コンサートが始まって、
1曲目は『序曲』だった。


ゲームの中の世界に入ったようだ。
C君も目をまん丸にしてステージを見て、
流れる音楽を聴いていた。

何曲か演奏すると、休憩時間になった。







「ママ、喉渇かない?」
C君が私に声をかけて来た。
「確かにー。
 暑いから、少しロビーに出たいね。」
そう言って2人で席を立つと、
「あ、パパ!行こう。」
と、C君がMさんを誘っていた。

C君、優しいな〜。
私は無視してたのに(笑)


ロビーに出ると、何台か自動販売機があった。

そして、何故か3人共
自動販売機の前で止まった。
じーっと待つこと数分。

「えっ…誰かお金入れないと…
 自動販売機って、そういう意味じゃないよ。
 勝手に自動でジュース出ないし…!」
C君が私達親に話しかけた。
「あ、ごめん(笑)
 これ、現金のみの販売機だし、
 パパが小銭いっぱいあるから
 パパが払うのかと思ったよ!」
私がそう言うと、
「俺、小銭は車に置いて来たよ。」
と、Mさんが言った。


……使えん。
こんな時にサッと小銭を出したら
まぁまぁ、やるなって思うのに。


「はい、どうぞ。」
私はお札を投入して買わせた。
最後に自分も…
今はアセロラって気分だなーと思って
ボタンを押すと…

ガチャン。

出て来たのは、伊右衛門。


「え?…あれ?何で?」
私がオロオロしていると
「どうした?」
と、C君が心配してくれた。
「いや、アセロラ押したらお茶が出て来て…」
私が困りながら話すと、C君が言った。
「ジュースは太るからお茶にしなさいって
 神様が変えてくれたんだよ(笑)」

そう言いながら、
目の前で炭酸ジュースを飲んで
ゲップをしていた。

チクショー。
どこの神様だよっ。 

でも、何でもかんでも、神様のせいって
まだそこは子供らしい(笑)


席に戻り、第二部の始まり。
また、音楽でゲームの世界へと
引き込まれていった。
私とC君はね。

Mさんは…
眠りの世界へと引き込まれていった。


アンコールも数曲。

最後の最後、アンコールは…

『そして伝説へ…』




コンサートが終了して、
立体駐車場が混み始めた。

「次はどんなコンサートが良い?」

Mさんが話しかけてきた。

彼は彼なりに努力しているのだろうか。
楽器も分からない人が
妻の好みに合わせようとしている。


駐車場から脱出し、余韻に浸りながら
流れる景色と夕焼けを眺めた。

「次?まぁ、考えておく。」


次…あるのかな?