あまり詳しいことは書けませんが、2期連続の赤字から半期で大きな黒字をたたき出している会社の話をしようと思います。

 

 過去の2期の赤字の原因は、もちろん外的環境が悪かった(不景気)ということもあったのですが、身内に甘い同族経営で業績を上げるということが一番の目標になっていなかったという経営者の方向性の問題ではなかったのかと思っています。


 中小企業では、会社は社長のものという感覚で経営が行われていいます。ですから、自分の生活等に支障がでてくると、やはり会社より自分という発想に陥りがちになるのではないのかと、客観的には見えてしまいます。


 赤字なのに、役員報酬を増額したり、身内の社員に多額の給与を支払ったりと・・・

そして、このような病になってしまうと、なかなかその悪癖から脱却することができなくなってしまいます。

よほどの危機感を抱かないと、お金の続く間に会社の経営を改めようという意識は湧いてこなくなります。


 けれども、新しい事業計画を作成し、このまま3期連続の赤字になれば融資を受けることもままならなくなり、従業員の昇給はもちろん、役員、親族の給与を大幅に減額しないと、とてもじゃないけど黒字にはできないということを数字で分かってもらう等して、口論になりながらも相手を説得し、役員報酬の減額にこぎつけ6ヶ月、経費節減、売上、利益アップを口を酸っぱくして指導して参りました。


 経営者の意識も少し変わったようで、今までは、自分の生活>身内の生活>会社の業績だったのが、会社の業績>自分の生活>身内の生活へとシフトしてきました。業績を挙げれば生活を良くすることができると。

また、後継者にも会社を安心して引き継ぐことができると。

そして、それは経営者としての厳しさにもつながり、従業員に対しても利益を上げることの大切さを説き、発破をかけ、具体的な指導を行い、従業員の業績管理をするというようになり、毎月お伺いするたびに、会社の雰囲気が変わっていくことが実感できました。(全員に一体感がでてきたような感じかな)


 そして、最初に建てた経営計画の目標を大きく上回りこのまま順調に推移すれば、少なくともこの10年間の中では過去最高利益を達成できそうです。


 業績を報告するときに役員の方の一人が「あぁ、報酬下げて良かった。」と仰っていました。

やはり、会社が正常に機能していることに気持ち良さというものを感じていらっしゃるのかなとも思いました。

残りの半期もこの調子で頑張って欲しいと思います。


 最後に、私の場合は会計事務所という立場からのお付き合いなのですが、我々の仕事の中には会社の業績を良くするとか、そういうことは本来的には含まれていません。けれども、サービス業である限り、お客様の望まれることに対するサービスをするということと、客観的に見て、今お客様に必要なサービスをするという視点も失ってはならないと感じました。後者は、口論になったり、感情を害されたりとなかなか踏み込みにくい領域のものもあると思うのですが、あくまでもサービスの一環でさせていただくというスタンスを保っていきたいと考えています。また、実際に私のプランに乗って(?)一生懸命事業をやっていった経営者の方々には本当に頭の下がる思いです。私のような自分の人生でさえ思うように生きられないのに引き換え、なんて立派な方々なのだろうかと心の底から思います。