〜そらさんぽ天龍峡とは〜


そらさんぽ天龍峡は、三遠南信道の天龍峡インターと千代インターの間に位置し、天龍峡の渓谷を流れる天竜川を渡る天龍峡大橋に設置された遊歩道です。

天龍峡大橋は全長280メートルの美しいアーチ橋で、全国的にも珍しい高速道路の直下に遊歩道を有する構造です。

天竜川の上空80メートル、天空の回廊から見る景色はまさに絶景。天龍峡の新たな観光名所として話題となっています。

その名の通り、風光明媚な名勝天龍峡がすぐそばにあり、四季折々の彩りが楽しめます。


本日は、そらさんぽ天龍峡の見どころと、素敵な雪景色についてご案内したいと思います。

そらさんぽ天龍峡へのアプローチは天竜川をはさんで2箇所あります。

メインゲートとなる天龍峡パーキング出入口と、千代インター側の下村展望広場出入口です。

飯田線に乗って、天竜峡駅に来ました。

天竜峡駅は、天龍峡の玄関口です。

天竜峡駅からタクシーに乗り、千代インター側の下村展望広場に来ました。そらさんぽ天龍峡の東側の玄関口です。

こちらの建物はイベント用の小屋です。下村展望広場はあまり広くありませんが、数台程度なら車を駐車できるスペースがあります。

以前にはありませんでしたが、最近トイレが設置されました。

下村展望広場の近くには、秘境駅で有名な千代駅があります。

観光客で賑わう天龍峡パーキングとは逆に、こちらはちょっぴり秘境感を味わうことができるので、下村展望広場からそらさんぽをスタートします。

天龍峡大橋は、景観に配慮した美しいアーチ構造が自慢です。間近で見るその堂々たる勇姿は一見の価値があります。

ちなみに、天龍峡大橋は国内ではあまり類を見ない特殊な構造を採用しています。


〜天龍峡大橋の芸術的な構造〜

天龍峡大橋は、名勝天龍峡の歴史ある景観との調和をはかるため、渓谷への収まりがよく、背後の山なみの稜線を阻害しないアーチ橋が採用されています。


橋の桁下に設置された遊歩道のそらさんぽ天龍峡は、鋼上路式アーチ橋では日本唯一となる桁下歩道で、橋梁点検のための検査路もかねています。


アーチ橋の弓なり部分は、国内で最も扁平なアーチライズ比で、周囲から橋を見たときに平べったく見えるため、景観上の圧迫感がほとんどありません。

天龍峡大橋は、左右のアーチリブが頂部に向かうほど狭くなる、バスケットハンドル形といわれる構造です。

天龍峡大橋の道路線形は緩やかな曲線です。道路の曲線とバスケットハンドル形との組み合わせは、天龍峡大橋独自の3次元的な造形美を造り出しています。

その特殊な構造は、世界的にも天龍峡大橋が初の実績といわれ、橋梁分野で最も権威がある土木学会田中賞を受賞しています。

なお、橋桁とアーチリブをつなぐ中間支柱はカーブの外側に向かってほどよく傾けられており、走行する車両が発生する荷重をうまく受け止めています。

下から見るとその安定感がよくわかります。

名勝地を横断する自動車専用道路の架橋は前代未聞で、計画から施工まで困難を極めるプロジェクトだったそうです。

その苦労を経て、天龍峡大橋は名勝天龍峡の景勝地の一部となり、飯田のあらたなる観光地として注目を浴びる存在となりました。

以上、天龍峡大橋の芸術的な構造についてのご案内でした。


それでは、そらさんぽ天龍峡の空中散歩を楽しみましょう。

下村展望広場からの進入口は、以外とひっそりとしていて、秘密基地に潜り込むような感じです。

階段を降りた先にそらさんぽ天龍峡の出入口があります。

橋のたもとに設けられたエントランスに到着。

橋の部材は日本古来の伝統色、山鳩色で塗装されています。巨大な建造物は周囲の景観に充分配慮されているので、あまり違和感は感じません。

階段の上が下村展望広場です。

壁には天龍峡大橋と三遠南信道の概要を記した案内板が展示されています。

三遠南信道はまだ一部が建設中・計画中で、全線開通は10年以上先になりますが、ここから新東名につながるという夢のような話に、高速道路のロマンを感じます。

エントランスから天龍峡大橋を望みます。

高速道路の橋の真下なんて、普段はなかなかお目にかかれません。天竜川の谷が深いのもあり、その迫力に圧倒されてしまいます。

眼下は天竜川の渓谷です。

こちらがそらさんぽ天龍峡の出入口。

そらさんぽ天龍峡は夜間は閉鎖されています。通行可能時間は以下の通り。
3月から10月は6:30〜18:00
11月から2月は7:30〜16:30

ここから長さ280メートルの空中散歩(そらさんぽ)の旅が始まります。

いざ、天空の回廊へ。

内装はシックな感じで、とても落ち着いた趣きです。歩道の幅は2メートルほどあり、ほとんど揺れることもないので、吊り橋のような恐怖心はまったくありません。

回廊は緩やかなカーブを描いています。眼下を流れる天竜川のせせらぎが心地よく、歩いていてもまったく飽きません。

バーチカル(縦断勾配)が3.84%で設計されているので、緩やかな坂道です。とても歩きやすく、ジョギングをする人も見受けられます。

回廊を進みます。

側面上部の金網の網目は大きいので、撮影するときにカメラやスマホを構えやすくなっています。

なんと監視カメラも付いており、セキュリティ対策もしっかりしています。

展望スペースに到着。
そらさんぽには、展望スペースが2箇所ほど設けられており、休憩を兼ねた撮影スポットになっています。

こちらは下村展望広場側の展望スペース。

記念撮影用にちゃんとロゴマークも設置されています。

展望スペースから南側を望みます。
蛇行する天竜川と南信濃の壮観な山なみ。


北側を望みます。天空から見下ろす天竜川と飯田線の鉄橋は、まさに絶景です!

その奥には、名勝天龍峡の渓谷に架かる絶景の吊り橋、つつじ橋も見えています。

つつじ橋からも天龍峡大橋が見えます。


〜名勝天龍峡から見る天龍峡大橋〜

名勝天龍峡は、天竜川の浸食によって造りだされた、南北約2kmにわたる美しい渓谷です。

名勝天龍峡に架かるつつじ橋。

つつじ橋は天龍峡の中心部に位置します。

つつじ橋から天龍峡大橋を望みます。

名勝天龍峡の風景に調和する天龍峡大橋。

天龍峡の渓谷を望みます。起伏にとんだ渓谷の奥深さを見ることができます。曇り空のときは何となく水墨画みたいな雰囲気です。

天龍峡にそびえ立つ奇岩、龍角峯の頂上にある展望台に来ました。

天龍峡大橋を望みます。

天竜川の上空80メートルの天龍峡大橋。

天龍峡の上流部を望みます。
渓谷と中央アルプスが展望できる抜群のロケーションです。

展望台には東屋があるので、ここで絶景を見ながら休憩ができます。

こちらは天龍峡にそびえ立つ奇岩、龍角峯。間近で見るとすごい迫力です。

天龍峡と天龍峡パーキングを結ぶ遊歩道の展望台に来ました。

こちらの展望台は、わりと近くから天龍峡大橋をながめることができます。眼下には飯田線の線路も見えています。

まさに天空にそびえる孤高の橋。

天龍峡大橋は、名勝天龍峡の風景の中にしっかりと溶けこんでいる事がよくわかりました。天龍峡大橋の景観への配慮の仕方は見事なものです。

以上、名勝天龍峡から望む天龍峡大橋のご案内でした。


展望スペースには親切に時刻表が貼られています。タイミングを合わせれば飯田線の列車の通過と、天竜ライン下りの船の通過を撮影をすることが可能です。

以前に撮った、飯田方面から豊橋方面に向かう列車の通過シーン。

列車が通過し終わったら、すかさず反対側に移動して、走り去る列車も撮影します。


ほんのわずかな通過時間ですが、あらかじめアングルを決めておき、素早く移動すればその一瞬をとらえることができます。


注)移動するときは歩行者にぶつからないように、最大限の安全確認をして下さい!

回廊の真ん中あたりに差しかかると、橋を支えるアーチリブが頂点となり、陽射しが閉ざされた暗黒ゾーンが待ち受けています。

このあたりから暗黒ゾーンが始まります。

でも大丈夫です。この暗黒ゾーンだけは照明が設置されています。

暗闇でも安全に通行できるようにちゃんと配慮されています。

天空の暗黒は何となく不思議な感じ。

さらに回廊を進みます。
だんだん雲の上を歩いているような感覚になってしまうのが、そらさんぽの魅力です。

天龍峡パーキング側の展望スペースに到着。

南側を望みます。
渓谷に沿って蛇行を繰り返す天竜川。

北側を望みます。
このアングルが天竜川と飯田線の鉄橋を撮影するベストショットだそうです。まさに絶景!

以前に撮った、豊橋方面から飯田方面に向かう列車の通過シーン。


飯田方面から豊橋方面に向かう特急伊那路の通過シーン。

走り去る特急伊那路。

実際に列車の車窓から天龍峡大橋を見上げるとこんな感じ。天竜川の渓谷にいきなり出現する孤高のアーチ橋はすごい迫力です。

そろそろ天龍峡パーキング側の出入口が近づいてきました。

ラストショットに挑みます。
手前に立ちふさがる木が邪魔ですが、写真は失敗作ではありません。

ズームします。千代駅が見えました。そらさんぽ天龍峡と秘境駅をつなげることができました。


〜千代駅から見る天龍峡大橋〜

飯田線屈指の秘境駅の千代駅。

千代駅は2023秘境駅ランキング第20位で、飯田線秘境駅号の停車駅です。

千代駅は千年の繁栄を願う縁起のいい駅です。その駅名標に触れるとご利益があるそうです。


豊橋方面に延びる線路。
その昔、天竜川で採取した砂利を鉄道で搬出していた線路の名残りが今も残っています。

飯田方面に延びる線路。

千代駅は秘境駅ですが、すぐそばに三遠南信道の千代インターがあり、高速降りたら5分で来れる、国内屈指のアクセスを誇る秘境駅です。

線路の先の上空に三遠南信道の天龍峡大橋が見えます。が、樹木に覆われて全貌が見えません。

獣道を歩いて天竜川の河原に行ってみます。

注)獣道は竹林の切り株があり非常に危険です!安全な服装と靴が必要となります。ご注意を!

上流側を望みます。

ようやく天龍峡大橋の全貌が見えました。

まさに天空にそびえる孤高の橋。

天竜川のせせらぎを聞きながら、秘境にたたずむ天龍峡大橋をながめます。日常を忘れる癒やしのひとときです。

天龍峡大橋は、秘境駅とのつながりも深い事がよくわかりました。しかも秘境の風景はまったく損なわれていません。天龍峡大橋の景観への配慮の仕方は見事なものです。

以上、秘境駅の千代駅から望む天龍峡大橋のご案内でした。


千代駅の撮影を終えて天龍峡パーキング側の出入口へ向かいます。異次元の世界を体感した空中散歩も終焉となります。

下村展望広場の出入口に比べると、天龍峡パーキング側のエントランスはわりと控えめです。

エントランスに設置されたテラス。

テラスから天龍峡大橋を望みます。

こちらの出入口へのアクセスは、天龍峡インターに隣接する天龍峡パーキングが最寄りとなります。天龍峡大橋の西側です。

天龍峡パーキングに向かいます。

天龍峡パーキングからそらさんぽの出入口までは、遊歩道を歩いて3〜5分ほど。

天龍峡パーキングは丘の上にあります。

駐車場は広々としており、開放感にあふれます。乗用車なら50台以上は駐車可能です。パーキングというより公園のような雰囲気です。

天龍峡パーキングから見える天龍峡大橋。

こちらは天龍峡インターから千代インターに向かって天龍峡大橋を走る車からの走行映像。あっという間に通りすぎますが、車からも絶景が望めます。


前面展望の走行映像もどうぞ。


天龍峡パーキングは、正式な高速道路の休憩施設なので、トイレとインフォメーションセンターがあります。

建物の意匠は、景勝地の天龍峡らしい風情を感じるデザインとなっています。

売店は今のところありませんが、土日祝に限り、キッチンカーが来て飲食の営業をするときがあるそうです。

インフォメーションセンターに入ってみます。

施設内にはモニターがいくつも展示され、高速道路情報・天龍峡大橋の説明・周辺の観光情報などの案内をしています。

こちらは国土交通省飯田国道事務所が制作した天龍峡大橋のプロモーション映像。キャッチフレーズは「天空にそびえる孤高の橋」。

視聴時間は15分ほどで、
①なぜこのデザインになった?
②どうやって造られた?
③完成までの記録
の三つの内容を説明してくれます。そらさんぽした直後なので、まじまじと見入ってしまいます。

ぜひこちらのインフォメーションセンターにも立ち寄って、天龍峡大橋のプロモーション映像を見て下さい。計画から施工・完成までの天龍峡大橋の壮大な世界観に思わず引き込まれます。

注)プロモーション映像を見なくても、同じものがこちらから見れますが。。。
天龍峡パーキングからの眺めも絶景です。

中央アルプスの雄大な山々の稜線を、大パノラマで展望できます。

そらさんぽ天龍峡は、天空の回廊の名にふさわしい景勝地で、天龍峡の新たな観光名所として飯田に君臨しています。

長さ280メートルにおよぶ空中散歩は、見るものを魅了する圧巻の絶景に出会えます。

ぜひ一度、そらさんぽ天龍峡で未体験ゾーンの空中散歩(そらさんぽ)を体験してみて下さい。


〜そらさんぽ天龍峡への行き方〜

(車の場合)

三遠南信道天龍峡インター及び一般道から天龍峡パーキングエリアへ。そらさんぽ西側出入口へアクセスできます。駐車料金は無料。駐車場より徒歩3〜5分。

又は、三遠南信道千代インターから下村展望広場へ。そらさんぽ東側出入口へアクセスできます。駐車料金は無料。駐車場より徒歩1分。ただし進入口は階段のみでバリアフリーではありません。

(電車の場合)

飯田線天竜峡駅から徒歩20〜30分。そらさんぽ天龍峡の西側出入口へアクセスできます。行きは上り坂、帰りは下り坂です。

又は、飯田線千代駅から徒歩20〜30分。そらさんぽ天龍峡の東側出入口へアクセスできます。行きは上り坂、帰りは下り坂です。

注)行きの場合、千代駅からしばらくは急勾配の心臓破りの上り坂が続きます。足腰の弱い方や高齢の方にはおすすめできません。

(その他)

通行可能時間は以下の通り。
3月から10月は6:30〜18:00
11月から2月は7:30〜16:30
通行料は無料。

天龍峡パーキングから名勝天龍峡のつつじ橋へは、徒歩10〜20分で行くことができます。

以上、そらさんぽ天龍峡のご案内でした。

終わり。