夜は必ず明け

光は必ず射してくる

念ずれば必ず花は咲き

道は必ず開いてくる

この必然の祈りに生きよう



ー坂村真民「必然」

<解説>

この詩は、真民が77歳の時の詩です。

必然とは、辞書によりますと、「必ずそうなると決まっていること」と書かれています。

夜は必ず明け、朝の光は必ず射してくる。というのは、この宇宙の必然の原理なのですね。コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、世界で450万人が感染し、30万人を超える人が亡くなっているこの現状を見ると、多くの人が不安と恐怖の中で、毎日を生きていると思います。まだまだ先は見えず、いつこの不安が解消されるのか、だれも答えてくれません。しかし、夜は必ず明けるのです。光は必ず射してくるのです。念ずれば必ず花は咲き、道は必ず開いてくるのです。坂村真民の祈りの詩でもある、この詩を読むと、大きな力が湧いてくる思いがします。

「この必然の祈りに生きよう」とは、夜は必ず明け、光は必ず射してくる」と信じて生きてゆこうという、真民のメッセージなのです。


砥部町立坂村真民記念館

館長 西澤孝一


坂村真民ー


1909(明治42)年、熊本県玉名郡府本村(現・荒尾市)生まれ。本名、昻(たかし)。

八歳の時、父親が急逝し、どん底の生活の中、母を支えた。

神宮皇學館(現・皇學館大学)卒業後、熊本で教員となり、その後、朝鮮に渡って高等女学校、師範学校の教師に。

終戦後、愛媛県に移住し、高校の国語教師を勤めながら詩を作り続けた。毎月詩誌「詩国」を発行し無償で全国の読者に届ける。

58歳の時、砥部町に定住し、65歳で退職後は詩作に専念。

2006(平成18)年、97歳で永眠。

一遍上人を敬愛し、「タンポポ堂」と称する居を構え、毎日午前零時に起床。夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げるのが日課であった。

飾らない素朴な言葉で人生を歌い続け、その詩の数々は、多くの人に優しさや勇気、そして希望を与え続けている。さらに、慈しみの心にあふれた人柄や生き方は、老若男女幅広い層から支持されている。

(写真は90歳のときのものです)