南スーダンを巡り、自衛隊文書問題、野党提案の審議拒否、最後に説明責任さえ安倍政権は果たさないのか | 清水マオ 公式ブログ

南スーダンを巡り、自衛隊文書問題、野党提案の審議拒否、最後に説明責任さえ安倍政権は果たさないのか

 安倍首相が記者会見を行い、南スーダンでPKO活動に従事している陸上自衛隊の施設部隊について、撤収させる方針を発表されました。

 この部隊派遣の意義は、防衛省のHPによると、「施設作業などの得意分野において行う人的貢献は、国連の期待に応えながら南スーダンの平和と安定に貢献する」ためとなっています。

 そのため、首都ジュバとその周辺で、道路や橋の整備などの任務にあたっております。

 

 

 それでは、今回の発表の何が問題であるのか。

 

 まずは今国会で繰り返し議論となった、自衛隊の文書問題です。

 廃棄したと言いながら、調査をすると存在した現地の日報。

 これだけでも大きな問題なのですが、そこには、「戦闘」という言葉が用いられておりました。

 日本には、PKO参加5原則というものがあり、一定の条件の中で参加を認めるとなっております。

 外務省のHPによりますと、「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」というのが1番目に掲げられております。

 しかし、現地で戦闘が起こっているとしたら、それは停戦状態ではありません。

 これに対する十分な説明が政府からされたとは到底思えない状況にあります。

 これは、与野党における政治課題という問題にとどまりません。

 それこそ現地で活動する自衛隊員に対し、その親族友人に対し、どれほど失礼にして、敬意を失する行為であるか。

 その点で、強い失望を安倍政権に対して私は覚えます。

 

 

 あわせて、自衛隊員を守るという点において、野党提案を審議しないことにも怒りを覚えます。

 11月15日、政府は強行採決した安保法制に基づき、武器使用権限を付与した駆け付け警護を閣議決定しました。
 同じ11月15日、民進党は「自衛隊員救急救命法案」を衆議院に提出しました。

 

 南スーダンのPKO活動、自衛隊に駆け付け警護が加わったことは多く報道されるところです。
 武器の使用について、大きく議論があるところですが、それ以前の問題があると民進党は考えておりました。
 それが、自衛隊員の命を守るための救急救命法案です。


 自衛隊が前線に出されようとする一方で、自衛隊の救急救命体制は十分なのでしょうか。


 まず、隊員が持つ携行救急品や部隊の救急品の数や質に問題があります。
 次に、現場で救命が行えるかの教育や訓練の体制が整っておりません。
 そして、医官、看護師、准看護士、救命救急士でメディックと言われる医療経験者がいますが、人数が足りません。
 最後に、大量に死傷者が出た場合の措置が確立されておりません。
 こういった問題を抱えながら、騒乱が起きている地域に展開されようとしているのが自衛隊の現状です。

 だからこそ民進党は、まず政治家としての責任を果たすためにも、この法案をしっかりと審議すべきだと強く提案しております。


 自衛隊、自衛官は、法律に則り、政治家の命令に従って行動します。
 見かけの勇ましさや、過信による政治の甘えではなく、責任ある決断を下すことが必要です。
 第一線で任務を遂行する自衛隊員の命を守るため、最善の体制を構築するという国の意思を示すこと。
 そのためにも後回しにされがちな医療分野の整備体制を法律で律すること。
 そこでゼロカジュアリティポリシー、死傷者ゼロを追求する先進国の状況を勘案するよう法律で律すること。

 こういった提案と真摯に向き合い、しっかりと政策を議論することを強く政府に求めております。

 

 しかしながら、政府は、野党提案の議員立法を放置。

 しばしば野党は対案が云々という指摘がありますが、対案を出しても政府が審議拒否というのが現状であり、強く憂うところです。

 

 

 これらのような前提があって、今回の安倍首相による発表は行われました。

 それでは、いったい自衛隊の任務として、どのような計画と目標に対して、どのような区切りがついたのか。

 この間に起きた様々な問題を有耶無耶にすると同時に、ひとつの前例とするために、今回の決定がなされたのではないのか。

 極めて強い憤りを安倍政権に対して覚えます。

 

 強行採決に反省する。

 文書問題への明瞭な答弁を行う。

 野党提案への審議拒否をやめる。

 総体的な説明責任をしっかりと果たす。

 期待は無くも、それでも同じ政治に携わるものとして、願いは抱きながら挑んで参ります。