「女子は今のタイムじゃメダルは厳しい。ゼロもあり得ると思う」レジェンド松田丈志氏が占う女子競泳


女子は日本競泳史上最年長で平泳ぎ100メートルと200メートルの五輪切符を掴んだ鈴木の復活に驚きました。12年ロンドンで3つのメダルを取ったものの、16年リオではメダルなし。21年東京では代表入りを逃しました。にもかかわらず、昨年7月に平泳ぎ100メートルで14年ぶりに自己ベストを更新。信じられません。僕は32歳で自分の限界を感じてやめたので奇跡だなんて思って見ていますし、先日、(ロンドン五輪でメダル3個を獲得した)入江(陵介=34)とも「アレってもう変だよね? 途中、何やっていたの」なんて話していました。

 奇跡の理由は3つ考えられます。1つ目は山梨学院大という水中も陸上も非常にタフな練習をするチームで、高校卒業後から今もそこに身を置いて学生たちと一緒にハードなトレーニングをしているので、フィジカルの基礎がしっかりと積まれているということ。2つ目は精神的な部分で、昨年、福岡の世界水泳に選ばれて、地元の人から大歓声をもらって泳げたことで、もう1回頑張ろうという気持ちに火をつけたんじゃないか。3つ目は、あの年齢で泳ぎを進化させてきたこと。今の水泳界の平泳ぎのトレンド「ピッチ泳法」を取り入れたのです。アダム・ピーティーという英国の選手(男子50、100メートル平泳ぎの世界記録保持者)が作り上げた、とにかくテンポで押す泳ぎ方で、これまでの大きくかいて伸ばすイメージとは対照的にテンポ良くどんどんかいていくやり方。それで彼は世界記録を取りました。鈴木は33歳でその世界のトレンドの泳ぎにアジャストしてきた。この3つが揃って自己ベストにつながりましたよね。

メダルを期待したいですが、世界も速い。今のタイムじゃメダルは厳しい。女子200メートル個人メドレーに出場する大橋も東京五輪では2冠でしたが、実はそのタイムもあまり速くはなく(200メートルは2分8秒52、400メートルは4分32秒08)、16年リオ五輪の金メダリスト(カティンカ・ホッスー)のタイム(200メートルは2分6秒58、400メートルは4分26秒36)の方が速い。2021年は1年延期もあり、ちょうど選手層の谷間のような形で迎え、正直言って記録のレベルは高くなかった。それは本人が一番理解していると思います。そして今、世界にはまた若手がどんどん出てきて記録のレベルが上がってきたので、トップとの力の差が出ている。女子はメダルゼロもあり得ると思います。




みなさん、女子100メートルバタフライに出場する池江に期待していると思います。3月の選考会の準決勝で57秒03をマーク。56秒台目前のタイムで泳ぎましたが、やっと闘病前のタイムの射程圏内に入ったかなという状況です。復帰してからの歩みは本人が想像するよりもかなり遅いのだと思う。本当に時間がかかっていて、まだ戻りきっていない。世界の中での位置でいうと、2018年の自分の記録がやっと射程圏内に入ってきたのであって、記録としてはもう6年前なわけです。世界はそこからさらに進化しているので、「メダルを狙うぞ!」というところまでは来ていない。つまり、個人的な記録と決勝入賞が具体的な目標になるのかなというのが正直なところです。


五輪の舞台に戻ってきただけでも素晴らしいことで、現時点で結果を求めるのは本人にとっても酷です。ただ、期待するところがあるとすれば、オーストラリアでのトレーニングでどこまで状態を上げていけるか。オーストラリアの環境が璃花子には合っていると思うんです。璃花子の場合、どうしても国内にいると目立つ存在。どこ行っても注目されるから気を使わなきゃいけないけど、海外だと誰も知らない状況の中で、同じチーム内にも世界のトップ選手が集まっている。璃花子が特別速い存在ではない。その中で揉まれるのがおそらく彼女にとっていいと思います。




いや〜、男子同様

メダル獲れないでしょ。

そんなに世界は、

甘くないですよ。


獲って、ほしい選手


池江璃花子

鈴木聡美

成田実生


くらいでしょ。