不倫中に子供の学校のこと、
子供の心、私の想い、
それらを無視していたMさんに対して
学校行事くらいは覚えて欲しいと話した私。

しかし、チクリと言った一言で
過去に触れた私がいけなかったのか
『苦しい、つらい、楽しくない』と、
泣き出したMさん。

そして、私の態度がマウント取っているとか
いないとか…
はたまた、不倫の時のMさんが
マウント男だったとか…
くだらない反論をしていた。


まさかのマウント合戦になるのか?
と、思ったが…
Mさんはポツリと呟いただけだった。





しばらくして、私はMさんに話しかけた。

「ツライって自業自得でしょう…
 それに、あなたのツラさはまだ3年。
 家庭に戻ってからの3年のツラさよね?
 悪いけど、私はその2倍。
 あなたの不倫中、戻ってから今日まで、
 6年間も苦しんでます。」
私はMさんを真っ直ぐ見ながら、
そう言うと続けて語った。

「当時はね、裏切られた憎しみより
 好きな人に好きな人がいる…
 それがつらかった。
 好きな人と試練を乗り越えて結婚したのに
 その好きな人に、いつの間にか…
 私ではない別の好きな人がいた。
 愛している人に、愛する人が出来てた。
 愛してる人が愛する人を抱くの。
 愛おしいと言って抱くの。
 会いたいと言って会いに行くの。」

「・・・・・」
Mさんは泣き止むと、
私の話を黙って聞いていた。

「不倫をした人に、
 された側の気持ちは分からない。絶対に。
 あなたに私の苦しみも悲しみも、
 絶対に分からない。
 私があなたの気持ちを理解できないように
 Mさんも私の気持ちを理解できていない。」

「分かるよ…」

簡単に分かるとか言わないで欲しい。

「私が勝ち誇って過ごしていると思わないで。
 仕事して家事をして、子供の事で精一杯。」


ピーピーピー。

洗濯機の終了音した。

私は洗面所へ洗濯物を取りに行った。
そして、そのままベランダへ向かい
洗濯物を干し始めた。

こんな時でも、家事をする。

たまには家の事など放り出して
私も24時間、自由な日が欲しい。

そんな事を考えながら洗濯を干していると
ガチャッとベランダのドアが開いた。

すると、Mさんは黙って、
私と一緒に洗濯物を干し始めた。


「洗濯なんか干しても、楽しくはないよ。」
私はパンパンと洗濯物を叩きながら話した。
「2人でやれば早く終わるよ。
 終わったらC君の部活を観に行かない?」


私が強くなったように
Mさんも逃げなくなったように思う。