飯田線の中部天竜駅。
中部天竜駅は無人駅ではなく、駅員が常駐している主要駅で、浜松市天竜区の佐久間の郷にあります。
佐久間の郷には、
「大型土木機械を結集した戦後の近代土木技術の原点で、完成に至るまでの月日は、脅威のわずか3年ほど。」
の偉業を達成した、国内屈指の大規模重力式コンクリートダム、佐久間ダムがあります。
佐久間ダムは、ダムを利用した水力発電において国内随一の発電量を誇ります。
飯田線の車窓からも見える、佐久間発電所の巨大な放流口は、圧巻の光景です。
中部天竜駅から車で約10分ほど走れば、佐久間ダムです。
佐久間ダムの天端道路は、主要地方道の県道飯田富山佐久間線の道路もかねています。
天端道路を渡り切ると、愛知県豊根村です。
ここから豊根村の富山地区(旧富山村)までの約20キロ間は、険道愛好家から絶大な指示をうける、幅員狭小・離合困難な恐怖の険道区間で、富山地区まで走破すれば、その先に大嵐(おおぞれ)駅があります。
ちなみに険道とは、険しい県道のこと。
ただし、がけ崩れによる工事全面通行止めに出くわす場合があるので、飯田富山佐久間線の険道区間を走行する方は、道路状況を事前に確認することが必須条件です。
険道ロマンにあふれる飯田富山佐久間線。
大嵐駅は、このダム湖のはるか先にあります。
〜 駅名の由来について 〜
中部天竜駅の中部は、日本の地方区分の中部地方が由来ではありません。
地方区分の中部地方とは、一般的に東海3県(愛知・岐阜・三重)+ 静岡 (東海に含めるかどうかは賛否両論あり)+ 北陸3県(福井・石川・富山)をくくった範囲を示します。
ちなみに、高校野球の東海大会に静岡は含まれていますが。。。
毎週土曜日の朝7時30分から、NHKの地上波で放送している「ウィークエンド中部」。
略して ” うぃちゅー ” の放送エリアも、中部7県(愛知・岐阜・三重・静岡・福井・石川・富山)が対象です。
上記以外の県でも、部分的に中部地方にくくられている場合があります。
例えば、国土交通省の飯田国道事務所は長野県ですが、愛知県を中心とした中部地方整備局の管轄となり、長野県南部の主要な国道を管理しています。
同じく、国土交通省の天竜川上流河川事務所も、中部地方整備局の管轄で、長野県の諏訪湖まで天竜川を管理しています。
なので、日本の地方区分の中部地方と天竜川を名前に冠する中部天竜駅は、どんなに凄い駅かと、私は飯田線に興味を持ち始めるまで、ずっと思っていました。
行ったことはありませんが、有名な佐久間レールパークもありましたし。
が、よくよく調べてみたら、納得の答えが。
中部天竜駅の天竜川を挟んで対岸(西側)は、中部(なかべ)と呼ばれる地区で、その昔は中部=なかっぺ、と呼んでいたそうです。
話をまとめると、中部=なかっぺ、が中部天竜駅の名前の由来だそうです。
以上、プチ情報でした。
〜 中部天竜(ちゅうぶてんりゅう)駅 〜
中部天竜駅は秘境駅ではありません。
中部天竜駅は、駅員が常駐している飯田線の主要駅で、特急伊那路の停車駅です。
飯田線秘境駅号は立ち寄りません。その代わりに、ディスカバー飯田線号が中部天竜駅に立ち寄ります。
中部天竜駅は、特急伊那路の飯田行きと豊橋行きが同時に停車して、列車すれ違いと乗務員の交代を行う、飯田線の重要な駅です。
伊那路2号はしばし停車。
乗務員の交代を行ったあと、豊橋発の伊那路1号飯田行きの到着を待ちます。
しばらくすると、反対側の1番ホームに伊那路1号飯田行きが到着します。
中部天竜駅でコラボする、伊那路1号飯田行きと伊那路2号豊橋行き。
伊那路同士がすれ違いで同時に停車するのは、一日一回、この中部天竜駅だけなので、貴重な光景です。
こちらは真冬の夜明け前の中部天竜駅。
秘境へと向かう列車の乗客は私だけの時もあり、閑散とした秘境感を早朝から思う存分味わっています。
〜 夕暮れの中部天竜駅 〜
私は、丸一日かけて秘境駅を駆けめぐりますが、冬場なので日が暮れるのが早く、いつも帰りは伊那路4号に乗って中部天竜駅に帰還しています。
前面展望からの中部天竜駅への到着シーン。
後方展望からの中部天竜駅への到着シーン。
伊那路4号を下車してホームに降り立つと、夕暮れの中部天竜駅には、得も知れぬ哀愁がただよっています。
まさに哀愁の飯田線。
夕暮れの中部天竜駅、大好きです。
以上、伊那路同士がが同時に停車して、列車すれ違いと乗務員の交代を行う、中部天竜駅のご案内でした。