もしかして、また女か借金か?
私はMさんの行動に違和感があり、
聞いてみることにした。

「ねー、銀行でまとめてローンして
 家計で払ってるから、
 もうMさんの借金はゼロだよね?」
私は、恐るおそる聞いてみた。
「……何が?そうだよ。」
Mさんはすっとぼけた感じで答えた。
「そうだよね。良かった。
 じゃぁ、ゼロ円になってる画面を見せて。
 アプリの借り入れ画面見せて。」
私はMさんのスマホを指差して聞いた。



今はアプリで何でも出来る時代だ。
お金を借りるのも簡単らしい。



私の質問にMさんは何も答えない。
「ゼロ円なんだよね?だったら見せて。」
「嫌だ。」
「はい?借りてないならアプリを見せて。」
「絶対に嫌だ。」



子供かよっ。
真っ黒じゃないか。



「それって借りてますって言ってるよ。
 どういう事?」
Mさんはベッドに腰掛けて黙っている。
「ついこの間、もう借りないって
 約束したよね?何に使ってるの?
 おかしいよね?
 バイト代全部自分の小遣いだよ。
 それが足りないの?」

Mさんは黙って一点を見つめている。

「彼女がいるの?まだ続いているの?
 それとも新しい彼女?
 また騙してるの?」
「別に…」
「彼女に使ってるの?」


Mさんは何も答えない。
しばらく沈黙が続いた。



「バイト代が5万円くらいあるけど
 それでも足りないの?
 サラリーマンの平均的なお小遣いだよ。
 女に貢ぐのもそこからにして。」


私が話しかけた、その時だった。
黙っていたMさんが突然、声を荒げた。



「離婚する!
 いちいちうるせーな!何だっていいだろ!
 家族に迷惑かけてねーし!
 自分で返済するって!
 そんなに俺が信用できないなら
 もう離婚するから!」


コイツ、狂ってる。
終わったな…






「呆れた。どの口が言う?迷惑かけてるくせに…」
思わず心の声が漏れた。

いや、呆れたというより、ショックだった。


私にしてみたら、
女を作るのも、借金を作るのも、
良くないモノを『作る』という意味では同じ。


もう、無理だ。
頑張っても、頑張っても、残るのは…
傷ばかり。


心も体も傷だらけだよ…


お前に言われなくても、こちらから願い下げ。

婚姻解消だ。