11月だと言うのに、まだ暖かい日が続いて
休日は布団がホカホカになるくらいだった。

ベランダの柵に干している布団に
私も干されたように体を曲げて
ポカポカ日向ぼっこしてみる。

『Aちゃんが大切だから』

Mさんの返信が脳裏にあった。

ふーん。

Mさんの言葉、信用はできないが
「Mさんが死ぬまで我慢するか…」
なんて、ベランダで天日干しの私が
ブツブツ呟いていた(笑)


「ママー!どこー?」
C君が家の中で叫んでる。

はいはい。

母って、休まらない。

こうしてベランダでのんびりしてても、
トイレの小さな部屋で一人を堪能してても、
探される(笑)。


「何?どうしたの?」
「いつになったら僕の部屋が完成するの!?」

ちょっと、お怒り気味のC君。
叫びまくっている(笑)




自分の部屋が欲しいと言われ続け、
早、数年…

部屋はあるけど、掃除してないし、
子供のベッドだとか、何も買ってない…

「よし、今から買いに行こう!」

そう言って、
♫お値段以上♫の家具屋へ行った。


ベッドを買い、テーブルを買って、
カーペットと布団カバー。


帰宅してからは掃除に取り掛かる。
一番陽の当たる部屋。
窓を全開にして掃除した。

ベッドは後からの配送だが、
テレビは元々あるので、
配置を整え、カーペットを敷いた。
C君は嬉しそうにゴロゴロしていた。


すると、突然C君がリビングへと降りた。

「ポケカを2階に持って行こうかな〜♫」
そう言って、リビングにあったC君の荷物を
いそいそと自分の部屋へ運び始めたのだ。


Mさんはダイニングテーブルで、
私はキッチンから子供の様子を見ていた。


「急に運ばなくてもいいのに…
 何だか淋しいよ…」
ポツリと呟いた私に、Mさんが言った。
「親離れだよ。自分の世界があるんだから。
 これからは僕がいるからいいでしょう?」


???
理解するまで数秒かかった。
何?夫婦でと言ってる?


思わず、言葉が口から飛び出してしまった。

「また居なくなるでしょう?
 どうせ、また離れて居なくなるでしょ?
 そういう嘘はもういいからぁ〜!
 うっ、うぅ…」

何故だか、突然怒りのような悲しみのような
何かが湧き出るような感情が襲い、
口を抑えて泣いた。

どうやら、最近の私は
心が叫びたがっているように思う。


「行かないから…
 もうどこにも行かないから…」

Mさんの声が遠くで聞こえてきた。