コロナの影響で所謂「ソーシャル・ディスタンス」なるものが求められるようになり、なかなかみんなで集まってわいわい楽しくできない状況。

先日、ようやくドンドゥルマ研究会を実開催し、いよいよもって新トル研も軌道に乗ってきたか?と思っていたところに、精神的打撃は大きい。

 

しかしながら、不肖円満、伊達に研究所代表をやっていない。。。

この度、彼の有名な雷帝バヤズィット1世との夢のコンタクトを果たしたのだ!

その経緯は以下の通り。

 

品川に、知る人ぞ知るトルコ雑貨屋「Dogal(ドアル)」がある。

先日から行きたいと思っていたのだがこの状況下、中々東京に行く機会もなく諦めていたところ、店長のメテさんがFacebookに、通販でのワイン販売について告知されていたので、これだ!とばかりに、白ワインと白チーズを注文。


昨日早速受け取り、よしよし今夜は酒盛りじゃと、冷蔵庫にワインとチーズを入れてにんまり。

孤独なはずの一人飲みが楽しみなのは、なぜか?

当方の腹の中には、コロナ禍で「On飲み」を凌駕する飲み会の青写真があったのである。

それこそが、今回の研究テーマにもなっている、

「偉人飲み」である。

 

なにそれ?

と思われる方もおられるかもしれないが(と言うか思わない人はおられないと思う)、実はこれは画期的な新スタイルを飲み会業界?に与えうるアイデアである。


「On飲み」においてはまず最低限PCか携帯といった端末を必要とし、さらにはSkypeやZoomと言ったソフト面のインフラを作らないと参加できない。これではそれらを持たざる者には大変不利となる。と言うか、参加できない。

さらには、On飲みでは相手との距離感がつかみにくく、不用意に相手を傷つけてしまうリスクもあり、さらには引き際が見極めにくい(特に当方のような酒の弱いおっさんには)。

 

「偉人飲み」は、上記のような悩みを一気に解決し、更なる高みまで押し上げていくポテンシャルを秘めている。

では、まずはコンセプトにつき簡単にご説明しよう。

 

① 歴史上、会ってみたいな~と思う偉人を、酒を飲み始める前に一人、決める。

② 理想としては、その人物の業績を下調べしておく(できれば伝記とか歴史小説くらい読んでおくと理想的だが、ウィキペディアでも調べ無いよりはよい)

③ できれば、その人物の国に合った酒、つまみを用意する。

④ また、その人物を相手に飲むのに相応しい服装をするをすると、さらに盛り上がること請け合い(例:相手が王であれば正装、幕末の志士だったら着流しとか?)

⑤ 準備ができたら、その人物と空想で乾杯し、おもむろに飲み始める。そして、時々語る(ずっとはさすがに難易度高し。話題はその時代の話を中心に、現在の相談事とかでもよい)。

⑥ 尚、その偉人の写真か絵か人形を傍らに置いておくと、飲んでいる途中趣旨を忘れにくい。

 

と言うわけで、とにもかくにも、昨夜はトルコワインとチーズを手に入れたので、オスマン帝国史上でも壮麗王スレイマンや征服王メフメト2世と並び称される、「雷光」スルタン・バヤズィットを今宵の晩酌の友に選んだわけである。。

 

さて、バヤズィット人形とワインとチーズ、さらに近所で買ってきた唐揚げをテーブルに置き、準備はできた。

準備万端、あとは飲んで語るだけ!

 

「シェレフェ(乾杯)!」

と、ワイングラスを空に掲げる(当然、チャリンと言う音はならない。ちなみに、乾杯は相手の偉人の国言葉で言うと、雰囲気が増す)。

伝説のスルタンを前に、少し緊張。

何を話そう?

そうそう、バヤズィットと言えば、まずはバルカン半島に版図を大きく広げた実績がある。

そこで、その辺を無難にほめる(尚、相手が皇帝と言うこともあり、失礼の無いように当方にとっての最高の盛装である武道着を着用していたのは言うまでもない)。

ただ、バヤズィット帝、あまり関心がなさそう。


そこで、歴史の核心に触れるべく、世界史上チンギスハーンと並び称される猛将・ユーラシアの覇者、チムールとの一戦に話を及ばせた。

盛装でスルタンと語る筆者

 

さすがに眉を上げる雷帝バヤズィット。

のちに世界を震え上がらせたオスマン帝国随一の軍事的天才の一人であるバヤズィットも(No.1はたぶん「冷酷王」セリム1世)、このチムールには敗れ、最後に辛酸をなめて波乱の生涯を終えるのである。。


しばらく沈黙が続いたので少し心配したが(基本的にはずっと沈黙だけど)、さすがは大物。

「この、無礼者~!!」とはならず、訥々と、アンカラの戦いでの舞台裏を語り始めた・・・

と言うのは嘘で、それを詳しく知らない筆者(小生)の空想の中で大きな広がりを見せず、酔いも手伝って難しい話は立ち消えてしまった。

 

しかし考えてみれば、ある程度歴史の骨格さえとらえていれば、歴史の舞台裏について自分なりにいろいろと空想を巡らせ、それを(もちろん妄想で)偉人に語らせながら酒を飲むと言うのは、かなり面白い行為だと思う。

昨夜の小生は少し空想力(妄想力?)が足りず、結局「ギュゼル(おいしい)!」と言いながらスルタンと複数回杯を交わすだけで満足してしまったが、慣れてきたら、歴史の暗部?舞台裏に思いを巡らす絶好の機会になりうる気がした。

 

まあ何と言っても、この時期に誰かと酒を酌み交わしている感覚に一瞬でもなるのはありがたい。

 

さて、そんなこんなでトルコワインと白チーズがめちゃくちゃおいしかったことを確りと確認し、史上初の「偉人飲み」は平和裏に幕を閉じたのであった。


以下、簡単な気づき・要改善点を上げる。

① 酒を酌み交わす偉人の業績については、詳細はいらないが確りと大枠をつかんでおく必要がある。話に広がりを持たすため。

② 自分の立場と言うか役柄を確り決めておく必要がある。昨日の小生は大使になってみたり武士になってみたり、旅行者になったりしてブレブレだったので、一貫した会話ができなかった。「素の自分で」でもよいが、その場合はそれを一貫させる。

③ 途中で我に返ってしらけないよう、役柄にしっかり入り込む必要あり。

④ 声はたまに出した方がストレス解消になるかもだが、家族や恋人・友人が家にいる場合は、聞かれないように気を付ける。

 

以上、今回の研究結果でした!

探求は続く。

(文責・代表研究員円満尚平)