2023年は全く積雪がないまま年を越し、クリスマス寒波も年末寒波も訪れず日光連山には申し訳程度の積雪があるのみ。とりあえずSCWを見て県全体がバリ晴れになる事がわかれば日の出前に車を走らせ宇都宮市を目指しました。

この冬は宇都宮LRTが開業して最初の冬という事もあり、線路の建設段階から楽しみにしていたアングルがありました。LRTが鬼怒川を跨ぐための長い高架で飛山城址の山を越え、作新学院大にほど近い清原台の西端に着地する場所。LRTが下を潜る清原学園通りの歩道から望遠を飛ばすと男体山と白根山の2峰が電車の背後に大きく聳え立つ構図が出来上がるのです。もちろん試運転の段階で訪れ、そのアングルで撮ってはいましたが、積雪とガス抜けのピークである12~2月頃の早朝なら県内で撮れる山バックの鉄道写真の中でも最上級のものが撮れると思って温めていました。

 

image

 

最初のチャレンジはSL大樹の新鹿沼延伸の日。早朝からバリ晴れ予報が出ていた事もあり、お試し感覚で久し振りに現地に赴きました。付近には駐車場所がないため道路わきの僅かな空間に数台が止まるぐらい。パニるようになるとトラブルが起きそうだなぁと思いながら車を降りて立ち位置に歩きました。

試運転の際に撮った写真を見ながら、高架の柵に車体が被らない程度に寄りつつ車体に架線が被るほど寄り過ぎないラインを見定め、アイレベルでハスキーを展開。電車と山だけを映すシンプルかつ迫力ある画角を作るために、高架を潜る国道408号に沿って生える電柱を右端にカットし、左端は線路脇のボックスをカットする400mm構図。70-200mmだけでは足りないので1.7倍テレコンをつけました。かなり正面がちに撮るので見かけの移動量は少なく、その分シャッタースピードは遅くすることができ、絞りを上げたり感度を下げたりしてクリアな画作りも可能です。ただテレコンを噛ませるとどうしても解像度は落ちるので、こういう時にニゴゴローが欲しくなるし、次の機材更新は超望遠でしょうか。300mm以上撮れるレンズが欲しくなる場面は俯瞰撮影地で多いんですよ。

 

さて、まとまった降雪がない状態で迎えた今年の挑戦初日は当然BOSE。小一時間ショバに居て何本か撮りましたが、日の出直後のエロ光以外は見栄えも悪いためチャンスは1日1~2本といったところでした。ほぼ東西に走る線路の北東側から狙うため、車両が綺麗に光るのは線路より北側に太陽があるタイミングに限られるのです。つまり、日の出からわずか数分しかありません。しかも国立天文台が示す厳密な「日の出」の時刻ではまだ山影が抜けないので相当シビア。これは想像以上に難しいチャレンジになる事が感じられました。

 

宮環~県道70号を走り、次に向かったのは下小代築堤。LRTのゴールデンタイムが日の出直後に限られるのに対し、こちらは午前遅めでも充分撮れるので上り特急がまとまって通過する9~10時台が狙い目になります。LRTのあと朝マックで朝食を挟んで転戦すればタイミングはバッチリなので、新しい朝練のスタイルが確立された気がしました。

ここは女峰山がバックに来るスパンを切り取って先頭車をクローズアップする構図がVなので、レンズはLRTと同じものが使えます。とはいえ積雪が乏しいと迫力は半減。2022年、2023年と2年連続でVカットが撮れており、それぞれ原色と金色では卒業できているので🍓と煮卵で激山を撮れれば完璧ですが、運用にも恵まれず初日のチャレンジは終わりました。

 

次のチャレンジは日光連山にある程度積雪してから決行する事にしましたが、その「まとまった積雪の後のバリ晴れ」という出撃条件に満たない日が続きました。ようやくチャンスが訪れたのは1月最終週。もはや今シーズンの激山すら危ういタイミングなので、多少の雲は妥協するしかない!と踏んで2度目の挑戦を試みました。

撮影地に着いて山を見ると、確かにしっかり積雪していました。しかし男体山の背後には雲が立ち込め、群馬との県境にある白根山は見えない条件。優勝には程遠く、光が線路南側に回る前の2本を撮影して撤収しました。



白根山は見えないものの日光連山自体にはあまり雲がかかっておらず、下小代築堤ならそこそこ撮れる条件なのでスペーシア狙いに切り替えました。下今市9:34発の「きぬ114号」煮卵(DRC塗装)の101Fが入るため、これを撮ってSL大樹2号に転戦する事に。しかし下小代築堤に着いた頃には山の雲が増えており、女峰山も結構ギリギリ。なんとか見られる写真にできましたが、不完全燃焼で撤収しました。

ただ積雪量が増えて間違いなく前回より良くなっており、このタイミングで雲がかかり出したという事は日中の太陽光が遮られて雪解けが遅れます。さらにこの日以降も山ではそこそこ降雪する模様なので、次またバリ晴れが来ればどちらも卒業できると確信しました。

 

その日はすぐにやって来ました。2回目のチャレンジから二日後の1月29日、栃木県上空が終日ガス無しバリ晴れ予報。これは行くしかない!

朝焼けに染まる東の地平線に向かって車を走らせ、ショバに着いてから眺めた日光連山の美しい雪化粧に勝利を確信。LRTは3度目の正直で卒業できました。そして転戦した下小代築堤では「けごん20号」に入った🍓を仕留めました。



真っ白な女峰山を背に走る姿はいちごみるくかショートケーキを連想させます。この妙ちくりんな塗装だからこそ撮りたいアングルです。



なお前座として新栃木回送もいただきましたが、青+茶の一番嫌な組成なのであまり嬉しくはない。赤+青の激山はSL大樹の運行開始以来未だ一度も実現しておらず(年間を通して結構見られる組み合わせだが肝心な冬光線の時に中々来てくれない)、天候のみならず運用ガチャのせいで卒業へのハードルが果てしなく高い隠れた鬼門です。裏カマスでバリ晴れのカシオペアが先に達成されてしまったので、これがラスボスかもしれません。

 

さて、残された課題は煮卵101F。LRTが卒業できた以上、狙いはスペーシアに絞れます。最も光線の良い便は8時前にやって来る唯一の運用である「けごん10号」。雪解けが進まないうちに撮らなければ1年後、いや改正の内容次第では見納めになってしまうので残されたチャンスはフル活用しなければなりません。東武鉄道公式サイトにはスペーシアの運用表が週ごとに開示されるため、Vな条件で撮れる日を狙って出撃できます。「けごん10号」に101Fが入り、かつバリ晴れ激山が期待できるのは、1月31日でした。

 



100系はダイヤ改正を乗り越え定期運行が続いていますが、スペーシアXの増便に伴い運用は縮小されています。幸い下小代チャレンジが可能なスジが3本残り、うち2本はエロ光。また、LRTは柳田大橋から狙う富士山バックが未履修のため来シーズンも引き続き早朝の宇都宮に通うつもりです。2023年度は雪に恵まれなかったので、今年度は更なるドカ雪が来る事を祈ります。