鳥栖市議会議会運営委員会で視察に行ってきたので、報告をあげる。
戸田市の紹介
戸田市は、1960年に戸田ボートが設立され、「ボートのまち」と言われている。また、JR埼京線の駅が3駅あり、東京都のベッドタウンとしても有名である。市民の平均年齢は39.7才と若く、平均出生率は1.55人で人口増が進んでおり、待機児童の問題などが顕著で、近年17園を増設し対応している。そして、市議会議員選挙よりも国政選挙の方が投票率が高くなる傾向がある。
◎調査日時場所
日時:5月13日(水)14:00~
場所:戸田市議会 埼玉県戸田市上戸田1-18-1
◎調査事項:議会改革について
・議員提案条例の上程までの流れについて
・議員提案条例の背景
・情報公開の考え方と、具体的項目と手法について
・議会での合意形成について
・議会における情報通信機器の使用基準の制定について
◎報告事項
〇戸田市議会の特徴
1.常任委員会毎の重点項目の策定
戸田市議会では、4つの常任委員会毎に、取り組む重点項目を委員会の責任において策定しており、市内視察や先進地視察を連動させている。常任委員会の重点項目案を各会派でさらに協議した上で策定することで、議会の総意をまとめる工夫が行われている。また、月に1度の常任委員会開催を定例としており、年間で取り組んだ結果については、提言書などの形で取りまとめ、担当部署に提出し、議会だよりに掲載している。課題として、改選などで議会組織が変わった時に、当時の提言をどのように継続・チェックするかがある。
2. 自転車条例について
戸田市は、自転車の利用者が非常に多く、交通安全の面から以前から多くの意見があった。しかし、議会が思うほどの進捗が見られず、平成24年度の市民生活常任委員会の重点政策として条例制定に向けての取組を掲げ、平成24年12月定例会で「戸田市みんなで守ろう自転車の安全利用条例」が全員一致で可決された。
平成22年にも同様の内容で文教・建設委員会で重点的な議論がなされたこともあり、議会としても課題として認識されていた背景がある。
条例は5年ごとの見直しとしている。また、条例を制定したことにより、進捗せざるを得ない環境を作り出し、市内道路に自転車レーンの設置など目に見える形で進捗している。
3. 市民に開かれた議会について
(特徴的な取組)
・市民モニター制度
平成22年12月付けで、議会運営委員会により、「戸田市議会モニター設置要綱」を設け、18歳以上15人以内という範囲で、市議会の市民モニターを設置している。
現在、議会モニターは、会議(非公開の会議は除く)を傍聴し、会議運営に関する意見を文書で提出し、該当する会議体で検討し結果を公開することになっている。また、議員との意見交換を行うことになっている。
課題としては、議会モニターからの意見が、議員への個別の質問であったりなど、役割に沿わないものが増えつつあることであり、今後検討が必要な部分である。
・傍聴者への配布資料について
市民モニターからの指摘があり、委員会での傍聴者への資料提供については、委員会毎に2部を準備することとしている。
・議会ツアーの実施
議会広報活動の一環として、平成27年5月1日より開始。申込用紙記入の上実施。実施は現在までで0件。
・情報通信機器の使用について
戸田市議会では、平成25年度に特別委員会を設け、情報通信機器の使用について協議を行った。使用基準を設け、利用届出書を記入の上、使用を認めている。24人の議員中、13人が届け出。
感想
各常任委員会毎に会派とも調整を図りながら年間重点テーマを決め、議論を執行部と共有しながら、提言書などの形で活動成果をまとめている点は特徴的だった。また、年度によっては、通年議会に近い形での委員会運営となっている。そして、これらの活動広報についても特徴的な様々な手法で取り組んでいる。
年間を通して、委員会が軸となり、重点項目に沿って調査研究し、最後に提言をまとめ、市民に随時広報を行うという一連の流れがあり、特に市民との連携には柔軟に取り組んでいるように感じた。