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皆さん、たくさんのコメント
ありがとうございました。
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卒業式の朝、
実はカチンと来た事が…


C君の着替えをMさんに頼み、
私は自分の支度をしていると、
Mさんが怒鳴りながら私の部屋へ入ってきた。

「おいっ、制服、一度合わせておけって
 言っただろ!」

ウチの地域は、小学校の卒業式に
進学する中学校の制服を来て
出席するという習慣があるのだ。


ついこの間、採寸して出来上がった制服だし、
ちゃんと、箱から出して、
ワイシャツも用意してたのに…


えー、何なんだよ!


「着せてはいないけど、全部用意したよー」
私がそう言うと、
Mさんがまた声を荒げて言い返してきた。
「ベルトだよ!
 なんで調整しておかなかったんだよ!」


はー?お前の仕事だろ!?


「それ、私に求めないで。
 ベルトの調整なんて、男がやる事でしょ?
 何で父親が気が付かなかったの?」
私は冷静に言い返した。

すると、Mさんは黙ってベルトを直し始めた。


普段なら、私はもっと論理的に
言い返すのだが、
ここは、グッと堪えていた。


例えば、
裁縫の出来ないMさんに
『何でボタン付けしてないんだ!』と、
私が理不尽に怒鳴るのと同じだ。
とか…
言いたかったけど、やめた。






C君も、自分のベルトを
確認しておかなかったミスと思ったのか、
少々オロオロしていた。

可哀想に。

「C君、ごめんね。
 今、パパが直しているからね。」
私が優しく言うと、
「僕のベルトなのに、
 僕が確認してなくてごめんなさい。」
なんて、シュンとしていた。

そんな時もMさんは無言。

何か言えよ!
お前が怒鳴るから空気悪くなったんだろ!

とは思うけど、
まぁ、出かけ間際のドタバタ劇。


仕方ない。



「よし、出来た!」

Mさんがベルトを直して、

ズボンに通してみた。

いいね。サイズも丁度良い。


最後に学ランを来て、立派な制服姿の完成!


「さあ、学校へ行こうか。」
私はそう言って、玄関へと向かった。
「うん。
 あー、何だか緊張してきた。
 いよいよ本番か…」

C君が不安そうに言った。

どうやら、何回も学校で練習したらしく、
その成果を出す今日という日を
ようやく実感してきたのだろう。

「すごく練習したのかな?
 大丈夫!焦らずゆっくり歩いて!」
私はC君に声をかけて、乗車させた。


ゆっくりと走り出した車の中から、
私は家の近くの桜の木に目を向けた。

「あ、桜だ。」

一つ、桜が咲いていた。

『おめでとう』と、咲いた桜かな。