NHKのプロジェクトXの再放送があったんです。

新プロジェクトX〜挑戦者たち〜
厳冬 黒四ダムに挑む〜断崖絶壁の輸送作戦〜





と言う。タイトルです。

そのなかで、ブルドーザー隊の岩井宰さんという方のコメントが、グッとくるものがあったんです。


  ブルドーザーで標高2700メートルの山を越えよ


神部に提案する中村。「ブルドーザーと重機を私に下さい」「どういうことだ」「資材の輸送放送を思いついたのです。ブルドーザーで立山、一ノ越まで登り、雪を待ってソリに資材を乗せ、一気に黒部峡谷に滑り落ちると言う方法ですが、雪崩で失敗してブルドーザーや重機が失われる確率も大きいと思います。その時は私が責任を取ると言うことで」「ウーム。いいだろう。途方もない輸送作戦だ」

社の許可を得た中村は全国に建設現場からブルドーザーの運転手・技師の精鋭10人を引き抜いた。入社4年目の技師、岩井宰もその内の一人だった。中村は10人の若者たちに作戦を告げた。「え、ブルで山越え?」「お前ら、まさか怖いんじゃ。どうなんだ、岩井」「はい。ブルで雪山登りなんて初めてですから」「そうだ。他の誰もやっとらん。しかしお前らなら出来る」「……」

岩井は入社以来、丸山ダム、鳩ケ谷ダム建設とずっと中村の下で働き、厳しく鍛えられてきた。(中村さんが考えた輸送作戦だ。大型機械を運び、ダム建設を工期内に終えるためには、無茶でもその方法しかないのだろう)「岩井、やります」「俺もやります」「自分も」

1956年9月、岩井たちは5台のブルドーザーで立山ルートを登り始めた。雪が降り積もって動けなくなる12月までに道を切り開きなから、ブルドーザー自体と重機類を立山山頂に近い尾根、一ノ越まで運び上げるのが目標だった。





こんな経験をされていた岩井さんが中村さんに凄く怒鳴られていたんだそうです。


その時、


『地位で怒鳴っているんじゃないんですよね。』


『人間として怒鳴っているんです。』


今、こんなことしてたら

パワハラと言って、訴えられるんでしょうか?


怒鳴る側

怒鳴られる側


どっちも人間ができているんでしょうね。信頼関係も



この物語は、間組の黒部大ダム建設所堰堤課長兼設備課長である「大まむし」と呼ばれた中村精(なかむら くわし)氏をメインに書かれている。

 間組は、第一工区のダム本体、取水口、水路トンネルの一部、大町トンネルの一部(迎掘り)、御前沢渓流取水の工事を42億9324万円で請負った。ちなみに熊谷組が請負った第3工区は、大町トンネルの大部分、黒部ルートのトンネルと水路トンネルの各一部の17億8180万円であるから、間組に対する関電の期待は相当なものであったと思う。

 関西地方の電力需要のひっ迫からダム竣工までの工期が短く、早急に大町トンネルの迎掘りをおこなう必要があった。だが現地まで資材を運搬する道路がないため、間組は全国から「強力」(ごうりき:登山者の荷物を背負い道案内をする人)を4000人集めて、人力による資材運搬をおこなった。しかし人力による資材運搬には限度があり、重機等の大型機械の搬入ができないため、中村は、本社と掛け合ってブルドーザー等の重機を現場に運び込むこととしたが、その方法がすごい。秋に富山県立山の一ノ越までブルや重機類を上げて、春先の残雪を利用して作業現場までおろすという作戦である。(雪上輸送といっていた。)

 ブルドーザー隊は、9月に立山の一ノ越までブルや重機類を上げて、シートで覆い越冬させた。翌春、立山の一ノ越から作業現場へ下ろすための作業を開始したが、ブルが凍っていたり、吹雪に遭遇したりと大変な作業あった。幾多の苦難を乗り越えてブルドーザー隊は、無事黒部ダム建設現場に到着する。

 雪上輸送とは別に、トンネル工事と本体準備工事を少しでも進捗するため越冬隊を組織して、御前谷の越冬宿舎での生活が始まった。真冬の大町トンネルの迎え掘りの作業は、出水に悩まされながらの作業であった。越冬は、世間から完全に隔離された世界での生活であり、越冬隊は大変な苦労をする。(吉村昭の「高熱隧道」と通じるものがある。)生活環境や食糧事情の悪い中の作業であったが、春になり工事部隊が作業現場に登ってきたことで越冬隊は工事部隊と入れ替わりに下山していった。

 順調に進捗すると見えた大町トンネルの迎掘りも、熊谷組のトンネル工事同様、破砕帯からの出水に悩まされ作業が大きく遅れていく。仮排水トンネル、仮設備の工事が進捗していく中、遅れていた本体の掘削を一般的な本体掘削工法であるベンチカット工法から大発破という法面全体を一度に発破する計画に変更することとした。昭和33年6月20日に大発破を成功させ、ダム建設工程の遅れを取り戻し、昭和38年5月にダム本体関係の工事終了、同年6月5日竣工式を行った。

 また、ここには書かなかったが宇奈月町の医師鈴木康彦先生と奥様のエピソードも泣かせる。