6月上旬の事だった。

父の日がもうすぐだな…
休みの日の朝のルーティン作業をしながら
買い物でも行こうかな…と思っていた。

「Aちゃん、今日は何するの?」
Mさんが聞いて来た。
「買い物ー。もうすぐ父の日だから。」
「そうか!父の日かー。今年は何にするの?」
「紳士服を見てから考える。」
そう言って、買い物に出かけようとしたら
急用ができて行けなくなってしまった。


父の日まで日にちはあるし、
翌週にしようと諦めた。






そして翌週の土曜日。
あんなに覚えていた父の日の買い物、
私とした事がすっかり抜けていた。

朝、C君を部活に送り出したあと、
Mさんが話しかけてきた。
「Aちゃん、今日はどうするの?」
何の確認だか、Mさんは毎週聞いてくる。
「えー、忙しいよ!掃除して洗濯して…」
私は部屋をパタパタと歩きながら答えた。
「大丈夫?父の日の買い物。行かないの?」
Mさんが静かに聞いて来た。
「あっ…今度、買いに行ってくるよ。」
「そっか。忘れないでね。」

気にかけてくれている?父の事。


Mさんは本当に変わってる。
不倫騒ぎの時に、私の父に怒鳴られて
関係としてはギクシャクするはずなのに
捨て猫のように相手の懐へ入ってくる。

たまに父に会っても、
とにかく明るいMさんになって、
何もなかったかのように話す。
私だったら、会わす顔がないと思うけど…


それからは、毎日のように
Mさんは私に聞いて来た。
「買い物行けた?お父さんに何買った?」

ウザイ。

お前も対象者なんだよ!
C君から感謝の言葉がもらえるか…

もらえないな(笑)。