朝ドラ『虎に翼』の総集編【前編】がありました。
花岡が亡くなって、妻が描いた
絵を家庭裁判所に飾ったシーンを観てこの絵は?と・・・



第11週「女子と小人は養い難し?」(第51~55話)が放送中で、寅子の学友、花岡が自身の信念を貫き、闇市の食べ物を一切拒否し栄養失調で亡くなった。この日の放送で、寅子は家庭裁判所設立準備室への異動が決まり、人事課長の桂場等一郎(松山ケンイチ)から呼び出された。寅子は、家庭裁判所が設立された暁には生活の安定のためにも裁判官にしてほしいと要求。桂場から「善処しよう」という約束を取り付けた。この時、桂場は新聞を読んでおり、紙面に「画面に“いばらの道” 人気よぶ花岡判事未亡人の個展」という見出しで、画家として活躍する奈津子の記事が写真付きで掲載されていた。




『虎に翼』花岡奈津子のチョコレートの絵はリアルなのか? 美術史家・吉良智子さんに当時の女性画家について聞く


NHKの朝ドラ『虎に翼』。主人公・寅子と親しかった花岡の妻、奈津子が描いた絵画が55話に登場した。



多岐川

サムネイル

「人間、生きてこそだ。国や法、人間が定めたものはあっという間にひっくり返る。ひっくり返るもんのために、死んじゃならんのだ。法律っちゅうもんはな、縛られて死ぬためにあるんじゃない。人が、幸せになるためにあるんだよ、幸せになることをあきらめた時点で矛盾が生じる。彼がどんなに立派だろうが、法を司る我々は、彼の死を非難して、怒り続けねばならん。その戒めに、この絵を飾るんだ」


 

 



(52話の新聞記事に)個展に関する記事が映ったのを見て、ただそれだけの登場だと思っていたのですが、55話までひっぱっていて驚きました。

──劇中の新聞記事を見ると「判事なるが故にヤミ買を一さい断ち死の行進をつゞけた花岡悟氏(当時三十二歳)の未亡人奈津子さん=佐賀県杵島郡白石町=の個展が十八日から銀座『もりみ・ぎゃらりぃ』でふたをあけた」こと、花岡の法曹界の関係者が来場するなど「人気を呼んでいる」こと、「作品は二十点」であることが書かれています。

ドラマ放送後に知ったのですが、餓死という悲劇的な死を遂げた花岡のモデルとなった山口良忠判事は実在の人物で、実際にヤミ米を食べることを拒否して1947年に亡くなりました。そして、その配偶者で未亡人となった山口矩子が実際に個展を開催し、20点中8点を最高裁判所が買い上げたということも実際にあったそうですね。

明治大学法学部教授の村上一博さんによる解説に詳しいですが、「山口の死去後に矩子夫人(父親は元大審院判事の神垣秀六)の個展が開かれ、最高裁判所は、出展された8点の絵画を買い上げて哀悼の意を表しました(ドラマでご一緒している清永聡NHK解説委員によると、この絵画は現在も最高裁判所に保管されているのだそうです)」「矩子夫人と家庭裁判所とは深い繋がりがあり、彼女は昭和36年から東京家裁の調停委員を勤め、彼女が描いた無料調停相談のポスター(鳩が蒼空を飛翔する絵)が全国の街々に貼られた」と書かれています。


この絵自体には、

リアルさはないけれど

花岡の妻が画家だったり

その絵を裁判所が

購入していたり

実際にあったことを

描いているんですね。


寅子が花岡の子どもに

あげたチョコレート





寅子が花岡にチョコレートを渡したことを視聴者は知っているから、あれは花岡とその子供を描いたと推測できますが、そうした前提を持たなければ、あの絵は米兵が子供にチョコレートを渡している様子だと思う人も多いのではないかと思いました。