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撮影当日です。

 

車内の寒さで目を覚ますと6時。下松12時到着が目標なので時間にはかなり余裕がありました。

伸びをして荷物を整理して2時間ぐらい経ってからいよいよ出発。宮島口でトイレ休憩してバリ晴れの広島県を西へ進みます。だいたい1時間で県境に達し、ついに本州の西の端・山口県に突入。

 

 

 

 

黄色いガードレールは山口県のシンボル。本当に来ちゃったよ。

 

なんだかんだ10時過ぎには下松駅前に到着。入換ぐらい撮れれば良いやと思っていましたが、試しに工場の前の踏切を目指すとDENSYAの顔つきをした青少年がちらほら。むむむ、と思って踏切を渡ると、果たせるかな側線にモノが留置されているではないか!!!

テキトーな場所でゆっくりするか〜みたいな緩いノリは吹っ飛んで私もDENSYAの顔つきでカメラを持って外へ出ました。

 

 

 

ついにスペーシアXとのご対面。線路沿いに広い歩道があって撮りやすいです。

 

 

通行人も物珍しそうに見ています。山口の人にとっては作られたばかりのピカピカな電車が初めて外に出てくる場面を目撃できるちょっとしたイベントなのかもしれません。

 

 

鹿沼組子をモチーフにした先頭車。Xの字が浮かび上がっています。

甲種輸送では機関車の自動連結器に繋がる中間車を先頭に出すので、密着連結器を装備した先頭車は編成の中間に仕舞われます。救援を除けばこの時にしか実現しない先頭車同士の連結は必見。

 

 

公園を見つけたので適当に1枚。ブランコにお子様が乗っていれば良かったですが全人類電車に夢中で誰も来ませんでした。

線路の角度的に山側・海側のどちらから撮っても面トップなのでRAW現像に助けられています。

 

 

ひと通り撮って駅寄りに行くと何かの駐車場に人だかりが出来ていました。工場から車両を引き出したスイッチャーが離れていく所でした。

ひと通り撮ったので今度はスマートフォンで動画を撮影。今回の撮影行を鉄道PVとしてまとめるためです。

 

11時ちょうど、西の名門・岡山機関区から送り込まれて来たEF210-8が登場。クロスパンタの0番代かつ塗装変更していない車とあって沿線に来ていたEF210大好きクラブの皆様のテンションは絶好調です。スペーシアXはこの機関車に引かれて山陽線〜東海道線の本州縦断を行います。

駅で本線から側線に入り、連結。大勢のギャラリーに見守られて甲種輸送の組成が完了しました。

 

 

 

配線の都合上編成はいったん駅に向かい、そこで機関車を反対側に付け替えて出発となります。そこまでは入換扱いですが、甲種輸送の編成を直近で観察できるため踏切と駅構内にはヲタクが大量に押し寄せました(とは言っても首都圏に比べれば全然マシ)。

連結を撮って踏切に向かっているとEF210が何度も警笛を鳴らして運転士が怒鳴っていたので誰か乱入したか、と思いましたがマスコミがやらかしたらしい(失笑)

そいつをどかしたら踏切を閉めて入換進行。広めの歩道が撮影者で埋まるって凄いな(繰り返しますが首都圏よりはよっぽどマシ)。

 

 

動き出すと貫禄マシマシ。こりゃデビューが楽しみだ。

 

 

 

駅名標とも絡めて撮影。この時点で発車2時間前なので、一度引っ込んで昼食をとることにしました。駅の近くに「ゆめタウン下松」なるイオンかFKDみたいなショッピングモールを発見したので入ってみることに。フードコートでペッパーランチをいただきました。

 

食べながら最初の目的地を議論。1発目は大畠〜神代の大島大橋を予定していますが、その手前の柳井で1時間も止まるのでどこかで撮りたいという話になりました。良い場所がないから考えていませんでしたが、改めてGoogleマップを見ると下松のすぐ東の国道並走区間に編成写真が撮れそうな場所を発見。色んなアングルで撮った方が得なのでとりあえずそこで撮るかぁとなり、食器を返却して車に戻りました。

 

さっそくその場所に行くと雛壇が出来ていました。タイロー構図だから人なんて来ないだろうと思っていたが甘かった。ハスキー5段と4ノビ全開でセッティングし、天板にみやくりを乗せて私は2段目からレリーズで構えます。

 

 

 

極限まで高くしたけどギリギリかわせなかった。逆S字カーブと山陽本線独特の複線片側ポールが人気の秘訣ですかね〜

ガッチリ編成写真ですが、先頭車が中間で大人しくしているせいで何を牽引しているかわからない絵面になりました。もうかぶりつきは撮らなくていいわ。

 

さて、爆速で撤収して追っかけ開始。景色の良い道を走って1時間かからず余裕で到着しました。山陽本線屈指の絶景撮影地とあって、遠くからでもわかるぐらいに撮影者が多くキャパシティを心配しましたが普通に構えられました。

にしても海が綺麗!海なし県の人間は海を見るだけでも感動しますが、温暖な瀬戸内海は特に美しく見えました。

 

 

ウオオオオアアアア\( 'ω')/アアアアアッッッッ!!!!!

向こうに行ってしまうと二度と走る事がない海沿いの景色。まさに甲種輸送でしか実現し得ない風景ですね。先頭車の連結面を切り位置に定めて機関車は架線柱にかけず目立たせました。

 

さて、次の撮影地までは遠いので栃木を発ってから一度も使っていなかった高速道路を遂に解禁。玖珂インターから山陽自動車道に入り、半日も滞在しなかった山口県に別れを告げます。広島県に入り、広島市街地やセノハチの山越え区間もすっ飛ばしました。かなり先行できたので予定よりも手前の西条インターで降り、対面通行の一般道をノロノロ走る爺さんの後ろにくっつくなどしてモノ通過の小一時間前には撮影地に着きました。

 

現場は山を切り拓いて作られた閑静な住宅街で、車を降りて10秒で絶景を拝める超お手軽俯瞰撮影地。山あいの大カーブを見下ろす「入野俯瞰」です。順光は朝ですが、日暮れの山道を演出するには好条件なので逆光上等。でも流石にフレアが半端ないのでレンズフードの上に片手をかざして設定をいじくりました。

他の追っかけ部隊も続々到着して総勢10人ほどで迎撃。示し合わせた訳でもないのに、ホントみんな考えることが似ますね。

 

 

 

 

山の上の立ち位置にはまだ夕日が差していますが線路は完全に没したのでマンダーラは回避。露出も充分残って目論見通りの画になりました!

 

さて、この先は日没後の世界。闇鉄も欠かさず刻みます。糸崎で2時間近く止まるので近場で良いとこはないかなぁーと思案し、尾道界隈で1発撮ることに。狭いエリアに家がひしめき、海沿いの山に神社仏閣がいくつも建ち、そこに至る石段の参道が有名な西日本有数の観光名所ですね。山陽本線はこの界隈にある何本もの路地を横切っており、鉄道写真の枠を飛び越えてインスタ映えスポットとして脚光を浴びています。ここでスペーシアXを撮りたい!と思ったので次の行き先に決定。

 

インスタやGoogle検索で作例を探しながら給油と食糧補給してロケハンへ。狭い踏切と周りの風景をファインダー越しに見ていると2年ほど前に夢中で撮っていた江ノ電の感覚を思い出しました。その感覚を踏まえて撮影場所を決定。千光寺の参道の中腹に立ち、広角いっぱいでフレーミング。あとはモノを待つだけです。

 

 

 

 

古めかしい街並みを最新鋭の電車が駆け抜ける不思議な写真になりました。これがシュルレアリスムだかエキゾチシズムってやつですか?

 

さて、この先は万富駅と吹田貨物ターミナルでのバカ停を除くと主要駅にちょこまか止まっては進んでを繰り返すので、下道で2日目スタート地点の滋賀県まで行く事を考えると本日はここで打ち止めです。

この時、別件で西に来ていた某有名撮り鉄から入電があり、翌朝の行程に便乗したい旨を伝えられました。車のキャパと要相談ですが翌日は高確率で更に1人増える事になりました。

あとは安全に滋賀県まで夜行だな、と思って寝る体勢に入りましたが、UKの見事な運転で国道2号を爆走して東福山の停車で再び先行し、岡山市街地で1時間以上のリードを確保。ちょうど良いところに鉄橋を見つけたので、夕食ついでに立ち寄りました。

市街地の東側を流れる旭川にかかる県道96号岡北大橋の歩道に立ち、大都会岡山の夜景をバックにデジパワー全開の流し撮りに臨みます。

 

 

先発のサンライズ号が遅延したため15分遅れて登場。性能といい技量といい限界ギリギリの写真。こういうのも撮れたら良いかなぁのレベルだったので実際にモノにできたのは大きいですね。

これが本当に追っかけ初日のラストカットとなりました。

遅延のせいで寒い中かなり待たされたので、快活で夜食を貪り、東へ向かう車内で毛布にくるまって仮眠をとりました。この先に大波乱が待ち受けているとはつゆ知らず……

 

続きます。『追跡900km スペーシアX甲種輸送(後編)』『追跡900km スペーシアX甲種輸送(前編)』前回はこちら『西の果てまで』東武鉄道が昨年リリースした新型フラッグシップ特急電車「SPACIA X」。その甲種…リンクameblo.jp