだろう。
 
 
Q:医療機関と高齢者施設の感染対策について
A:標準レベルに底上げする必要がある。今から感染対策啓発で3ヶ月かけてまわる。平時にやる必要があるもの、福岡で増えたら、配置につく準備など。今は準備の期間として、巡回を開始している。
 
 
Q:ワクチン完成したら、インフルエンザと同じように捉えて良いのか?
A:インフルエンザワクチン、予防効果は感染率50%。コロナもある程度の効果はあるが。不安感に解消には一定繋がるが、咳エチケットなども。
 
Q:ワクチンで後遺症が残るということは?
A:今はまだ集計できない。一人いたという報道があったが、これも分子のみ。
 
 
Q:医療現場、保健所も大変だった。ここ30年〜で保健所は縮小されてきた。もう少し保健所機能を共有強化する必要があるのではないか?
A今回のようなことが起こればかなり大変。フレキシブルに保健所機能が十分に拡張できることが大切。
 
 
Q:連携できる部署が必要。感染しても無症状という人もいる。免疫力を高めるということについては?
A:免疫力を高めることは出来ない。落ちないようにする。保つことが大切。睡眠とる、食事取る、ストレスかからない。
 
 
Q:再陽性の捉え方について。
A:PCR検査は、ウイルスのかけらがあれば見つけようとする。治りかけの人がたまたまウイルス見つかったことも十分考えられる。ウイルス量も減っている。プラスかマイナスだけでわけるのではなくて、流れを確認する。国の退院基準もゆるくなっている。
 
 
Q:国は唾液によるPCR検査について。検体運ぶことに安全面の課題があるとも言われるが?
A:唾液の方が感染拡大少ないのは間違いない。ただ、鼻の奥からとったものと唾液では、精度の確認ができていない。
 
 
Q:インフルエンザの同時流行はあっても、同時感染はない?
A:1人の体で、2つのウイルスが悪さをすることは基本的にない。
 
 
Q:インフルエンザは、国として研究が行われているが、コロナはどうなるのか?
A:今回を契機に人と鳥以外の人畜感染症についても、今後研究進むと思われる。
 
 
Q:接触確認アプリについて
A:どれくらいの効果かは、これから検証されると思う。まだこれからという状況。
 
 
Q:今回の佐賀県の対策で、反省点・改善点などあるか?
A:大きな反省点はない。
ただ、あまりにも恐れが強すぎて、診療受けられない人がいた。
正しいリスクを伝えていくこと。
注意はした方が良いが、一般の医療が出来ないこと。
 
 
Q:免疫力落とさないように。ということ。除菌滅菌殺菌減菌。もっと免疫落ちるのではないか。
A:すぐ抗生物質のむとかはやめた方が良い。人間の正常な免疫機能に支障をきたす。過度の除菌。