コロナかも?
という段階のMさんが、
マスクも付けずに、リビングにいた。

いい加減にしてくれっ


ここまで来ると、
私の中の悪魔が囁くのだ。

『このまま隔離して放置しちゃうか?』


不倫だとか、彼女だとか、借金だとか…

Mさんの人生に関わっている私に
幸せって訪れるのか?
自問自答しながら、また悪魔が囁く。

『このまま隔離して放置しちゃおうよ!』


おっと。
危ない。

目の前の悪魔を振り払い、
寝ているMさんに声をかけた。

「病院へ行くよ。マスクして。」

私はMさんを後部座席に座らせて
病院へと向かった。

病院に着くと、受付を済ませて、車で待機。
そして、医師による検査。
鼻にグリグリ。

痛そう!

結果まではそんなに待たされなかった。
医師が来て、サクッと説明した。
「はい、コロナね。
 症状に合う、風邪と同じ薬出します。
 なくなったら市販薬でいいから。」


はい、コロナ確定。

「Mさん『コロナは陰性だったもん』は
 もう通用しないから。陽性だからね。
 コンッ、コンッ。
 もう大人しく部屋にいて。」
私が咳き込みながら話すと
「Aちゃんも診察してもらったら?」
と、相変わらずの他人事。
「受付の時に聞いた。
 発熱してないなら受診できないって。」
私が少しキレ気味で話すとMさんが答えた。
「へー、そうなんだ。じゃ、帰ろう。」

へー、じゃねーし。


家についてから、
私もいよいよ具合悪くなってきた。
でも、Mさんの面倒見て、
C君に感染しないようにして、
食事や諸々の家事をしないと…

女は損だ。
妻は損だ。
生まれ変わったら、次は男がいいな。
そんな事を考える年末。






翌朝。
私も発熱した。
まぁ、想定内だ。


部屋から出られない私はMさんにLINEした。
『熱が出た。検査キットで陽性。』
『俺は熱下がったよ!』

え?
こちらの心配はせず、自分の報告かよ!

Mさんが私の部屋に水枕を持ってきた。
「熱が下がったなら、C君の面倒みて。
 感染させないように注意して。」
と、私がお願いすると
「え?俺が面倒見たらマズイよ!
 感染しちゃうよ!」
と、的確のような、おバカな返事が来た。

何ですか?私が引き続き家事と育児をしろと?
私も感染者ですが。
しかも発熱してますが。
もう、貴方も私も陽性者ですよ。


そんな会話が続けていると
廊下で聞いていたC君が叫んだ。

「ママー、僕、大丈夫だよ。
 一人でコンビニ行けるし、
 パパとママのご飯も買ってくるね!」

あー、なんて良い子なんだ(涙)

この子にだけは感染しませんように…