冷蔵庫が壊れたかもしれない。
室内灯は付かないし、
モーターも回るような音がしない。

『終わった…』

と、思った時に、
解決方法のあるサイトを見つけて、
Mさんにやらせようとしたが、
グダグダと渋っては、なかなか実行しない。

感電するのが怖いらしい。

『いいよ、死んでも』
とは言わず…
私はMさんが覚悟を決めるまで
静かにスマホを見ながら待っていた。

『感電死って、不慮の事故になるのかな…』

なんて考えながら調べたり…




Mさんは脚立に上がり、
必死で基盤を確認していた。
「よし、これだ。」
Mさんが確認を終えて、
やる気スイッチが入ったらしい。

いよいよ、天に召される時が来るのか…
冷蔵庫が?
Mさんが?

どっちでもいいか。
長いこと頑張ってくれた冷蔵庫、
なんだかんだと連れ添った夫、
全く惜しまないよ。

そんな気分でその時を見守っていた。


「しー。」
私とC君に静かにしろと合図をした。

Mさんは冷蔵庫の電源を入れて、
冷蔵庫が立ち上がる時に基盤を叩いた。

コンコン。

もう一度、コンコン。


『カチッ』
スイッチの入る音がした。

『ブーン』
冷蔵庫が動き出した!
モーターが回り出した!


「電源入った?動き出した?」
3人で冷蔵庫の扉を開けてみると、
明るい光が私達を照らした。

「おー!まさか直るとはっ!」
Mさんが一番驚いている。

私も直ったことに感激したが…
何か、モヤっとする。

んー、なんだろう。


あっ!
コイツ・・・生きてる。

感電…しなかった!


結局、冷蔵庫もMさんも生き延びた…

チッ。



それにしても、

叩いて直るとは、昭和みたいだ(笑)