食事を済ませてから
私達は公園へと向かった。


久しぶりだ。

チケット買って中へ入ると
広大な噴水広場が見えた。

そうだ、そうだ!思い出した!
そうそう、この広さ!

『・・・これを歩くのかぁ』

私はMAPを頼りに歩き出した。


しばらく歩いていると曲がり角が出てきた。
「あれ?こっちじゃない?」
Mさんが立ち止まって言った。
「え?まだ真っ直ぐだよ。」
私は進行方向を指差して言った。
「いや、Aちゃんがここを曲がって、
 そこのベンチで靴紐を直してたじゃん。
 この間、来た時にさ。」

ん?
この間?
ベンチで靴紐?

・・・記憶にない。


私が覚えいて、Mさんが記憶にない事は有る。
でも…
私が覚えていなくて、Mさんが記憶にある?
よほど印象深いのか?

まぁいいか。






私はMさんが進む方へと歩いた。
松の木がおい茂る間の細道を抜けると
目の前に広い丘が見えた。


「あれ?コスモスはどこだろう。
 前に来た時はコスモスが咲いてたよね?」
Mさんが何気なく呟いていた。

コスモス??

「あ、Mさん、あれがコスモスじゃない?
 ピンク色の花が見えるよ。」
私は遠くの桃色畑を指差して言った。
「あ、あれだね!行ってみよう!」
Mさんが笑顔で言ってきた。

コスモスねぇ…
ふーん。

私は何となく、ピンッと来たが、
今、話す事はないと思い、飲み込んだ。


近くまで来て、ピンクや赤のコスモスを眺め
1本の赤いコスモスに目が止まった。


折れないように、負けないように、
風に揺られながら咲いている。
凛とたたずむ秋桜が
まるで自分のように見えた。

今にも折れそうな細い茎。

『明日も、明後日も、咲いていてね…』

そんな思いで、撮った写真。



そして、丘を下り
小さなアトラクションがある遊園地へと
私達はまた歩き出した。