中国は、今ものすごい勢いで成長し、ついにGDP世界第2位の経済大国となりました。
アメリカも、中国を「大国」とみなさざるを得ない状況となり、アメリカも中国との関係を重視せざるを得なくなりました。ただ、中国とは「国益」があまりにも異なるため、日米のように「同盟関係」はけして築くことができません。
したがって、アメリカは、日本・韓国といった既存の同盟国を軸として、中国との関係を強化していこうとすると考えられます。つまり、アメリカは日米関係を強化しつつも、これまでより手広く外交を繰り広げていく・・・という戦略をとるのです。
実際、4年に一度国防総省が見直す国防計画であるQDR2010(2010年策定)によると、3つの基本路線が示されています。
1.地理的な分散(Distribution)
安全保障予算の削減を打ち出すなかでも、オバマ大統領は「予算削減が、アジア太平洋というこの決定的に重要な地域を犠牲にして行われることはない」と明言しています。つまり、それだけアジア太平洋はアメリカにとって大事・・・ということです。北アフリカや中東への関心も高まる中、アジアからも手は抜かない、と言います。
2.中国のA2/AD能力への対抗
A2とは、Anti Access:基地へ来させないこと、ADとは、Areal Denial:空母など海上を移動する艦船を標的として中国に近づけさせない、ということを意味しています。
これに対抗して打ち出されている戦略が、「Air Sea Battle」です。これは簡潔に言うと、中国が空母を狙ってくる前に、レーダーシステムを破壊もしくは海上封鎖を行うことによって、防衛する・・・という考え方です。
3.政治的な持続性
戦時のみ「助けてくれ!」と言っても助けてくれるわけはないので、平時から安全保障に協力しましょう、という考え方です。
この3つの原則が事実だとすれば、米国は尖閣諸島の問題でも、必ず日本とともに戦おうとするということです。なぜなら、それが東シナ海、南シナ海に進出するための重要な拠点となるからです。
しかし、その際、日本が、「Air Sea Battle」に参加するだけの覚悟があるか、平時から安全保障に協力できる法整備を行うことができるか、が問われているのです。
アメリカ、中国という二つの大国に挟まれた日本。
それはリスクでもあり、チャンスでもあります。
日本にしかできない役割は何か、国民的な議論を巻き起こしながら、憲法改正に向けてがんばってゆきます。
(防衛省防衛研究所の方をお招きしての勉強会)