「桜三月散歩道」は、赤塚不二夫さんの長年のブレーンであリ、パロディ漫画におけるパイオニアである長谷邦夫さんが『まんがNo.1』という雑誌(責任編集は赤塚不二夫名義)の編集を担当していたとき、付録にフォノシートを付けることになり、その収録曲の1つをデビューまもない陽水に依頼し、詞を自ら書いて提供したものだ。「桜三月散歩道」の詞は、かつて長谷さんが私家版で出した第一詩集『叫びのかたち』の初期詩篇から題材をとったもので、のちに陽水は詞と語りの内容を変えて自らのアルバム『氷の世界』(1973年)に収録した。




「桜三月散歩道」(『まんがNo.1』ヴァージョン)
作詞:長谷邦夫 作曲・歌:井上陽水 語り:大野進

ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが
川のある土地へ行きたいと思っていたのさ
町へ行けば花がない
町へ行けば花がない
今は君だけ見つめて歩こう
だって人が狂い始めるのは
だって狂った桜が散るのは三月

(語り)
夏の日の夕方 水泳から帰った僕たちは
みんな真っ白なシャツを着ると
色の剥げた貨物船のような倉庫のある
細い道に集まるんだ
僕らがキャッチボールを始めると
道路は瞳の中の涙のように急に広がって
白シャツも影の中に沈んでしまい
白く光るのは たった一つの健康ボールだけになっちゃうんだな

ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが
川のある土地へ行きたいと思っていたのさ
町へ行けば人が死ぬ
町へ行けば人が死ぬ
今は君だけ追いかけて走ろう
だって僕が狂い始めるのは
だって狂った恋が咲くのは三月

(語り)
秋 やっぱり夕方近くになると
僕たち子供は家の窓を開け
涼しくなった空を見上げてから
江戸川の堤に駆け登るんだ
みんなで影を連れてね
帝釈天の向こうの夕日が
太い煙突に吸い込まれるまで
影踏みをして遊ぶんだ
影を踏もうとすると
影は驚いた魚のように逃げたっけ

ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが
川のある土地へ行きたいと思っていたのさ
町へ行けば革命だ
町へ行けば革命だ
今は君だけ想って風になろう
だって君が花びらになるのは
だって狂った風が吹くのは三月


 




 




先に出たソノシートと歌詞を比べると赤字( )はアルバム収録

ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが

川のある土地へ行きたいと思っていたのさ

町へ行けば花がない

町へ行けば花がない

今は君だけ見つめて歩こう

だって人が狂い始めるのは(3番へ)

だって狂った桜が散る(咲く)のは三月

夏の日の夕方 水泳(学校)から帰った僕たちは

 みんな真っ白なシャツを着ると(て)

 色の剥げた貨物船のような倉庫のある

 細い道に集まるんだ(り)

ここから先カット

 僕らがキャッチボールを始めると

 道路は瞳の中の涙のように急に広がって

 白シャツも影の中に沈んでしまい

 白く光るのは たった一つの健康ボールだけになっちゃうんだな

ここまでカット


ここから3番

ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが

川のある土地へ行きたいと思っていたのさ

町へ行けば人が死ぬ

町へ行けば人が死ぬ

今は君だけ追いかけて走ろう(思って生きよう)

だって僕が狂い始めるのは(2番へ)

だって狂った恋が咲くのは三月

(語り)

(ここからカット)

 秋 やっぱり夕方近くになると

 僕たち子供は家の窓を開け

 涼しくなった空を見上げてから

(ここまでカット)

 (1番と2番の間の先程の語りはこの頭に付きます)

 江戸川(それから)の堤に駆け登るんだ

(ここからカット)

みんなで影を連れてね

 帝釈天の向こうの

(ここまでカット)

夕日が 太い煙突に吸い込まれるまで

 影踏みをして遊ぶんだ

 影を踏もうとすると

 影は驚いた魚のように逃げたっけ


(これが2番)

ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが

川のある土地へ行きたいと思っていたのさ

町へ行けば革命だ(風に舞う)

町へ行けば革命だ(風に舞う)

今は君だけ想って(追いかけて)風になろう

だって君が花びらになるのは(1番へ)

だって狂った風が吹くのは三月




 


井上陽水の曲で

好きな曲のひとつです。


語りの部分が特に好き

なんです。(影を連れてねが…)


アルバムの作品より

ソノシートの方が、先に

できていた。

それも、デビュー

まもない陽水が作曲。


さすが、陽水