Mさんの隠そうとする謎の借金。

一体、何に使っているのか?
迷惑をかけてないという図々しさは世界一だ。

腹が立つ。
マジで腹が立つ。


話し合いの最中に
『もういい!放っておいて!』
とキレて、何も話が進まない。



「落ち着いた?」
私はMさんの興奮を落ち着かせる為に
少し、黙っていた。

「わずか2ヶ月でまた借金だよ。
 確信犯?
 私に家計から払わせて
 また、新たな借金を作る。
 どうして真面目にコツコツ返済しない?
 一体、何に使うの?」
私はMさんに質問した。


しばらく黙っていたMさんが口を開いた。
「車を買うつもりで借りた…」
「車?」
車検が近かったMさんの車は
修理に費用が高い事が分かったばかり。
それですぐに借金するか?
まるで都合よく嘘の理由を思いついた感じだ。

「車を買うには少ない金額だけど、
 じゃあその車を買う為に借りたお金は
 手元にあるのね?」
「……ないよ。」
「…でしょうね。それ、嘘だよね?」
「…………。」
Mさんは黙っている。

「本当は何に使ったの?
 彼女にお金渡してるの?」
おそらくMさんは私が彼女を訴えて
慰謝料を払わせた事を知っていると思う。
だから、彼女への償いという理由も
あってもおかしくない。
「彼女なんかいないよ。」
「……そう。じゃあ、何に使ったの?」
私はもう一度、Mさんに質問した。

また長い沈黙が続き、
やっとMさんが話し出した。
「投資だよ…」
「投資?何、投資って…」
「投資は投資だよ。」

何を言ってるのか、
私にはさっぱり分からなかった。

「何に投資をしたの?」
「……うるさいなー。車だよ。
 車買うつもりで借りたの!」
「え?車?投資じゃないの?」

投資はどこへ行った??
車って…
またその理由?
ループじゃないか。


あれこれ嘘の言い訳されている。


ようやく、最後に『競馬』だと言い出した。

「投資だよ、競馬は。」
と、反省なく堂々と言う。
その太々しい様が、憎らしい。

競馬が投資?
ただのギャンブルだろう。

何を言ってもダメだ…

狂ってる。
嘘もあれこれ良く出てきたもんだ。


「家族を大切に思うなら、
 これ以上、借金を増やさないで!
 生きてる価値はないんだから、
 黙って仕事して、趣味も何もしないで、
 借金返済だけをして!」

私は思わず、叫んでしまった。
叫んだ後、
肩で息をしてる自分が情けなかった。


私は何一つ贅沢をせずに、
コツコツと貯金をして、子供を育てて、
家族の為に働いてきたのに…


何もかも失った。

老後の資金も、温かい家族も、信じる心も…


これから私はどこへ向かえばいいのだろうか。