飯田線は、国内屈指の秘境路線として、全国的に広く知られています。


とくに、水窪駅〜天竜峡駅間の秘境区間には、名だたる秘境駅が、たくさん点在します。

注)写真は小和田駅。

春や秋の行楽シーズンには、飯田線秘境駅号が運行され、魅惑の秘境駅をピンポイントでめぐるので、連日超満員の観光列車として高い人気を誇ります。

注)写真は大嵐駅にて秘境駅号。


また、普通列車に乗って、お目当ての秘境駅を満喫する熱烈なファンもいるなど、飯田線は秘境ロマンにあふれます。

注)写真は為栗駅。

と言うことで、


本日は、日帰りで飯田線の秘境駅めぐりをしたいと思います。


普通列車にのって、飯田線を何度も行ったり来たりして、秘境を駆けめぐります。


早起きをして車で中部天竜駅まで行き、始発列車に乗り込めば、日帰りでほぼ全ての秘境駅を回ることが可能です。


ちなみに中部天竜駅は、自宅(静岡県西部)から新東名・三遠南信道経由で、約2時間ほどあればたどり着けます。


飯田線の列車はロングシートではなく、転換クロスシートかボックスシートなので、進行方向を向いて座れます。


全列車トイレ付きなので、秘境駅間の移動はとても快適です。


それでは、秘境駅めぐりの旅に出かけましょう。



夜明け前の中部天竜駅に来ました。


真冬なのでまだ暗く、早朝の中部天竜駅は眠っているような雰囲気です。


本日のトップバッターは、当駅始発の普通列車の伊那松島行き。


中部天竜駅を6時15分出発。まずは伊那小沢駅を目指します。


これから秘境へとむかう列車の乗客は私だけ。


閑散とした車内が秘境ムードを盛り上げます。


が、車掌さんが車内を行ったり来たりしているので、ちょっぴり安心。


大嵐駅に停車。


伊那小沢駅に6時53分到着。


伊那小沢駅で下車して、反対側のホームへ。まもなく到着する、豊橋行きに乗車します。


列車すれ違いのため、豊橋行きの到着を待つ、伊那松島行き。

豊橋行きが到着しました。


秘境駅で普通列車同士がコラボです。

伊那小沢駅を6時56分出発。とんぼ返りで次の訪問駅の中井侍駅を目指します。


中井侍駅に6時59分到着。


豊橋行きを見送ります。



〜 中井侍(なかいさむらい)駅 〜


2023秘境駅ランキング第10位。


中井侍駅は、秘境駅号の停車駅です。

何となく侍がいそうな駅名です。


眼下を流れる天竜川。


侍はいませんが、駅のすぐ目の前は民家で、みかんの木やお茶畑もあります。


中井侍駅は、とってもアットホームな秘境駅。


以上、中井侍駅のご案内でした。


次は飯田行きに乗車します。


中井侍駅を7時38分出発。次の訪問駅の為栗駅を目指します。


為栗駅に7時58分到着。


飯田行きを見送ります。



〜 為栗(してぐり)駅 〜


2023秘境駅ランキング第13位。


為栗駅は、秘境駅号の停車駅です。

すぐ目の前は、エメラルドグリーンの天竜川。風がないので、水面が鏡のように輝きます。


駅から見える吊り橋は、天竜橋。


天竜橋から望む為栗駅。


朝の清閑とした為栗駅は、まるで時間が止まっているような雰囲気で、とても幻想的です。


この先に、信濃恋しと呼ばれる名所があります。天竜川がΩ(オメガ)カーブを描くように、戻り渕を形成しているのが、その名の由縁だそうです。


こちらは為栗駅を通過する普通列車。エメラルドグリーンの川面に列車が映り、清閑とした山あいに響く列車の走る音が、至福のひと時を演出してくれます。

朝の為栗駅は、とても癒やされます。

以上、為栗駅のご案内でした。


次は天竜峡行きに乗車します。


為栗駅を8時39分出発。次の訪問駅の千代駅を目指します。


千代駅に9時04分到着。


天竜峡行きを見送ります。



〜 千代(ちよ)駅 〜


2023秘境駅ランキング第20位。

千代駅は、秘境駅号の停車駅です。

千代駅は、千年の繁栄を願う縁起のいい駅です。その駅名標に触れると、ご利益があるそうです。


千代駅は秘境駅ですが、近くに三遠南信道の千代インターがあるので、高速道路からのアクセスは抜群です。

獣道を歩いて天竜川の河原へ。天空にそびえる孤高のアーチ橋、天龍峡大橋を望みます。
注)獣道は竹林の切り株があり非常に危険です。安全な服装と靴が必要となります。ご注意を!

以上、千代駅のご案内でした。


次は中部天竜行きに乗車します。


千代駅を9時18分出発。次の訪問駅の大嵐駅を目指します。


唐笠駅〜門島駅間の景色。


為栗駅に停車。


鶯巣駅に停車。


伊那小沢駅に停車。


中井侍駅に停車。


小和田駅に停車。


大嵐駅に10時15分到着。


中部天竜行きを見送ります。



〜 大嵐(おおぞれ)駅 〜


トンネルとトンネルの狭間にある大嵐駅。名前をふつうに読んだら、おおあらし!


秘境駅ではありませんが、中部の駅百選に名を連ね、秘境駅号も停車します。

モダンで立派な造りの建物は、駅舎ではなく休憩所です。


愛知県豊根村が管理しており、お隣の静岡県浜松市の敷地に、旧富山村の玄関口として、堂々と君臨しています。


駅から見える巨大な橋梁は、天竜川に架かる高鷲(たかす)橋。


すぐ上流は三県境で、奥三河・北遠・南信濃にまたがる絶景の山なみを堪能できます。

以上、大嵐駅のご案内でした。



次は天竜峡行きに乗車します。


大嵐駅を11時12分出発。次の訪問駅の金野駅を目指します。


小和田駅に停車。


伊那小沢駅〜鶯巣駅間の景色。

平岡駅〜為栗駅間の景色。


為栗駅に停車。


為栗駅〜温田駅間の景色。


為栗駅〜温田駅間の景色。


金野駅に12時01分到着。


天竜峡行きを見送ります。

秘境駅めぐりは、佳境に入ります。



〜 金野(きんの)駅 〜


2023秘境駅ランキング第6位。

金野駅は、秘境駅号の停車駅です。

線路の上は、断崖絶壁。

金野駅は、金運があがる縁起のいい駅として知られており、駅名標に触れると、ご利益があるそうです。

駅前には、車を駐車できる広場があります。が、人里はなれた山あいなので、車で来るには急勾配・幅員狭小・離合困難な林道クラスの危険な道を走ることになります。。。

以上、金野駅のご案内でした。


次は豊橋行きに乗車します。


金野駅を12時55分出発。次の訪問駅の田本駅を目指します。


田本駅に13時09分到着。


豊橋行きを見送ります。



〜 田本(たもと)駅 〜


2023秘境駅ランキング第5位。


田本駅は秘境駅号の停車駅で、飯田線では小和田駅に次ぐ、人気の秘境駅です。


こちらが田本名物、断崖絶壁。


トンネルの上に行ってみます。

田本駅の断崖絶壁ぶりと、南信濃の山なみが堪能できます。まさに絶景!

田本駅から続く山道をしばらく歩けば、秘境に架かる孤高の吊り橋、竜田(たつた)橋にたどり着けます。

小和田駅と同じく、あたりに民家はないので、田本駅もとことん秘境を満喫できます。

以上、田本駅のご案内でした。


次は岡谷行きに乗車します。


田本駅を13時54分出発。次の訪問駅の天竜峡駅を目指します。


門島駅〜唐笠駅間の景色。


天竜峡駅に14時13分到着。


〜 天竜峡駅 〜

天竜峡駅は、駅員のいる飯田線の主要駅です。

特急伊那路の停車駅で、飯田線秘境駅号も立ち寄ります。


天竜峡駅の周辺は観光地で、すぐそばを流れる天竜川の渓谷は、名勝天龍峡として全国的に有名です。

駅の周辺には、お食事処やお土産屋さんがあり、近くには天龍峡温泉もあるので、天竜峡駅は多くの人で賑わいます。


ホームから見える橋は、天竜川に架かる姑射(こや)橋です。

姑射橋は信濃の橋百選にも選定されています。

姑射橋から望む天龍峡の渓谷。

天龍峡では、天竜川をゆったりと下る、風光明媚な天竜ライン下りが楽しめます。

断崖絶壁にはさまれながら、唐笠駅に隣接する唐笠港まで、約1時間ほど天竜川をクルーズします。

姑射橋の目の前には、広々とした姑射橋広場が広がります。

姑射橋広場では、天竜川の向こうにそびえる中央アルプスの山なみが展望できます。

諏訪湖の釜口水門を起点とする天竜川。

太平洋の遠州灘に流れこむ河口付近では、川幅が1200メートルほどある大河川ですが、このあたりは歩いて渡れそうな川幅です。

天竜川は、ここから100キロ以上も離れた太平洋を目指して南下します。


国内屈指の大河である、天竜川の河川ロマンを感じます。

以上、天竜峡駅のご案内でした。



次は豊橋行きに乗車します。

天竜峡駅を15時12分出発。次の訪問駅の伊那小沢駅を目指します。

伊那小沢駅に15時52分到着。


朝一番に訪れていますが、滞在時間3分で立ち去ってしまったので、再度来訪。



〜 伊那小沢(いなこざわ)駅 〜


2023秘境駅ランキング第62位。


伊那小沢駅は、秘境駅号の停車駅です。

伊那小沢駅は、天竜川を見渡せる高台にあり、とても眺めがよく、開放感にあふれます。


駅から見える、立派な道路橋は水神橋です。


水神橋から望む景色は絶景で、天竜川の勇姿と南信濃の壮観な山なみが展望できます。


伊那小沢駅がある長野県天龍村は、温暖な気候から、信州に春を告げる村とも言われています。

伊那小沢駅、本当にいいところです。

以上、伊那小沢駅のご案内でした。


伊那小沢駅への訪問で、本日の秘境駅めぐりはすべてコンプリート。


次は天竜峡行きに乗車します。


伊那小沢駅を16時21分出発。

平岡駅を目指します。


平岡駅に16時27分到着。次は平岡駅から特急伊那路4号豊橋行きに乗車します。


天竜峡行きは、伊那路4号との列車交換のため、平岡駅でしばらく待機。

平岡駅は、天龍村の中心街にあります。


駅の横にそびえ立つ建物は、ふれあいステーション龍泉閣。

龍泉閣は、お食事処と日帰り入浴も可能な温泉、宿泊ホテルがある複合施設で、2階が平岡駅の駅舎です。


平岡駅は、南信濃の観光や秘境駅めぐりの拠点として、多くの人に利用されています。


伊那路4号を待ち続ける、天竜峡行き。

平岡駅に、伊那路4号が到着です。


朝一番に中部天竜駅を旅立って、秘境駅を駆けめぐった旅路も伊那路4号がラストラン。


平岡駅を16時42分出発。

伊那路4号で中部天竜駅を目指します。


1号車(指定席)の車内は私だけ。


平日の伊那路4号は、孤独を味わえます。


伊那路4号は小和田駅を通過します。

流れゆく、最強の秘境駅。


小和田駅は、別の日に秘境駅めぐりをしているので、今回は訪問していません。



〜 小和田(こわだ)駅 〜


2023全国秘境駅ランキング第3位。飯田線秘境駅号の停車駅で、全国にその名を轟かせます。

国内最高峰の秘境駅なので、当然ながら車で訪れるのは不可能です。まさに天下無双の秘境駅!


小和田駅はトンネルとトンネルの狭間にあり、上は断崖絶壁、下も断崖絶壁。

その昔、現在の皇后雅子様のご成婚の折に、旧姓の小和田(おわだ)にあやかった恋愛成就が話題となりました。


全国放送でニュースも流れ、小和田駅が一大ブームになったことは遠い昔の話。

落ち着きを取り戻した小和田駅は、この秘境に静かにたたずみ、古びたその姿は飯田線の歴史を語り続けます。

以上、最高の秘境ロマンにあふれ、大自然に囲まれて非日常的なひと時が過ごせる、小和田駅のご案内でした。



伊那路4号は、飯田線名物の渡らずの鉄橋を通過します。

〜 渡らずの鉄橋 〜


渡らずの鉄橋は、城西駅〜向市場駅間の水窪川に架かる鉄橋で、川を渡り切らずに、そのまま連続する橋で同じ岸に戻ってしまう珍鉄橋です。


右側から鉄橋が綺麗な曲線を描いて、川を渡らずに、また右側に戻っています。


渡るふりして、また同じ岸に戻るので、確かに川は渡ったことにはなりません。


以上、渡らずの鉄橋のご案内でした。



今日一日の楽しかった思い出と、飯田線とお別れとなる寂しい思いも乗せて、伊那路4号は中部天竜駅に到着。


秘境駅めぐりの旅は、終焉をむかえます。


中部天竜駅に17時17分帰還。

最後に伊那路4号を見送ります。


豊橋を目指して発車した伊那路4号は、夕暮れの哀愁ただよう中部天竜駅を後にします。


やっぱり、飯田線の秘境駅は、最高です!

以上、飯田線の秘境駅めぐりでした。


おしまい。


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注)写真は小和田(こわだ)駅です。