突発的に。(1) | 四面楚歌

突発的に。(1)

私にはおねーちゃんがいる。

3つ離れた、お姉ちゃん。


私とはあんまり似てないと思うし、好みもバラバラ。(知らない人はそっくりだって言うけど、親しい人は全然似てないって言う。どっちなんだろうか)

お姉ちゃんの名前は透子っていって、なんていうか、少し変わっている。


この「変わっている」のは何もお姉ちゃんだけじゃなくて、多分、私もその「変わっている」の中に入っているんだと思う。私だけじゃなくて、・・・そう、私とお姉ちゃんと歳が近くて小さい時から親しい、従兄妹の3人も、きっとその中に入るはずだ。


「変わっている」っていうのは、性格とか、顔立ちとか、思考とか、そういうものじゃない。

・・・発達しすぎた、とでも言えばいいのか。

霊能力やら超能力やらとはちょっと違う気もするけど、感覚的にはそれに近いかもしれない。

ともかく、私とお姉ちゃんと従兄妹3人、合わせて5人は「変わっている」のだ。



「ねー、素子。これ貸して?」

「・・・あのさ、一つ聞くけど。もしかして今手に持ってる上着と合わせて着るの、そのキャミ。」

「? うん。・・・変、かな・・・?」

「いや変って言うか、・・・微妙?」

「・・・・・・・・・・・・・・」


むっつりと押し黙ってしまったお姉ちゃんを横目で見て、私は顔を前に戻した。


今良いところなのだ。この中ボスを倒せばダンジョン脱出の鍵が手に入る。そのためには集中しなくちゃ、この中ボスを倒すのは難しい。もっとレベルを上げておくべきだったか。それとも、薬草をどっさり買い込んでおくべきだったか。どっちにしろ攻略本無しでRPGをプレイするのはどきどきする。次に何が出てくるか、さっぱり分からないから。


「こ、この黒いスカートとじゃ合わないかな・・・?」

「・・・いや、合わないわけじゃないと思うけど。・・・微妙」


もー、素子は微妙微妙ばっかり! 最近の女子高生は言葉が微妙に乱れてるって本当だね!


なんか一人でぶつぶつ文句を言ってるみたいだけど、私は正直それどころじゃない。

やばい、パーティの1人が死んだ。復活呪文とHP回復をしなければ・・・!

こんな差し迫った状況でなきゃ「お姉ちゃんも微妙とか言ってるじゃん」と突っ込みを入れたのに。


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とりあえずここまで。