The Place/ザ・プレイス 運命の交差点 | 不健康ランドの小乱闘

不健康ランドの小乱闘

かなり無理。でも負けない。

米国のネット・ドラマ(?)

The Booth at the End が原作の

イタリア映画

 

だということを、映画を観た後で知り、

話は後先になるけれど、

原作のドラマをYouTubeで観てみた。

 

シーズン1のエピソード1約25分の中で

なぜか2分弱毎に短いエンドクレジットが流れて、なんじゃこりゃ。

だがそれはおいといて、

シーズン1がエピソード5まで。

たしかに、一部の設定を除いて

映画は原作そのままだった。

 

ただし、原作はシーズン2もあるらしいので

映画のあの結末は、シーズン1にはなかった。

 

主人公の男をいつも気に懸けているウエイトレスの

名前も違ったし(映画では、彼女の名前大事)。

そういう意味では、

映画の方が(後出しってこともあって)よく練れてる。

 

ただし、全然「映画的」ではない。

 

一場ものの舞台、でさえ向いているとは思えず、

「本で読むのがいちばん」という作品だろう。

 

なんたって

全てはとあるカフェの再奥のブースでの

語りだけによって描かれる。

 

セリフが命。

本だったら読み返すこともできるが、

映画ではそうはいかない。

全てのセリフに集中する必要あり。

 

そして主人公の

名乗らぬ男、

こいつは何者なのか。

 

とあるシスターが訪ねてきた時、彼女はこう質問する。

How can I know you are not the devil?

それに対する男の返答は、

You can't.

(いずれも原作ドラマ版のセリフ)

ーー悪魔だということを、否定しない。

 

訪ねてくる者たちは、

皆「奇跡」を望んでいる。

たとえどんなに同情できる事情であろうとも、
「奇跡を起こしてくれ」というのは、虫のいい願望だろう。
 
その願望に対し、男は
分厚いノートにメモをとりながら、
「もしあなたがそれを実現したいなら」
といって無茶な課題を課す。
 
余命わずかな病を患う男の子をもつ男性には、誰でもいいから少女を殺せと言い、
アルツハイマーの旦那をもつ老女には、爆弾を作って大勢を殺せと言い、
神を感じられなくなったというシスターには、妊娠せよと言い、
視力がほしいという盲目の若者には、女をレイプしろと言い……
 
なんじゃこりゃいったい。と思っていると、
それらが交錯して、
おおこれは神の御業か?
おもしろいじゃん、と思っていたら、
 
最後の方になって
アレレレ?
なんかやばい方向へ行っちゃってるぞ?
やっぱこの男、神じゃないのか。
 
そして
「おまえは、怪物だ」
と言われ、
「怪物に、エサをやっているだけだ」
と返すーー意味深。
 
そして最後、
思うようにいかなかったのが一件あったんだけれど、
これが原作では分かりやすかったんだが、
映画では設定を変えちゃったため、いまいち。
 
だがいずれにしろ、
疲れちゃったんだね、この男。
いつもは人の頼みを聞くばかりだったのが
珍しく弱音を一言吐いたら、

件のウエイトレスが、


男の分厚いノートを自らの手に取って、

「それで、あなたの望みは?」

 

ウエイトレスの名は、

Angela。


シビれた。