ある日の土曜日。
C君は部活で学校に行っていた。

息子も中学2年になって、
親も何かと大変な時期になってきた。

勉強はおろそか、部活に燃えている。
高校受験を意識させなければいけないけど、
部活も応援してあげたい。

学生って、青春だなー。

しかし、4月は学校行事が多い。
授業参観やら総会、
部活の保護者会なんぞもある。
当然、行くのは私だ。

今更、Mさんに父親面されても
C君は嫌だろう。


テーブルに置いてあったプリントを見つけ、
「授業参観かぁ。平日は無理だなー。」
と、聞いてもいないのに、
まるで頼まれたかのように断ってくるMさん。

「別に頼んでないし…」
小さな声で反論する私。

「学校で面談は無いの?」
Mさんは何とか学校の話題を続けようとするが
私にはそれが逆に疎ましかった。

「知らないの?毎年、同じ時期にやるよ。
 小学1年生からやってる、
 夏休みに入ってすぐ。」
「知らないよ、そんなの。聞いてないし…」
「私、毎年Mさんに報告してますよ。
 しかもLINEでもお知らせしてるけど、
 口頭でも伝えてます。
 学校でどんな話をしたか伝えてます。」

なんだか、急に悲しくなってきた。






学校の事は全部伝えてきた。
今になって、面談がいつなのかとか、
聞かないで欲しい。

「いちいち覚えてないよ…」
Mさんが答えた。

いちいち?
一言、多い。

「小学校は二者面談、中学校は三者面談。
 私が毎年行ってます。
 あなたが彼女と楽しく不倫している時に
 私は先生に頭を下げていました。
 あなたが彼女とSEXを楽しんでいる時に
 私は面談内容をLINEで送りました。」
私は少し声のトーンを上げて話した。

Mさんは何も言わない。
私は続けて話した。

「あなたは聞いてないのではなく、
 知ろうとしなかっただけ。
 LINEを読まなかっただけ。
 私は貴方が何をしていても伝えてました!
 例え、不倫をしていても!」

私がそう話し終わると、
「あーーーーーっ!!」
Mさんが叫んだ。

うっ、うっ、う…。

泣くまいとする、Mさんの息づかいがした。

「楽しいか!?
 そう言って、マウントして…うっ…」

マウント?


泣いている。
私は泣いていないのに、夫が泣いている。


男を泣かせてしまった…

私…強くなったなぁ。