鎌倉へ行こうと決めた
その日の夜、子供に確認してみた。

小学生とはいえ、もう6年生。
親と外出なんぞ、嫌がるかな。
でも、ちょうど歴史を勉強してるし、
この間、源頼朝の番組を見てたし、
興味あるかも……


「ねー、C君?
 今度、鎌倉へ行くけど一緒に行く?
 C君が行くなら、週末に予定立てるけど…」
「えー、面倒くさいから行かない。」

やっぱりね(笑)

「本当にいいの?」もう一度聞いたが、
「うん、行かない。
 寺とか神社とか、つまんない。」

確かに(笑)
子供には静寂な場所とか興味ないよね。

仕方ない、夫婦で行くか。


あ、そうだ。
行きたかった海岸沿いのパスタ屋にも行こう!
C君いないけど…いいよね。
それから、小町通りで買い物もしたいなー。


Mさんにパスタ屋にも行きたい、
小町通りにも行きたいと話し、
それなら混まない
平日の誕生日に出かけようと話が決まった。


アレコレ注文を言う私に
「分かった、いいよ。」
と、言うMさん。


アレコレ言ってはいけない。
困らせてはいけない。
そう思うが…
『何年も不倫して、

 彼女にしてあげていた事の何十分の一だ。
 私にも尽くしてよ。
 ずっとわがままも言わず、
 子育てをして、家事をして、
 家計の為に働いて頑張っていたんだ。』
などと、心で叫び、注文を言ってしまう。


多分、Mさんも分かっていると思う。
私が心で叫んでいる事を…
何となく…そう思う。



Mさんはレストランに予約をして、
駐車場のチェックまでしていた。




いよいよ、誕生日前日。
私は夕食の食器を片付けて、
キッチンで洗いながら子供に話しかけた。

「あ、そうだ、C君!
 ママ、明日さー、パパと鎌倉行ってくる。
 C君、学校だけど夕方までには帰るから。」

すると、突然子供が叫んだ。
「ハァー!?明日!?
 パパもママも仕事どうするの!?」
「え?休むよ。有休取ったし(^^)」
笑顔でそう答えると、C君が
「ハァー!?ふざけんなっ!

 僕も行くーーーっ!!!」と、叫んだのだ。


え?

…はい??

……なんで??