近藤史恵 「寒椿ゆれるー猿若町捕物帳4」
はまりにはまっておりますこのシリーズの最新刊です![]()
南町奉行所同心玉島千蔭の若き義母お駒が身ごもった![]()
ひどいつわりで食べられない日々が続いたため、元々体の弱いお駒を気遣う面々は
何とか食べられる物を探す。
評判の猪鍋が口にあった様子のお駒に、千蔭や父千次郎はほっとするが、
その店に物騒な男が乱入し・・という「猪鍋」
千蔭は見合い相手のおろくと過去の事件を通してなじみの女形巴之丞の芝居を観に行く![]()
芝居後、3人で話をしていると、芝居の筋にかけて女子の恨みをかわぬよう巴之丞に注意を促す
おろくだったが、この注意は後に現実のものとなってしまう![]()
巴之丞を刺したともくされる女は、本人とは面識もなく、動機も考えられず・・という「清姫」
近頃大店に押し入った強盗の手引きを、北町奉行所の身内がしていたらしいという噂を耳にした千蔭。
追ってその身内とは千蔭のライバル大石であり、本人は謹慎中だと知るが、大石の気性を知る
千蔭と小者の八十吉は信じられない。
大石の小者の喜八の願いもあり、秘かに大石にかけられた嫌疑の調べを始める千蔭だったが、
出てくるのは大石に不利な証拠ばかりで・・という「寒椿」の3編収録。
最近知って、大好きになったシリーズですが、中でもこの作品が1番好きです![]()
いわゆる謎とき部分については、ちょっと腑に落ちないものもありましたが、お馴染のキャラクターを
深く味わうことができたからです![]()
特に、3篇を通じて語られる千蔭と見合い相手おろくの交流や、「寒椿」での大石が最高![]()
余韻に身もだえしました![]()
ただ堅物なだけじゃなく、人の思いを大事にし、相手の心根をしっかり見極められる千蔭。
そんな千蔭を理解し陰で支える家族や八十吉。
今回は微妙な女心を覗かせる花魁梅が枝や、千蔭の縁談をなぜか絶妙に邪魔する(笑)巴之丞。
生真面目で正義感にあふれ有能だけど、どこか不器用で不格好な大石。
レギュラーキャラクター達が、それぞれ自分らしく日常を生き、関わり合う様がとてもあたたかく
書かれています![]()
中でも、一番注目し心奪われたのは初登場のおろく。
千蔭の見合い相手なのですが、玉島家とは釣り合いが取れない位名家の娘です。
そのため、千蔭の縁談が進むのを知って、出世を狙いか
と思う人もいるようで・・![]()
名家の娘だと、娘自身がどうかより、財産や権力として考えられてしまうのが悲しいですね![]()
そんな、引く手あまたであろう名家の娘の見合い相手が、なぜ同心である千蔭なのか![]()
それには大きな理由があるのです![]()
おろくは、当時の適齢期を大きく過ぎている上に相当な変わり者、かつ「一般的な『娘』としての魅力」に
欠けているという設定です。
素直な心と物を見る目、高い計算能力と記憶力を持っていますが、それらは「変わり者」を形どる
一要因としてしか見なされず・・![]()
登場当初はそのキャラの濃さにびっくりしたものの、次第におろくのファンになっていた私は、
無神経におろくを傷つけた男達の言動に本気で腹が立ちました![]()
おろくは、今まで相当数の見合いをこなしており、断られることに慣れてしまっています。
他人が自分をどう見るかを重々承知していて、辛いことがあっても、淡々と受け止め、
受け入れているように見えます。
でも、そんなわけないですよね。
きっとおろくの中にも、言葉にできない怒りや嘆き、不安があるはず。
おろくの心情は物語後半に語られますが、過去の辛い記憶や「変わり者」と言われる自分を
抱えながら、己の生きる道を不器用に探す様がたまりませんでした。
もちろん、我らが(
)千蔭はおろくの人柄や能力を高く評価し信頼をおくようになります。
うんうん、いいカップル
と思っていたのも束の間、話は全く予期せぬ方向に転がり・・とこれ以上は
書かない方がいいですね![]()
「寒椿」は大石の見せ場の回ですが、それに負けない位、千蔭もおろくも魅力的にかかれています。
ぐっとくるセリフも沢山
泣きます・・![]()