こちらを3年半留守にしていましたが、またボチボチ書いていきます。
AIの脅威が言われています。
先ずは村上春樹さんのこの文章から。
僕は翻訳をやっていまして、毎日英語で本を読んでそれを日本語に置き換えていくんですが、ときどきぜんぜん理解できない部分に突き当たります。どう考えても、意味がうまく見えてこない。
で、腕組みして何時間もずっとその何行かの文章を睨んでいるわけです。それでなんとかわかるときもあるけれど、まだわからないということもあります。
そうなるといちおうそこを飛ばして次に進んでいくんですが、やりながらときどきバックして、そこの部分を前にまた考える。でも3日ぐらいそれをやっていると、なんとなくわかってくるんですね。そうか、なるほど、そういうことか、と。ページから自然に意味が浮かび上がってくる。
僕は思うんですが、そういう『じっと睨んでいる』という時間は、一見して無駄なようだけど、自分の身につくという気がするんです。スコアを読むというのも、ひょっとしてそういうところがあるんじゃないかと、ふと思ったりするんですが・・・・。
小沢征爾さんと、音楽について話しをする 小沢征爾 × 村上春樹 から引用
この村上春樹さんの文章はとても興味深いですね。
「じっと睨んでいる」
仕事って身につけるにはこの「じっと睨んでいる」がとても大切なことだと思うのです。
効率的に、スピーディーにと何かと追いまくられている私たち現代人ですが、実は「じっと睨んでいる」が必要なのです。
AIによるシンギュラリティ(技術的特異点)の恐怖をマスコミなどは煽っていますが、東ロボ君プロジェクトの開発者の方は「シンギュラリティは来ない」と述べています。
国立情報学研究所社会共有知研究センターセンター長の新井紀子教授によるとAIは「意味は考えていなくて、正しさは保証しないけれど、結構正しい判断をする」ものなのだそうです。
AIは意味を考えていない。つまり意味は分かっていないのです。
だから「意味」を見つける能力を磨くことはこれからの時代にはとても必要なことなのです。