今日はパーキンソン氏病についての症例を紹介いたします。
(患者)女性、71歳、堺市在住。
(主訴)7年前から腰痛。時間の経過と共に腰の痛みが増してい
るとの事。特に動作時が激痛。
(その他)左右大腿部痛、左右膝痛、歩行障害、手指の機能障害、
倦怠感、食欲亢進、多汗症、頻尿、便秘、口苦、肩こり。
(薬)ドパコール配合錠L100、ミラペックスLA錠1.5㎎、
サインバルタカプセル20㎎(パーキンソン病)。
(望診)腰が90度位に曲がっていました。眉間と鼻が赤い。
3月末の割には大量の汗をかいておられた。
(切診)手足、身体全体に熱感が感じ取れました。
脈は沈、数、実、渋。
お腹はお臍周りが硬く抵抗が診られ右季肋部にも抵抗あり。
舌下の静脈は紫色で舌全体がやや乾。
(診断)肝実証(少陽病?傷寒実熱?)。
(施術)脾経と心包経の補。肝経と胆経、小腸経、膀胱経の寫。
背部兪穴、募穴の補寫など。
(経過)初めの1か月の施術(週2回)で腰痛ほんの少し軽減。
肩こり半減。頻尿改善される。
2,3ヶ月後には便通改善。口苦ほぼ無くなる。腰痛が少し改善され
ている事に伴い背筋(腰)を少し伸ばせるようになる。
週1回の来院ペースになる。
4,5か月後、歩行ペースが以前よりも早くなる。
また、背筋を垂直に近い位に伸ばせるようになる。
初診時は下を向いて来院されていたのが嘘のようである。
現在、7が月目であり月3回のペースで来院されておられます。
症状の方は頻尿、便秘、多汗症、口苦、倦怠感は改善されました。
また、歩行がスムーズになっておられるので先月から1日おきに
30分ウオーキングをされています。
しかし、腰の方は以前のような強い痛みは無くなったが痛みにバラ
ツキがありよく動いた日には辛いそうです。
また、左右大腿部や左右膝に動作時痛が出たり引っ込んだりして
いる状態です。
(考察)
結論から言いますとパーキンソン病は鍼灸では治すことはできません。
現代の最先端医学でもパーキンソン病を根本から完治させる薬がなく
難病に指定されています。
今回、この患者さんを引き受けたのも紹介であったのと、完治でき
ない事を説明しご理解して頂いたからです。
少しでも腰の痛みを和らげADL(日常生活動作)の向上を目標に悪戦
苦闘してきました。
現在、この患者さん以外にも他の難病疾患で来院されている方が数人
おられます。そして、どの疾患も一筋縄ではいきません。
ただ、現代医学の治療では効果が出ない症状でも今回の症例のように
完治しないまでも病の進行を遅らせたり緩和させる事はできるのです。
可能性が100でなくとも0では無いという事です。
島川はり灸院
http://www.shimakawa-harikyu.com/