12月に入ると、世間はクリスマスモード。

クリスマスだ!と騒ぐ我が家でもない。
何かしらの年間行事で、
夫婦や家族が繋がっている感じを
確かめようとしていた時もあったが、
今となってはどうでもいいかな。

Mさんは償いの為か、
相変わらず、イベントを気にかけている。


最近は働きバチのようにせっせと働き、
仕事に対して鬱になりそうな私。

それを心配してか、家で仕事をしていた私に
「クリスマスどうする?」
と、Mさんが私に聞いてきた。


クリスマス?
あ、C君にプレゼントも買ってないし、
ケーキも注文してない。

ダメな母親だ…。


「何も考えてない。
 精神的に追い込まれて…」
私はパソコンから目を離さず、
Mさんにそう答えた。

「Aちゃん、仕事忙しいの?」
「うん…」
忙しいといえば忙しい。

いや、クリスマスを避けているといえば
そうなるかな…




あんまり良い想い出はない。
3年前のMさんの不倫。
彼女とのラブラブメールも、
裸の写真も見つけた。
彼女とイルミネーションのデートも
私を騙して偽りの家族ごっこも、
思い出したくないから避ける。


「K町のイルミネーション行かない?」
何も考えずに、Mさんは私を誘ってきた。
「K町?」
「うん、今年は花火も上がるって!」
「K町のイルミネーション?
 それって、彼女と見に行ってたよね?
 3年前に。」
「………もう3年前の浮気でしょ?
 いつまでも言わなくてもいいじゃん。」


なるほど。
加害者と被害者の違いかな。

どこかの演歌や歌謡曲じゃあるまいし。


3年前の出来事が『もう』なのか『まだ』なのか


「もう3年なのか、まだ3年なのか
 それは人それぞれだから。
 私も思い出したくないし、忘れたい。
 でも覚えてるから、脳が。」
私はパソコンを打つ手を止めて、そう話した。

Mさんは何も言わず、キッチンへと向かい

珈琲を入れ始めた。

「はい、珈琲どうぞ。」
「…ありがとう。」
「珈琲は受け取ってくれるんだ?」
「は?どういう意味?」
「僕の気持ちは受け止めてくれない?」
「・・・キモイ。」

こたつで寝ていたC君が起き上がり
「はいっ、キモイ頂きました〜(笑)
 パパ、マジでキモイから、やめろ。」
と言い出した。


「プッ(笑)」
私は思わず笑ってしまった。


でも…
私がこうして数年経って、
ようやくMさんの不倫に対して、
冷静に『無』になりつつあるのは
やはり時間だったのだな。

逆を言えば…
Mさんも数年経って、
ようやく彼女の事を忘れたのだろうか。
言葉では適当に何とでも言えるし、
やはり信用はできないものだな。