宮部みゆき 「あやかし草子ー三島屋変調百物語伍之続」
えー、江戸物小説の感想記事を書くのが久しぶりすぎて、
どう書けばいいのかわからなくなっております![]()
まだまだ江戸物に浸れる余裕のない生活なので、読書は控えているのですが、
この作品で「三島屋シリーズ第一期完」と知り、いてもたってもいられず読みました。
宮部さんの作品は長編、とにかく本が分厚いので、作品の空気感が体から抜けないように数日で読み切りました。
さてさて、簡単にあらすじを。
本作は五話収録されています。
第一話 開けずの間
家族がある強い願いのために塩断ちをし、行き逢い神を呼び込んでしまった商家のお話。
どんな願いもかなえてくれるけれど、その代償に求められるのは・・。
関わってはいけないものとわかりながらも、悲しみや恨み、妬みのために
手を伸ばしてしまう人の業が背筋の凍るような結末を招きます。
第二話 だんまり姫
亡者を起こしてしまうという特殊な声、「もんも声」を持った女性が語り手。
その声ゆえに周りに持て余され生きる場を探した若い頃、ひょんなことから
お城に上がって姫様付の女中となり、その声を生かして姫様の声が出ない理由を探ることを命じられる。
あれこれ方法を試しては失敗する日々の中、出会ったのは・・。
第三話 面の家
「素行の悪い者」という奇妙な指定のある女中募集の口に押し込まれた娘。
そこでの仕事は、屋敷の奥深くにしまわれている「面」が逃げないように監視する事。
素行や心根が悪ければ悪いほど向いているというその仕事には、
深い事情があって・・。
第四話 あやかし草紙
誠実な仕事ぶりに定評のある浪人に持ち込まれたのは、薄い本を一部写すだけで百両という破格の仕事。
それには胡散臭い条件があり、浪人は普段から懇意にしている貸本屋の主人と息子に相談をする。
結局受けることにしたその仕事、「少々」の条件なら目をつぶるしかないと思っていたが、
浪人のその後の人生を大きく変えてしまうようなものだった。
第五話 金目の猫
普段は他家に奉公している三島屋長男が語り手。
次男も関わった猫の話だが、当時次男は知らなかった真実が語られる。
本作も、どのお話も読みごたえがあります![]()
「第一期完」というだけあって、おちかの気持ちも状況も大きく動きます![]()
もう誰にも深く関わりたくない、愛したくも愛されたくもない、
自分はそんなことができる人間ではないと頑なだったおちかは、もういなくなっていたんですね。
百物語という人が生み出した物語、語りを通じて知り合った人達から学んだことが、
まっすぐにおちかの心を打ち、傷を癒していたのです![]()
いつまでも今のままではいられない。
自分の人生、どう歩いていくのか。
誰のそばで何をしていきたいのか。
自分が人生の岐路に立っていることに気づき、素直に向き合った自分が望んだのは、
「大きな一歩」を踏み出すことでした。
普段店から外に出ないのに、そのために外出までしたんですよ![]()
私はこのおちかの決断が物凄く嬉しかったです![]()
お勝の予言が伏線となっていたにせよ、物語序盤のおちかの苦しみに胸が締め付けられていたので。
百物語を語る人達じゃなくても、誰の心にも闇や抱えているものってあると思うんです。
おちかも、貸本屋の勘一も、三島屋の兄弟だって。
普段は見せないそんな部分を、許されるだけ預け合って、支え合う。
そういう関係を築ける相手との出会いや、関係が育っていく様って素敵です![]()
江戸物小説って、現代物より色濃くそこを描いてくれる気がして好きなんですよね。
登場人物の成長や宮部さんの三島屋シリーズへの愛を感じて、読後とても幸せな気分になりました![]()
第二期にも期待です![]()