成海神社の駐車場の脇には、松尾芭蕉の句碑が建てられている。句会の挨拶代わりに詠んだとされるその句が現在の緑区の語源となっているというのは驚きである。


「初秋や 海も青田も 一(ひと)みどり」


かつては、この地に鳴海潟と呼ばれる海があった。この句は海と青田による境界ない緑一面の絶景を表したものである。このたった十七音から、当時の景色を見ずして、自身の内に心象景色を自然と創り出し、その情景に自ら感動をもできるのは、この句の作者の卓越した技巧と表現によるものなのだろう。私も駄文を綴らぬよう留意していきたい。