冬休みが終わり、学校が始まろうとしていた。
C君は“自分は損している”とボヤきながら、
やり残した冬休みの宿題をやっていた。



「ずっとコロナで寝てたから
 宿題やらなくても良いんじゃないかな?」
なんだかんだと言い訳して
宿題をサボろうとする。

「コロナだったけど、宿題は完璧ですって
 提出したらカッコイイよ!」
なんて、持ち上げて言ってみるが、
それが何だよ!みたいな顔をする(笑)

「明日、ラスト1日あるから頑張れ」
と、適当に励ます鬼のような母の私。


ふてくされながら、
リビングで宿題をしているC君。
それを監視しながら、
リビングでテレビを見ている私。


テレビでは成人の日の若者が写されている。
若いっていいなーと思いながら見ていると、
成人の日の嫌な記憶がふとよぎってきた。






2年前のこの連休のMさんは
彼女と秘密のデートだった。
私には仕事だと嘘をついてね。
『仕事でトラブルで帰りが遅くなる』と、
白々しい連絡があったのを覚えている。


この2年前の1月は、
ひどく騙されていたので、
思い出すと、憎しみも悲しみも止まらない。

仕事帰りに毎日彼女の家に行き、
Mさんの携帯のGPSがそう記録され、
別れたはずではなかったのか?
『Aちゃん愛してるよ!』
と言いながら、彼女と会うMさん。
理解できずに、随分と苦しんだ。


そんな事を思い出していたら
その晩、夢を見た。

夢の中の私が泣いている。
シクシク泣いている。
暗い夜道を歩いている。
たどり着いた場所は彼女の家の前。
近くにはMさんの車がある。
彼女の部屋の明かりから、2人の影が見えた。


「Aちゃん?Aちゃん?どうしたの?
 お腹痛いの?頭痛いの?」
Mさんの声で目が覚めた。

「なんで泣いてるの?」
またMさんが声かけてきた。

現実の私の頬が濡れていた。

「…夢を見ただけ。」


そう、昔の夢だ。
昔だけど、悲しみは止まらない。