Mさんに連れられてきた場所は、
プラネタリウムだった。


結婚した頃は、山の上の方に住んでいて、
夜は満天の星空を楽しめた。
Mさんと外で空を眺めて、
流れ星を見つけたり、
「寒いね」って、温め合ったりした。

そんな小さな思い出は覚えていないだろうが
私が星を好きな事は覚えていたようだ。


「プラネタリウム!?久しぶりの星空だ!」
私はつい嬉しくてはしゃいでしまった。
「時間によって、上映が違うみたいで、
 色んなプラネタリウムがあるらしいよ!」
Mさんはパンフレットを私に見せて
店員並みに説明してきた(笑)

次の回のプラネタリウムを見る事にして
私達は列へと並んだ。


場内に入り、椅子を深く倒した。
「これはいいね!
 寝っ転がってる感じだー!」
そんな会話をしていると、場内は暗くなり、
見上げる天井には満天の星空が広がった。

無数の煌めく星が、輝き、流れたり…
音楽もナレーションも心地よい。

気がついたら、もうエンディング。
あっという間の時間だった。

「さぁ、出て、次は食事だよ。」
Mさんが立ち上がりながら言った。





私達はプラネタリウムを出ると、
人混みの中を進み、てくてく歩いて、
最上階のレストランへと向かった。

「Mさん、私もう疲れた…」
「確かに…慣れてないから疲れるね(笑)」

やっとの思いで乗り込んだエレベーター。
ぐんぐんと上り、
ガラス越しに見る外の景色に足がすくんだ。

「ねー、Mさん何階に行くの?」
「31階だよ。」
「ひぃ〜!下を見るとクラクラする…」
「見なければいいのに(笑)」

確かに。
でも、見たくなってしまう心理が…
チラッ。
うっ。
こわっ。


チーン。
エレベーターの到着音がした。

「着いた。行くよ。」
「え?あ、そうなの?」

もう、何がなんだかわからない。

多分、Mさんもエスコートに必死の様子。
キョロキョロしている(笑)

「あ、ここだ。」
「痛っ!え?」

私は急に止まったMさんにぶつかった。
「急に止まらないでよ〜!」
そう言いながら
前にいたMさんの背中越しに
ひょいっと顔を出して店内を見てみた。

「え?……え〜!?ここ!?」

目の前にスカイツリーが一望出来る
大きなガラス窓!
キラキラと夏の日差しが差し込んでいた。


まじで?・・・ここ、何屋?
お箸はあるのかしら…