大相撲春場所千秋楽の24日、立行司の木村庄之助が霧島―琴ノ若の結びの一番で軍配差し違えをして、打ち出し後に八角理事長(元横綱北勝海)に進退伺を申し出た。理事長からは慰留された。

 庄之助に昇格した先場所以降で差し違えは初めて。2019年初場所から務めた式守伊之助としては11度ある。




ところで、行司の最高位である立行司は腰に短刀を差しています。行司差し違いをしたら切腹する為だ、という伝説を聞くことがありますね。興味深い話ですが、これは間違いです。江戸時代までは行司はみな帯刀していました。帯刀していたのは織田信長に由来します。信長は相撲好きで、しばしば相撲興業を催しました。その際、信長の家臣が行司を務め、家臣は武士ですから帯刀しています。その名残として行司は腰に短刀を差すようになった、ということです。

ところが明治時代になり、明治政府が廃刀令を出すと行司たちも帯刀できなくなりました。それでは、行司の威厳が保てないということで、立行司だけ帯刀が許されるようになったのです。

それなのに帯刀しているのは差し違えたら切腹する覚悟を示している、という伝説が生まれたのは大正時代の立行司木村庄之助が結びの一番で行司差し違いを犯し、責任を取って辞職したことが原因でした。

差し違いで辞職したことがいつも間にか、おそらくは帯刀姿から切腹をイメージされるようになったのでしょう。


ずっと切腹するくらいの

覚悟で行司をしている。


と、思ってました。