無神経なMさんが、無神経に発した言葉から
私が嫌な事を思い出し、
車という密室で、冷たい空気が流れた。


目的のファミレスに着くと、
私達は駐車場からお店まで並んで歩いた。
ただ、私と夫の間に割り込んで
さりげなく3人が繋がるように、
C君が腕を組んできたのだ。

「美味しいハンバーグ食べようね!ママ!」
なんて、明るく話してくる。


やるな、C君(笑)

どこでそんな事を覚えてくるのだろうか。

仲違いしそうな両親の間に入り、
何気ない会話をして、
ギスギスした空気を爽やかにしようとする。

すごいな、C君(笑)

ごめんね、気を使わせてしまって。



席に座ると、メニューを見て
C君も私も定番なハンバーグを選んだ。
「Mさん、決まった?」
私が問いかけると、Mさんは
「うん、リブロースステーキにしようかな。
 誕生日だし、いいかな?
 ファミレスだからいいよね(笑)!?」


はい?
リブロース??
えーっと……なんで??


「・・・まぁ、そうね、誕生日だし…」


しばらくして、Mさんは
注文したステーキを美味しそうに頬張り、
幸せそうな顔をして食べていた。

私も子供も安〜い、ハンバーグを食べて
C君も「美味しい♡」と笑顔で頬張った。

なんだろう。
この、心から祝えない、モヤモヤした感じは。

まぁ、でも誕生日プレゼントがない分、
ステーキくらい良いか。


美味しい、美味しいと食べていると、
「ママ、この後イオンに行ってくれる?
 算数のノートがないんだ。」
突然の文具用品がない発言!
小学生あるある。
もっと早く言えよ!と、いつも思う。
「分かった、行くよ…」
そう言って、食事を終えて
私達は近くのイオンへ向かった。






イオンに着くと、ノートを買い、
少し専門店をぶらついた。


すると、子供とMさんが突然消えて、
鞄屋に入っていた。


「パパ、これは?」
「あ、良いかも!」

え?何?
プレゼント選んでる??

男2人で、お財布をあれこれ見ていたのだ。


さすがに私は店内には入らず、
専門店が並ぶ通路にあるソファーへと
ゆっくりと腰を下ろした。


確か…Mさんのお財布、ヨレヨレだったなぁ。
だいぶ使い込んで、革だから光沢が出て、
それが良いとも感じるけど…
楽しそうに選ぶ2人を遠くから見ながら、
ふと、そんな事を思い出した。


「ママ!」
子供の呼ぶ声で、私は店内へ入って行った。
「僕はこの携帯カバーを買うんだ。
 パパが欲しいって言うから。」

鞄屋だけど、ちょっとした小物が置いてあり、
子供は、セールになったカバーを
プレゼントすると言った。

「パパ、喜ぶね。」私がそう言うと、
「ママは?何を買うの?」と、聞いてきた。
「え?ママも買うの?」
すると、そばに寄って来たMさんが
「これにしようかな。」
と、お財布を出して来た。
「!!!、高っ!!!」
思わず声に出してしまった。

はぁー。仕方ない。
私はレジに持って行ったのだ。


ふと……
あれ?
アイツ、リブロースステーキも食べてたよな?

やられた…(笑)


来月の私の誕生日は倍だ!倍!