DL大樹が会津若松まで試運転する。

 

最初に聞いた時はついに来たか、と興奮しました。

運行開始から5年目の2022年に会津田島まで入線を果たし、東武鉄道のSL復活運転プロジェクトの目的である「東北復興支援の一助を担う」を体現する大樹の会津乗り入れへの道のりがスタート。デビュー前に無動力で若松まで回送、展示されたC11が今度は自走でやって来る日も近づいてきたのかもしれません。DL大樹としての運転はその足掛かりになるのでしょう。

 

会津鉄道の終点でもある会津若松はおそらく大樹の北限にもなります。そして東武鉄道からの直通運転の北限である会津田島より北は、非電化区間。昨年は磐越東線、左沢線、只見線でDE10+旧客を撮りましたが、単線非電化の客レは最高の一言に尽きます。加えて大川(阿賀野川)に沿って渓谷を下る絶景路線でもあり、只見線にも負けない好ロケーションが点在しているため、ここを客レが走ったら!と以前から思っていました。

 

猛暑の中カワセミHMを撮った後シモイマ側線を見ると、既に試運転HMを掲げたDE10 1109+青編成が留置されており、翌日に初回の試運転が行われると知れました。DE10にこのHMが掲出されるのは昨年2月の田島試運転以来1年5ヶ月ぶりとなりますが、なぜか下り2エンドになっていたのでまた新しい出で立ちで拝む事が出来ます。

 

翌朝5時過ぎにUK・しまちゃんと共にレンタカーで倉ヶ崎へ。曇り予報でありながら時折日差しが届く天気の中、どこで撮るか迷いまくりましたがまずは当初予定していた曇りアングル、倉ヶ崎3.8キロポストに向かいました。時間があるのでガーデニングしながら待っていましたが、雲が徐々に掃けて日差しが本格的に降り注ぎ、これは晴れショバの方が良い!と判断し午前側へ。下今市を7時前に出るスジでは鬼怒川線の下りアングルで順光が得られ、晴れれば普段の大樹とは全く異なる姿になります。

列車交換が少なくスジが立っているため厳しい追っかけになるだろうと考え、車は立ち位置に横付け。こちらも草が所々伸びていましたが余裕で片付き、先行電を撮りながらアングルを見極める事もできました。晴れ基調とはいえ雲が多く、晴れたり曇ったりを何度も繰り返しましたが辛うじて…

 

 

倉ヶ崎午前側の順光写真、レア貴重!

栗原の徐行区間で無事追い越し、リードを得られたのでいつものようにツルハ裏に先行。こちらも草が心配でしたがなんとかなりました。

 

 

ケツ横は住民の駐車車両。

鬼怒川線内で順光2発を仕留め、雲を気にしながら野岩鉄道区間に急ぎます。こっちは曇るかな?と思って逆光のダム俯瞰に行ったら見事晴れてしまい、それでも雰囲気は悪くないのでそのまま撮影。

 

 

うーん青ばっかりの編成だから溶け込むのは仕方ないか。

深緑一色に染まる真夏の渓谷です。

 

モノは中三依でバカ停があるため、野岩鉄道線内でもう一発いけます。早朝の会津西街道をUKの華麗なハンドルさばきで疾走し、途中2ヶ所工事による片側交互通行があったものの余裕で先行。とはいえこの辺りには編成写真が撮れる広さも俯瞰できる抜けもないので、国道から見えるトラス橋に目をつけ、機関車の顔だけ大胆に切り取りました。

 

 

ここも晴れ。逆に顔面を強調出来てよかったのかな?試運転HMには賛否両論ありますが。

隣の上三依塩原でも停車があるので、引き続き頭文字Dで北上し、男鹿高原駅通過をスナップしてから県境を越えました。福島県に入って1発目は、尾瀬口~田島の電化区間。田島の手前に順光撮影地があるものの、県境越えても天気は変わらなかったので見下ろす構図で撮りたいなぁと思い、俯瞰を選択。入口と思われる神社の前に立つと参道が死んでいたうえに尾根を一つ分間違えて南にトラバース。立ち位置もトゲトゲの草が生い茂って悲惨でしたが、七ヶ岳をバックに良い景色を眺望できました。

 

 

まともな道で下山し、田島のバカ停中にツルハで飲み物を仕入れたらいよいよ非電化区間へ。

予めGoogleマップで沿線をしらみつぶしに探索して候補地をリストアップし、YouTubeに上がっている前面展望動画から沿線の概況を掴んでいたので迷いはなく、会津長野の先にあるストレートに向かいました。曇りアングルとして優秀な場所も見つけてはいましたが、ギリギリ晴れそうなので順光撮影地で勝負に出る事に。幸い線路際は前面展望と大差なくスッキリしていたので、ベストポジションを求めて右往左往して最適解と思えるところでセッティングし、上空の雲に一喜一憂しながらその時を待ちます。現場は抜けが良いため遠くまで見渡せたため、丘を下るDE10のライトが小さな点となって視界に現れたのがわかると緊張が走りました。この時点ではダーラ雲によって露出が落ちていましたが、坂を下り駅に差し掛かって一旦視界から消えると徐々に回復の兆しが見え、撮影地奥の踏切が鳴って駅からの登り坂を駆け上がる被写体が見えた途端、一気に雲がなくなり全開露出まで回復!

 

 

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

太陽高度は高いし、背景の山にかかる雲までは抜けませんでしたが非電化区間で2エンド先頭かつ順光の編成写真が撮れた!

思わず叫びましたが、勝負はまだ終わりません。会津下郷での停車で先行出来れば、会津線のハイライト区間たる大川渓谷で雄大な風景写真が撮れるからです。

大急ぎで撤収し、あまり速くない大型車や住民カーの後塵を拝しながらも悪くないペースで湯野上温泉までに大幅リードを獲得。信号を曲がって国道を逸れ、目指すは中井精也も撮った絶景撮影地、第四大川橋梁――――

 

抜けない。

明らかに立ち位置!というところで車を一時停止させるも、期待していた眺望が得られず唖然としました。画角の手前に林立する木々がことごとく成長し、かつて抜けていた所が一切撮れなくなっていたのです!周囲に鉄カーと思しき駐車車両も三脚を据えた先客も居ないので、これは完全に滅んだという事です。なんとか他に抜ける所を探して周囲を探し回るものの、これといって良いアングルは得られません。

詰んだか?いや、まだ希望はある。この先の第三橋梁は南側の道路橋から狙う定番アングルの他に、北側の国道から狙う大俯瞰もある。距離的にも難易度的にもそこしかない!モノ通過時刻が迫る中で決断しました。ただストリートビューでは厳密な立ち位置を未だに特定出来ておらず、一抹の不安が残ります。渓谷に沿ってジグザグする道を進みながら車窓に目を凝らして必死で抜けを探していると、スノーシェッドを抜ける右カーブを曲がってすぐの道路脇から僅かに鉄橋を見下ろす空間が!ここだ!と思うもすぐそばに路駐する余裕はないため、仕方なく数十メートル先の駐車帯に車を置いて猛ダッシュ。ロスタイムが出ているため三脚を構える暇なんてないとカメラだけ持って走り、肩で息をしながら手持ちでフレーミングして待つ事5分ぐらい。

 

 

なんか曇ったし勝った!!!!!

雄大なる大川渓谷、この地で客レを拝めることの嬉しさよ。往路の非電化で2発、ひとまず勝利を収めました。車が遠いので深追いは無理と判断し、往路はこれにて打ち止めです。

 

大川渓谷は蘆ノ牧温泉まで続き、やがて周囲が開けて平坦になり、田園地帯が広がります。この辺りは編成写真が撮りやすそうで、オンライン下見で何ヶ所も候補地を挙げていました。実際に南から順繰りに見て行き、見事にどの場所も使える事を確かめて若松の市街地にある飯屋に行きました。昨年9月末日に只見線旧客団臨の送り込み回送だけ撮って、若松食堂でソースカツ丼を食べて以来です。今回のランチはそこではなく、コスパ最強の定食屋「ぱんどら」。中1以来の鶴ヶ城を見ながら店に辿り着きました。

 

これで700円、安い!!!

 

食後は一旦復路1発目の撮影地に行きました。門田での3分停を活かして追っかけをやりたいので、そこより北で撮る必要があります。候補地に向かっているとカーナビではすぐ近くに一ノ堰六地蔵駅なる駅が表示されていましたが、そこには何もない更地でした。廃駅ですね。

その一ノ堰六地蔵は撮影地の背景にも使えそうな木立に囲まれていますが、晴れるなら純粋な青空バックが良いので、少し移動してみるといい感じの立ち位置を発見。とりあえずここにしよう、と思い時間になるまでは他に良いショバを見つけるべくロケハンに行きました。

 

向かうは向羽黒山城跡。オンライン下見で地図を見ていた時に、この一ノ堰の西側にある山が会津盆地を一望するビューポイントとして知られている事がわかり、俯瞰撮影地として使えそうだと感じたので確かめたいと思ったのです。地形的にも只見線の蓋沼森林公園の劣化版みたいな景色が見えるかも?急勾配を登って駐車場から歩いて階段を登ると…

 

抜けなかった!!!

手前に大川が流れてるしVの予感はしたんだけどなぁ…ちなみに東側(北東方向)はしっかり抜けました。絶景かな絶景かな。

 

ただ、頂上から少し下ったところにあるもう一つの展望台からは抜けました。写真中央から少し右にある木立が一ノ堰六地蔵尊です。でも電線と列車が被りそう…

元々ここで撮ると追っかけしにくいので下見に留めて一ノ堰に戻りました。天気は中々安定せず相変わらずの晴れたり曇ったり。そんな中撮影地に1台の車が登場、まゑだクンでした。地元メンバー3名+バリ鉄1名で迎撃となりましたが、踏切が鳴って通過30秒前になり曇って撃沈、意気消沈。

 

 

失意のうちに若松を後にし、会津西街道を南下しました。前田氏はここから我々の車を追従する事になります。目指すは第三橋梁の定番アングル。会津鉄道を代表する構図ですが、順光時間帯を過ぎているため曇って欲しいところ。トンネルを抜けるとギリギリ晴れており、その天気のままショバを通過。シャッターは切りましたが超弩級面トップで流石にBOSEすぎるため、爆速で撤収し挽回を図るべく鬼の追っかけを決行しました。

離陸しそうになりながらあらかじめ目をつけておいた場所を目指しましたが、現場はあろうことか草ボー。しかし線路際で先客が整地しているのを発見、ここ行こう!と判断してそこに合流しました。

復路は往路のような長い停車がなく、時間に余裕もないため現場にいる全員が協力して列車が収まる最低限の抜けを確保して勘でポジショニング。やがて茂みの向こうからDE10 1109のヘッドライトと癖の強い試運転HMが現れました。

 

 

バリ順キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

なんか磐西を感じるアングルでした(喜多方~山都)。

 

復路は非電化で3発いけました。大本命のショバがBOSEだし、門田~蘆ノ牧温泉で1発刻んでから第三橋梁でもよかったな、と思いましたが初めての線区だし上々の結果でしょう。

安定した晴れ間が続いているので、田島の停車でゆる~く先行して電化区間に帰還し山村道場の順光撮影地へ。しかし先客が現場の手入れを一切しておらず、その上やっぱり雲が沸いてきたので流石に撮るのを諦めて見る鉄しました。

 

ここからはおまけのつもりで緩い追っかけを続けて行きます。尾瀬口ではバカ停があるので、県境を越えて野岩鉄道線内で1発撮る事に。場所は迷って湯西川。トラス橋が何とも言えませんが、野岩の象徴の一つでもあるので割り切って風景重視で。

道の駅に駐車してのんびり過ごし、通過が近くなったらカメラの前に立ちました。

 

 

良い光線。トラス橋でなければある意味優勝でしたね。

鬼怒川線に入れば更にエロ光になりますが、残念ながら川治より南は厚い雲に覆われておりVは期待できません。スジも立つので色々飛ばして〆の倉ヶ崎に向かいました。

 

 

帰って来た馴染みの場所。計14発を数えて打ち止めです。

一ノ堰から合流したまゑだSUNとはここで別れ、しまちゃんは下今市からスペーシアに乗って帰っていきました。各所で色んな鉄と会いましたが、最初から最後までみっちり追いかけたのは我々ぐらいでした。

 

さて、久々に更新しましたが、この間紆余曲折ありました。鉄を復活するとは言えませんが、程よい距離感を保ちながら続けていくぐらいのスタンスでやりたいと思います。まだ全然鉄に熱を入れていなかった中高生の時に戻るつもりで…