愛媛県にある道後温泉本館(どうごおんせんほんかん)は日本最古の温泉として有名です。夏目漱石も入浴したことで知られていますが、ここは旅館ではなく共同浴場です。商店街を抜けると現れる歴史ある道後温泉本館は独特の世界観を作り出しています。

堂々とした風情の道後温泉本館は地元の人にも愛されていて、ちょっとした会話で裸の付き合いが楽しめる親しみやすい温泉でもあります。

<建物>

木造3階建ての道後温泉本館は、明治27年(1894)に改築されました。小説「坊っちゃん」の作中で賞賛された「住田の温泉」は、まさに道後温泉本館のことであり、当時からいかに素晴らしい温泉だったのかが想像できます。三層楼(さんそうろう)の建物は、屋根に据えられた白鷺が特徴であり、現在は国の重要文化財にも指定されています。

毎日6時・12時・18時には、本館屋上の「振鷺閣(しんろかく)」から「刻太鼓(ときだいこ)」が鳴らされます。道後の温泉街に響き渡る昔ながらの音色に、耳を傾けてみましょう。

<温泉>

道後温泉本館には、「霊の湯」と「神の湯」という2つの風呂が設けられています。石造りの「神の湯」は、円柱形の「湯釜」が独特な雰囲気を演出しており、国の重要文化財にも指定されています。

全国的に知られてからも、本館に訪れるのは観光客だけではありません。現代においても、地元の人々は銭湯感覚で入浴に来ています。源泉かけ流しを気軽に楽しめる公衆浴場としての価値も、この場所の魅力だと言えるでしょう。泉質はアルカリ性単純泉で、肌に優しいなめらかな湯となっています。




山形県にある「銀山温泉街」は大正ロマン漂うノスタルジックな街並みで有名です。500年の歴史を持つ温泉街は、レトロな木造の旅館が軒を連ねていて、時間が止まったかのようにゆっくりと過ごすことができます。

石畳の小道、夕暮れに明かりがともるガス灯など、ノスタルジックな雰囲気に包まれるとジブリ映画の世界に迷い込んだ気分になることでしょう。

<建物>

銀山温泉の魅力の一つに、古き良き日本を感じるノスタルジックな景観が挙げられます。銀山川の両岸に建ち並ぶ洋風木造多層の旅館は、大正末期から昭和初期にかけて建てられたものです。

昭和元年に高温多量の湯が湧出したことで地域活性に力が入り、各旅館は一斉に洋風化しました。しかし、戦後は洋風に縛られることもなくなり、和風の建物が増えています。それぞれに個性のある宿を選ぶのも、銀山温泉を訪れる楽しみです。


<温泉>

銀山温泉にある各旅館は、川沿いに湧出した源泉をそのまま内湯として引き込んでいます。「出羽(でわ)の名湯」として名高い温泉は乳白色で、きめ細かい湯花が混ざっているのが特徴です。

泉質は保温が続くナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉で、神経痛や関節痛、冷え性、皮膚病などでお悩みの方におすすめです。飲泉した場合は、便秘や糖尿病などに効用があるとされています。食事の1時間から30分前に飲泉を行うと、より効果が期待できるでしょう。