その時、わたしは問題をひとつ抱えていた。


そのことについて相談できる人は2人で、管理部の部長の正史さんに相談するか、それとも課長のサナエさんに相談するかを迷っていた。


どちらに相談するのが良いのだろうかと考える度に最初に頭に思い浮かぶのはサナエさんだった。なので、まずはサナエさんに話してみようと心を決めた直後だった。




お昼からの帰り道、会社の裏口のちょっと手前で、偶然、課長のサナエさんと出会った。


そして、その場でわたしが知ったことを簡潔に伝えた。


お弁当が入っていると思われるプラスチックバッグを左手に下げたサナエさんは、「わかりました」と言った。




お昼からの帰り道、偶然、課長のサナエさんに出会い、その場で相談をしてから3日が過ぎた。


あの問題はどうなっていくんだろうと考えながら、いつものようにビルとビルの谷間の道を通って会社へと向かい、8時過ぎに2階のオフィスに到着した。


いつものルーティンをこなした後にいつものようにメーラーを開くと、サナエさんからあのことについてとわかる件名のメールが届いていた。




メールにはこんなことが書いてあった。


わたしがサナエさんに伝えた事柄は不確かなものだったので、サナエさんは先方に対してどう切り出したら良いか、考えあぐね行動に移せないでいた。


そんな折、偶然、先方の課長が、わたしがサナエさんに相談した事と同じ事柄について別の角度からサナエさんに相談に来た。


先方の課長の話からわたしがサナエさんに相談した情報が事実と判明し、この偶然から問題が一気に解決の方向に進み始めたとの事だった。




生きているって毎日が幾つもの偶然の積み重ねなんだと実感した。