先日、お客様からこのようなメッセージを頂戴しました。

 

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日頃から御社の商品をよく購入している者です。 

 

 私も最近知ったのですが、日本では殆どの母豚たちが妊娠ストールという柵の中に入れられていて

一生の間ほとんど動くことも振り返ることもできない状態で、そのため病気も多発していて

精神にも異常をきたしていることを知りました。 

 海外ではこの妊娠ストールというものは残酷なためほとんど使われていないことも知りました。 

 御社は商品に使われる豚肉に妊娠ストールを使って飼育されていないでしょうか? 

 企業様には出来るだけこういった飼育をされて作られた豚肉は販売していただきたくないと願っております。

 日々の業務でお忙しいところ申し訳ありません。 

 豚たちのために少しでも妊娠ストールを使っていない豚肉商品の販売を検討して頂けましたら嬉しいです。

 よろしくお願いいたします。

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これはとてもセンシティブな問題であり、問題解決には多くの議論と時間を擁します。



結論から言うと、弊社ではストールを使用しています

何故使うのか?と言いますと、簡潔に言うと「事故率を減らすため」
「生産効率を上げる為」「場所(飼育スペース)の問題」の3点が挙げられます。


まず「ストール飼育」の日本の歴史と経緯を紐解いていきます。

ストールを使うという行為は今から遡ること40年ほど前に
日本に導入され始め30年ほど前にはかなりの数が浸透しました。

そして現状、日本の養豚ではほぼ全部と言っていいほどの企業が採用をしています

導入の経緯は「日本の農家減少」が大きなポイントと転換点になります。


昔、養豚農家は子豚を繁殖させる農家とその子豚を肥育させる農家に分かれていました。
しかし、農家が減少したことにより、自ら子豚を産ませて繁殖、そして肥育を
させる「一貫経営」という手法を取らざるを得ない時流
が生まれ始めました。
※この時代の「子豚を繁殖させる農家」はストールを使用していません

言うまでもなく、土地の少ない日本では狭い場所で企業活動もしなければなりません。

そのような、複合的な条件が重なり合いストールを使用する飼育が採用された形です。


現在、一次産業である農業は昨今の後継者不足、餌高の影響も受け、廃業が相次いでいます


昔よく見られた一家に数頭の「庭先養豚」から始まった日本の養豚産業

今では大規模集約化が進み、大きな企業が営む「企業養豚」が主流の中

私共中小企業の養豚はどのようにして生き残るか?そして生み出したものを

お客様にどのように届けるか?を日々模索をしています。


「ストールを使わない飼育をする」という事は、出荷量はおそらく半分以下になること
が予想され、それは言い換えれば「日本の豚肉生産量が半減」するという事を意味します


餌高の苦境に立たされている農家を保護する国の支援は本年2月をもって打ち切りとなりました。

「ストールを使わない昔ながらの養豚の姿に戻す」
そんな動きは出てきています、そして弊社も一部の神経質な豚には
ストレスをかけないようにストールは使用しない飼育法も用いています。

『豚に寄り添えば自分たちが廃業に追い込まれる』という
とても歯痒い「理想と現実」が我々の前に立ち塞がっております。

自給率を確保するような国の動きや養豚のしやすい環境と
そこへの皆様の理解が進んでいき、そして我々の企業努力が結実した時
この「ストールの問題」は改善、そして解決の方向に歩みを進めると思います。


命を頂くということを生業にしている私たちは今回の話以外の部分でも
多くの倫理的な議論をしなければなりません。
元をたどれば、命を殺めている、ここの部分をどう捉えるのか?
人間の業の深さ、そんな議論にも発展をしてきます。


自信をもって今「今後ストールを使用しません」とは正直なところ断言できない状況。

しかしながら、今やれることは取り組んでおり、少しでも母豚のストレスを

和らげられるような活動はしていることは確かです

 

 


撮影は宮城県の弊社農場にて。

「明日の光」を見ているような子豚たちの写真です。

 

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