「脳が突然回り出す」環境スイッチ&おつまみ


ダルい、眠い、そわそわ……どうも頭の働きが鈍っているようだ、と感じるときがある。動かない頭でうんうん唸っても非効率。そこで、よくある職場の困った“あるある”シチュエーションを、ひらめきなどの脳内ネットワーク系と、やる気などのメンタル系にわけて、20の設問にまとめた。最新脳科学と心理学による実践的な処方箋を伝授しよう。

まずは、図のQ&Aをよく見てもらいたい。悩みに対して、一見、なんの脈絡もない処方箋が下されているように思えるだろう。散歩、買い物、おしゃべり……、まるでサボっているようだが、さにあらず。脳を刺激するためには「負荷の高い新しい経験・変化を与える」ことが肝心。



例えば質問[1]のように新発想の企画が出てこないときは「アイデアが枯れた」と悲観せず、オフィスを出て普段歩かないような細い路地に紛れ込んでみよう。都心のど真ん中だというのに古い民家が残っていたり、魚を焼くような生活の匂いがしたりという意外な発見があるはずだ。


新発想は無からは生まれない。過去の経験や記憶から、全然違うもの同士を結びつけることが発想力なのだから、脳で言えば、できるだけ遠くのエリアの脳内ネットワークを発達させたほうがいい。そのためには、路地に迷い込むなどして、視覚、嗅覚、聴覚など五感をフル動員させ、脳内のなるべく離れた場所を刺激する。特に、論理的思考の強いタイプは、近い脳細胞同士の結びつきが発達しているので、こうした“全然違うこと”をして“意外な発見”をすることが有効なのだ。


質問[2]は[1]とは異なり、頭の中にアイデアはあるという状態。自分の思考を外に出すには、頭で考えている言語を文章化する。でも、それができないのなら、そのもやもやを具体的な形、つまり絵にするのだ。このとき、直接プロジェクトに関わる絵でなくても、例えば、昨日会った人の顔でも問題ない。言語にプラスアルファを付け加え、イメージングの練習を脳にさせるのだ。




「当たり前」を脱却できない人([3])は、目の前の人を笑わすことから始めよう。爆笑問題の太田光さんは観客が想像もしない意外な答えを披露するが、彼のような人から発想の飛躍の仕方を真似してもいい。また、「ひらめき人間」になる([4])には、北欧家具のイケア店内を一周する。アイデア溢れる商品が多く刺激になる。ニトリでもいい。



決断力が欠如していると、質問[5]のように考えをまとめることができず「堂々巡り」してしまう。そんな人は、ネットショッピングで5万円以上の高額商品をワンクリックで買うのだ。ちょっと勇気がいるが、身銭を切って訓練を積めば、仕事の決断力も鍛えられる。


[6]のように「いいネーミング」やアイデアが思いつかないときは、とにかくたくさんのネーミングを考えてみるといい。目標は101個。どんなにつまらなくても頭の中にとどめておかずに口に出す。恥ずかしがったり、躊躇したりすることをなくすことで、神経回路が回転し始めて脳にひらめきが生まれる。そして、すべて出し切って、もうダメ、もう何もないとなった101個目(102個目かもしれないが)に素晴らしいネーミングが生まれるはずだ。


ある年齢に達すれば[7]のように「物忘れ」が目立つ。だが、実は、私自身はこれはまったく気にしない。例えば、子どもにAKB48のメンバーの名前を何度教えてもらっても覚えられないのは、脳に問題があるというより、AKB48のファンではないからだ。もし、本当に覚えたいものがあれば、対象に興味を持てば覚えられる。どの子が前田敦子なのか、大島優子なのか、自然に区別がつくようになる。


当然、加齢とともに認知力が低下するのは否めない。しかし、その場合にも、毎日30分程度のウオーキングをすれば前頭葉と側頭葉の皮質容量が増える効果が脳科学的に立証されている。年齢を重ねても脳を活性化させることはできるのである。



脳は面倒なことを嫌うので、商品代金が714円だとしたら1000円札を出したくなる。質問[8]のようになかなか「決断」ができない人は、買い物の支払い時に、500円玉1枚、100円玉2枚、10円玉1枚、1円玉4枚というように小銭を財布から出す訓練(左脳的な論理的な判断)を続けていると、やがて必要な小銭が映像(右脳的な映像的判断)として浮かぶようになる。脳を直感的に使えるようにすることも、決断力の訓練には有効だ。


[9]「豊かな表現力」を身につけるためには、NGワードをつくるという手がある。例えば、グルメ番組なら「ジューシー」という言葉をNGにしてしまう。常套句が使えないという制約があるほうが、思いもかけない表現を生み出しやすいのである。


質問[10]の冷えた「部内会議」は誰しも経験していることだろう。そんなときは誰でも興味の持てる話題──例えば昨日見たテレビ番組について10分間話してみよう。みんなの緊張を解いて、場を温めてから本題に入っていくことができる。





精神力を左右する交感神経とは

ここからは、メンタルの悩みに答えていく。ひらめきは、脳内ネットワークを発達させることが大切だったが、メンタルでは脳内分泌を活性化させたり、交感神経と副交感神経を上手にコントロールすることが肝心になる。


まず、質問[11]のように「やる気」を保てない場合。対処法は簡単。仕事をやり残せばいい。100%を目指さずに今日は80%で終えて、明日出社したら20%を片付けると割り切って帰ってしまう。


脳にとって心地いい状態とは神経伝達物質であるドーパミンが出ている状態。仕事を終えると達成感は得られるけれど、ドーパミンが減ってしまう。そうすると翌日はゼロからの再スタートになるため、やる気が起きないのだ。そこで仕事を意識的に積み残してドーパミンが出ている状態を保つのである。


やればできるのにできない人([12])は、例えば、朝一の部費精算を日課にするといい。そもそも、よく考えてほしい。出社して早々の状態で、最も難しい案件を片付けることができるだろうか。まずは部費精算という低いハードルを跳んで、適度なドーパミンを得る。それから、徐々にハードルを高くしていくことで仕事を効率よく処理できる。また部費精算をすれば、小さなストレスから解放され、実際にお金という報酬も得られるのだから、脳にはとてもいい。



質問[13]の長期間のプロジェクトでの「モチベーション」の保ち方は、[11]と同様、ドーパミンの維持が鍵となる。先の見えないゴールではやる気が保てないので、例えば、プロジェクトの始まりから終わりまで見渡せる蛇腹式手帳を買ってみてはどうだろう。そうして、プロセスをより短期間なゴールに区切って、それを一つ一つクリアしていくようにする。


頼りにならない上司、使えない部下、信用できない同僚など「仕事の人間関係」([14])は、ポジティブシンキングが基本の常備薬だ。例えば、頼りにならない上司には反面教師としての役割を見いだす。自分にとってのなんらかの意義を探すのだ。大変困難な作業だが、がんばろう。


ただし、応急処置も処方しておこう。イライラはノルアドレナリンの過剰分泌が原因。あるいは鬱々とした気分ならばセロトニン不足。そうなったら、評判のおいしいラーメン屋へ行ってみよう。おいしいものを食べて脳内をドーパミンで満たすようにするのだ。





ストレスが集中力をアップ

「忙しい」が口癖の人がいる。本人はやることが多すぎて気持ちが焦っている([15])のだろうが、要するに自分の処理能力を理解しておらず、しかも仕事の優先順位をつけられないで空回りしているということが多い。そこでいったん、自分にブレーキをかけよう。目の前にいろいろな仕事があるとイライラするだけだから机の上の整理をする。今手がけている仕事を全部引き出しにしまい、優先順位の高い仕事をまず机の上に戻して、環境から整備してしまう。ソワソワした気分も、実際に手を動かすことで落ち着いてくる。


[16]のようになんとなく「ダルい」ときはウオーキングが断然効果的。30分でいいから歩くことにより脳に安定をつくり出すセロトニン、活動性がアップするノルアドレナリン、幸福感に関係のあるドーパミンという脳内物質がすべて活性化され意欲が戻る。



「集中力が限界」に達したとき([17])のリセット法は、チョコレートを食べること。脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖を供給する。なお、おにぎりなどのデンプン質だと、脳に吸収されるのに2時間かかるため、チョコレートなどの甘い物がお勧めである。さらに何かを食べると副交感神経優位になり、リラックスできる。一度、リラックスしてから再スタートをきるというのが大切なのだ。


午前中に働く意欲が湧かない質問[18]のような人は、朝食に問題がある。朝食抜きは論外、朝は脳に栄養が必要だ。この場合、[17]とは逆に、主食のご飯やパンをしっかり食べてゆっくり血糖値を上げていこう。先に述べたように、デンプン質は分解に2時間かかるので、出社が9時なら7時に食べるのがいい。


質問[19]のように最大限の能力を出せていないと感じるのなら、脳に軽度な負荷を掛けてみよう。脳内にアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌して潜在的な能力をパワーアップしようと試みる。ストレスを掛ける簡単な方法はタイマーを使って時間の制限(所要時間は適切に見積もること)を設けることだ。ちなみに、制限時間がきても仕事が処理できていなければ、次の仕事に移るほうが脳は効率的に働く。


質問[20]のように知識を高めるためには制限された状況をつくり出すことが効果的。例えばスターバックスに行けばダレることもできず長居もできず、交感神経優位の理想的な環境だ。この項目を覚えたらスマホの電源を入れてツイッターしてもいいというようにご褒美を用意するとさらにいい。


発想力を鍛えるとは記憶や感情の制御、行動の抑制といった重要な役割を担う前頭前野を鍛えることである。自分の脳内スイッチのありかを覚えておこう。

(ネット引用)

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参考になればいいんですけど、



試しにやってみてください。



脳科学的にものごとを考えてみること



効果的かも知れません。