帰国してすぐ風邪をひいてしまいましたが電車する気力はあったようで、次の週末はイルミネーション特別運行の2023年初運行に参戦したようです。イルミネーション特別運行は2020年から始まったSL大樹の「夜汽車」運用で、日没後の鬼怒川線を1往復する9号・10号が設定されています。一年のうち最も日が短い時期である11月下旬から約1ヶ月間、週1回(土曜日)だけ走る冬の風物詩です。かつての夜汽車の雰囲気や、蒸気機関車とイルミネーションの珍しいコラボを求めて乗り鉄も撮り鉄も毎年全国から集まります。

 

大樹の闇鉄というと倉ヶ崎のイルミネーション一択と考える方も多いと思いますが、鬼怒川線各所にイルミネーションが出現するため撮り方の選択肢は無限大です。

倉ヶ崎午後側からのアングルは過去2年でカットが結構たまって正直お腹いっぱいなので、今年の下りは非定番縛りでやりました。2021年ぐらいまではスジが寝ていたので追っかけがしやすかったのですが、最近は日中の大樹と同じような速度で走るので撮影難易度は増したように感じます。

 

さて、今回の機材は弟が花火の撮影などでよく使っているZ5+24-120mm。ミラーレス一眼に初挑戦です。このカメラはなんといってもFXフォーマットのイメージセンサーを持つフルサイズ機である事が魅力。ISO感度の上限51200を誇るAPS-Cの最高傑作と言われたD500を使っていても、低照度下での撮影は最新のフルサイズ機には勝てないと感じる事は多々あります。Z5のISO感度はD500と同じ51200が上限ですが、ZマウントはFマウントよりも口径が大きいため取り込める光量も多く、加えてFXフォーマットであるため従来よりもかなり明るく撮れるはず。レンズの開放値がF4.0と微妙ですが、イルミネーションでどれだけ使えるか試す意味でも拝借してみました。

 

この日も弟子を下今市で拾い、まずは兎の置き物がある栗原切り通しへ。卯年の賀正HMをここで撮った際に良い組み合わせだと思ったので、ショバの難点であるうるさすぎる背景が闇に沈む夜こそ撮るべし!てなもんです。

とりあえず日中と同じ100mm強の縦アンで構図を組む位置に三脚を展開し、ウサギと線路の位置関係を考慮して微調整。絞りはもちろん開放で、通過速度が遅い事を考えSSは1/80まで下げます。ISO感度はD500だとノイズが乗りまくる6400に設定し、待機。

 

 

このスパンでドレンはありませんでしたが、SLの存在感をなんとか出せました。電飾を反射させるなら更に手前のスパンを切り位置にする必要がありました。

 

翌週は栗原から数百メートル鬼怒川温泉寄りの新高徳駅入線。駅前には大きなツリーがあり、障害物が多いもののかなり明るくなる駅です。ここでVを撮ってみたいと思い、前週とは別の知り合いを連れて参戦しました。

駅前をしばらく徘徊してツリーを活かせるアングルを模索した結果、踏切を渡った線路西側に構えてツリーを面横に持ってくるフレーミングが一番良さそう。手前の草むらに仕掛けられた電飾のおかげで露出はかなり確保されます。

栗原とは異なりカーブを抜けて加速する所なのでSSを上げないとブレてしまいます。とはいえ栗原と比べて大した速度差ではないので1/100で。

 

 

切り位置がピンポイントなのでロッドが揃わないのは仕方ない、というか目線下げて隠してしまうのも手ですね。でも下げたら下げたで背景のツリーも隠れちゃうよなぁ…

 

先述の通り追っかけはタイトなのでしっかり走らないと追いつかれてしまいます。鬼怒川温泉駅入線を跨線橋の階段からブン流してみました。

 

 

流しの精度は相変わらず。場数が足りないので実戦で養うしかありません。何年かけてもいいから激Vを決めたい。

 

 

そして鬼怒川温泉の転回からの側線留置。夜汽車はここが大本命ですらあります。転車台も光るんです。

 

 

 

煙やドレンの流れが良い演出になります。バルブ撮影なんて普段やらない私でも夜汽車の鬼怒川温泉は年に唯一必ずバルブする場面です。側線から動くまで撮影し、10号は定番に行きました。

 

にしてもZ5の解像力は最高ですね。惜しむらくは秒4.5枚という連写性能の低さで、SLを撮る時はロッドも揃えたい身にとっては大きなハンデを背負います。露出を確保しつつロッドが揃わなくても誤魔化しが効くようSSを1/50にして速めの流しで迎撃しました。

 

 

フェンスにも電飾がある!年々パワーアップしていて飽きませんね。

この日は富士山にヲタクがいなかったので広めに撮ってみました。なお翌週は午前側から流してみたものの撃沈でした。