ちょっと離れたショッピングセンターへ
外出しようとした時、
Mさんが一緒に行くと言い出した。

しかし、出かけようとしている姿は
どうみても深夜のコンビニに行くような
ラフなスタイル。
しかも、ズボンはよれよれ。

着替えてと言う私に「面倒だ」と言うMさん。

そして更に「うるせ〜なぁ。」と捨て台詞。

『カチンッ』
と、私のスイッチが入った。


「彼女とデートの時にこのズボン履いてた?
 週末になると着替えを持って
 彼女の家に行ってたよね?
 その時にこのズボンは持ってないよね?」
冷静に、私は話し出した。
当然、Mさんは無視。

「彼女とデートの時はどの洋服にしようかと
 あれこれ選んでコソコソ持っていたよね?
 彼女と会う時は洋服に気を使って、
 私と出かける時は選びもしなのね。」
「・・・・。」
「そのうち、洋服買ったり、パンツ買ったり、
 私が何も知らないとでも思ってた?
 私が気が付かないとでも思ってた?
 洗濯してるのは私だから分かるんだよ。
 新しい洋服も精液のついたパンツも、
 全部私が洗っていたの。
「・・・・。」
「私がせっせと洗って、
 貴方がデートの為に持って行く。
 その繰り返し…
 貴方は彼女の為におしゃれをして着飾った。」
「・・・・。」
「でも今は、私の為に貴方は着飾らない。」

黙って聞いていたMさんが
次の瞬間、大声で叫んだ。

「もう、いい!もう、嫌だ!もう、離婚する!」
「・・・はい?」
私は一瞬、驚きのあまりフリーズした。





「離婚する!」
もう一度、Mさんが言ってきた。

「それ、貴方が言います?私の台詞ですよ。
 彼女との事実を言われて恥ずかしい?
 不倫した事実を抹消したい?」

Mさんは不倫の事に触れられると
とにかく不機嫌になる。

「しつこいんだよ!過去の事だろ!
 いつまでも言ってんじゃねーよっ!」

「いい加減にして。
 不倫の事、貴方は私に謝っていない。
 土下座して謝るくらいやってみろ!
 過去の事だろうと何だろうと、
 貴方がしでかした事でしょう?
 不倫に触れてくるから離婚します?
 そんな覚悟もなくやり直してるのかよっ!」
「・・・・。」

「離婚は全く問題ないです。
 但し、慰謝料も借金返済分のお金も
 きちんと全額揃えてくださいね。」
「チッ、やっぱり金かよッ!!」
「はい?正当な主張だと思いますが。」


ムッと怒ったMさんは家を飛び出した。

私は怒りが込み上げてきた。
この感情がどれだけ無駄だと分かっていても、
悔しさが溢れてきたのだ。